父ディープインパクト以来の無敗二冠は静寂の中で 2020年日本ダービー馬・コントレイル

SPAIA編集部

2022年日本ダービーのレース結果,ⒸSPAIA

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日本ダービーまであと2日

2022年の日本ダービーまで残り2日。連載で過去10年の日本ダービーを一戦ずつ振り返っていく。

静寂の中で生まれた無敗二冠馬

ダービーデーの東京競馬場。毎年何万人もの観衆が訪れ、世代の頂点をかけた戦いをその目に焼き付ける。そんな“普段通り”が許されない。2020年日本ダービーは新型コロナウイルス感染症の対策として無観客開催という措置が取られた。2005年のディープインパクト以来となる無敗二冠馬の誕生が目されるレース。競馬場でファンがその瞬間を目撃することは叶わなかった。

無敗二冠が懸かるのはそのディープの息子・コントレイル。前年の9月に新馬戦を勝ち上がると、続く東京スポーツ杯2歳ステークスで1分44秒5の2歳レコードを叩き出した。同年、同じコースの古馬GⅡ・毎日王冠の1分44秒4に肉薄する凄まじい勝ちっぷりだった。

2歳GⅠ・ホープフルSを難なく勝った後、前年のサートゥルナーリアと同じく、皐月賞に直行。後方の12番手でレースを進めることになったが、最後は朝日杯FS勝ち馬サリオスとの叩き合いを制し、見事一冠を飾った。

本番ダービーでは単勝オッズ1.4倍の1番人気。出走馬のほとんどはコントレイルと対戦経験があり、もはや打ち負かせる相手はいないという前評判。2番人気は皐月賞で叩き合ったサリオス。続く3番人気、ルメール騎手騎乗のワーケアも、ホープフルSでコントレイルに0.5秒差をつけられ3着に敗れていた。

スタートが切られると、まずハナに立ったのがウインカーネリアン。コントレイルの福永祐一騎手はその後ろ、内の3番手につける。前半1000m61.7秒のゆったりしたペースを受け、向正面ですかさず横山典弘騎手・マイラプソディが後方17番手からマクって先頭に。コントレイルは徐々にポジションを下げることになったが、人馬に焦りは見えない。4コーナーから直線でスムーズに外へ持ち出し、追いかけるサリオスに影すら踏ませず、楽々と突き抜ける。結果は3馬身差の圧勝だった。

閉塞した世の中でも競馬開催が継続されていることに感謝しつつも、願わくは無敗二冠馬の誕生を現地で見たかった。そう思わずにはいられない、静かな、静かな偉業の瞬間だった。

2020年日本ダービー・全着順
1着 コントレイル 福永祐一 2.24.1
2着 サリオス レーン
3着 ヴェルトライゼンデ 池添謙一
4着 サトノインプレッサ 坂井瑠星
5着 ディープボンド 和田竜二
6着 ガロアクリーク 川田将雅
7着 ブラックホール 石川裕紀人
8着 ワーケア ルメール
9着 マイラプソディ 横山典弘
10着 ビターエンダー 津村明秀
11着 サトノフラッグ 武豊
12着 コルテジア 松山弘平
13着 ダーリントンホール M.デムーロ
14着 ヴァルコス 三浦皇成
15着 レクセランス 石橋脩
16着 マンオブスピリット 北村友一
17着 ウインカーネリアン 田辺裕信
18着 アルジャンナ 浜中俊



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