【マーメイドS】例年通りの難解な重賞、斤量設定に注目 京大競馬研の本命は先行力光るアイコンテーラー

京都大学競馬研究会

マーメイドSインフォグラフィック,ⒸSPAIA

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例年通りの難解な一戦

6月19日(日)に阪神競馬場でマーメイドS(GⅢ)が行われる。ヴィクトリアマイルと宝塚記念の間に挟まった牝馬限定ハンデ競走で、メンバー中重賞馬はリアアメリアとルビーカサブランカの2頭だけ。さらに3勝クラスからの格上挑戦が4頭おり、今年も例年通りの難解な一戦になりそうだ。

今年はトップハンデが55.5kgで最軽量が51kgとハンデのばらつきが少なく、「斤量が軽いから買い」と一概に言えない状況になったが、過去10年の斤量別成績とその斤量になった理由をよく精査して、恵まれた馬を見つけ出したい。


斤量設定の理由を読み解く

過去10年マーメイドS斤量別成績


一般的に、ハンデ戦の斤量は馬齢重量(古牝馬55kg)を基準にトップハンデの馬から決められている。

マーメイドSでの実質的な最重量ハンデにあたる56kgの成績は過去10年【1-0-1-7】。背負った9頭の内訳をみると、3頭が直近1年以上馬券になっていないGⅠホース、4頭が同年の中山牝馬S勝ち馬。1頭は前走で混合オープンを勝っており、残りの1頭は前年56kgで出走したトーセンビクトリー(2018年)。牝馬重賞で力上位を示してしまうと56kgを背負わされる例が多く、かつ、それ以降どれだけ不振でも斤量は減らないことが分かる。今年のトップハンデはリアアメリア。GⅡ勝ち馬であるが、2年近く鳴かず飛ばずであることから56kgより0.5kg軽い55.5kgでの出走となった。似た例では2012年に8ヶ月近く(4走)入着の無かったGⅡ馬アニメイトバイオが55.5kgで出走しているが、11着惨敗。温情で0.5kgおまけを貰っても極度の不振は覆せない。

55kgは【1-2-2-11】。16頭中、古馬重賞の勝ち馬は4頭だけで、多くは重賞2、3着かオープン勝ちの実績がある馬が背負う斤量になっている。馬券内5頭中4頭は重賞好走歴がありながら、56kgの馬との兼ね合いで1kg有利を貰っており、トップハンデ55kgで好走したのは2020年2着のセンテリュオだけだった。54kgになると重賞好走例のある馬も減り、それにつれて実力も足りなくなるためか【0-1-3-18】と不振。トップハンデに隠れた55kgの馬がお得だと考えられるだろう。今年で言えば、重賞馬ながら55kgで出られるルビーカサブランカは狙い目だ。

53kgはオープン入り直後、あるいはオープンではいいところなしの馬に課されることの多い斤量。全体成績は【4-2-3-16】で、成長見込める4歳馬に絞ると【2-1-1-4】の複勝率50%。ハンデ戦としては悪くない複勝率になる。

52kgは【0-0-0-16】となんと過去10年馬券内ゼロ。16頭中オープン馬は延べ3頭でほとんどが条件馬。さらなる軽斤量の馬に押されて不振になっているのが実情である。条件馬が背負うには重く、52kgを背負ったオープン馬は実力不足と捉えるべき中途半端な斤量だ。

2年連続で勝ち馬を出している51kgは【2-3-0-14】。ここが現役最後の好走となる馬も多く、展開面での有利が無くとも走る馬が出現するため、条件戦の内容を見ながら斤量が恵まれたと感じる馬を探して印を打ちたい。


印を打つのも一苦労。当日パドックまで要注目

◎アイコンテーラー
新潟で4勝を挙げるも、1番人気に支持された前走・新潟大賞典は9着。重賞では力不足の印象だ。しかし実績を積めなかった分53kgで済んだのは、このレースにおいてはプラス材料。前走より更にレベルが落ち、阪神開幕週になることも追い風。4歳53kg【2-1-1-4】の好走データにも該当し、先行できればそのまま押し切れる。

◯ルビーカサブランカ
リアアメリアとの兼ね合いで、重賞馬ながら55kgで出走できるのは好材料。近2走は出遅れて力を出し切れていないが、2走とも最後方から0.2秒差まで差は詰めており、充実度は高い。逃げ馬のいないスロー濃厚のメンバー構成であるため展開面の不利は大きいが、能力的に1番信用できるのはこの馬。ゲートは出て欲しい。

▲ヴェルトハイム
前走は後ろで構えすぎた4着。阪神芝2000mで2勝を挙げており、いかにも当レース向きの馬。少頭数で後方追走のレースばかりしているため、多頭数になることと、開幕週であることはマイナスだが、条件馬の中では一番力がある。ただ人気は集まりそうだ。

△マリアエレーナ
愛知杯は勝ちに等しい2着で、実績上位かつ先行できそうなのはプラス。軽斤量での好走が目立つため、55kgで斤量負けしないかが不安。

×ウインマイティー
前走は東京芝2400mを逃げて4着。すんなり先行できそうな相手関係はプラスだがトップハンデから1.5kgしか差が無いのは現状の成績では辛い。展開の利が大きいため紐には入る。

×トウシンモンブラン
2走前の紫苑S(5着)で接戦した4、6着馬は既にオープン入りしており、当馬も3勝クラスを突破する力はある。軽斤量と先行力活かしてどこまで。

ソフトフルートは先行すると全く伸びないことが昨年のマーメイドSと前走の都大路Sで判明しており、開幕週の今回は展開面での不利が大きい。また昨年の54kgが据え置きというのもマイナスで、今回は消しの判断を下した。新潟記念などでハンデを減らして出走したら買いたい。

馬券は印を打った6頭の三連複ボックス20点とオッズ次第でアイコンテーラーの単複で勝負する。軸馬も選び難く苦渋のボックス買いになる。自分の予想に自信が持てない場合は潔く買わないことも、負けないために重要な決断になるだろう。(文:福山)

マーメイドS 予想印
◎アイコンテーラー
◯ルビーカサブランカ
▲ヴェルトハイム
△マリアエレーナ
×ウインマイティー
×トウシンモンブラン

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
25年以上の歴史がある京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。



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