【宝塚記念】天皇賞で凡走した馬こそチャンス 逆説的に狙えるポタジェとヒシイグアス

佐藤永記

宝塚記念過去10年、前年天皇賞(秋)の着順別成績,ⒸSPAIA

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GⅠ「凡走実績」に着目

春競馬の総決算となる宝塚記念。天皇賞(春)にマイル路線、はたまたドバイや香港からの転戦組まで、さまざまな路線の馬たちが集まるGⅠであるため、王道ローテなどあったものではない。しかし、それでも何か手がかりとなるものを見つけなければ先には進めない。

それならば、逆に考えよう。思いついたのが「常識から外れている傾向」で狙う方法だ。春のグランプリで好走する馬を探すわけだから、普通は何かしら光る実績に目が行きがちだが、その常識的な考えから外れた部分をチェックしてみよう、というわけだ。

まず「宝塚記念で有力なのは、過去にGⅠ好走歴の一つや二つある馬」と考えるのが常識だろう。では実際に、過去10年の宝塚記念で3着以内に入った馬が、直前の1年以内に出走したGⅠの成績を調べた。

過去10年宝塚記念 3着以内馬が1年以内に出走したGⅠ別成績,ⒸSPAIA


宝塚記念3着以内馬の前年有馬記念における成績は【3-0-3-7】。前年末のグランプリと両方を制した馬が3頭いるうえ、3着や着外からの宝塚記念好走馬もいる。つまり、前年有馬記念出走馬は着順にかかわらず有力、ということだ。

一方、「凡走している方が宝塚記念で好走する」というGⅠが2レースある。

1つ目は天皇賞(春)だ。宝塚記念で3着以内に入った馬たちの、同年の天皇賞(春)成績は【1-0-0-9】。ここで凡走し、宝塚記念で3着以内に入った例が9回もある。唯一の両レース好走は2016年キタサンブラック(1着→3着)だが、そのキタサンブラックも翌年は天皇賞(春)1着→宝塚記念9着だった。天皇賞(春)と宝塚記念は連動しにくいと考えるべきだろう。

タイトルホルダーと「あの事件」

そう考えると、タイトルホルダーにとっては天皇賞(春)制覇がマイナス材料ということになるのだが、逆に後押しするデータもある。それは宝塚記念で3着以内の馬が、菊花賞に出走した時の成績が【6-0-1-3】というもの(※宝塚記念で複数回好走した馬は重複してカウント)。10年でのべ6頭の「菊花賞馬」が宝塚記念でも好走している。タイトルホルダーはこれでプラマイゼロといった感じだ。

しかし、この「菊花賞馬の天皇賞(春)勝ち後、宝塚記念出走」といえば厄介な例がある。タイトルホルダーとは脚質が真逆ではあるが、2012年の菊花賞馬ゴールドシップだ。

2013年 天皇賞(春)5着 宝塚記念1着
2014年 天皇賞(春)7着 宝塚記念1着
2015年 天皇賞(春)1着 宝塚記念15着

GⅠを6勝した名馬ゴールドシップでも、同年に天皇賞(春)と宝塚記念の両方で好走することはできていない。2015年は「120億円事件」とも形容される、断然人気での大出遅れもあった。果たしてタイトルホルダーは連勝して、呪縛を解くことができるのだろうか。

天皇賞(秋)で連対は逆効果か

もうひとつ、凡走馬が宝塚記念で好走しているGⅠが、なんと天皇賞(秋)だ。宝塚記念3着以内馬の前年天皇賞(秋)出走時成績は【0-0-2-4】。ちなみに天皇賞(秋)で連対した翌年に宝塚記念に出走した馬の成績は【0-0-0-6】である。

こうなると、エフフォーリアが危ういということになる。秋の天皇賞馬が好走できないとなれば「常識から外れている」だろうが、この傾向を信じるならば、消しである。

狙うなら昨年の天皇賞(秋)で3着以下だった馬が面白い。今年の出走馬で該当するのは、

ポタジェ 天皇賞(秋)6着
ヒシイグアス 天皇賞(秋)5着

ポタジェは前走で大阪杯を勝っており人気候補だが、天皇賞(秋)の敗戦が好材料になるかもしれない。ヒシイグアスは穴で面白い存在になりそうだ。

<ライタープロフィール>
佐藤永記
20代を公営ギャンブラーとして過ごし、30歳から公営競技の解説配信活動を開始。競馬を始め多くの公営競技ファンに各競技の面白さや予想の楽しみを伝えている。現在はYoutubeで配信活動を続けながらライターとして公営競技の垣根を超えて各所で執筆中。

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