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日本ダービーまであと4日
2022年の日本ダービーまで残り4日。連載で過去10年の日本ダービーを一戦ずつ振り返っていく。
ダービー初騎乗から20年
誰にでも忘れられない失敗、苦い経験のひとつやふたつはあるだろう。いまや三冠ジョッキーとなり、安定してGⅠ勝ち星を積み重ねる福永祐一騎手にとっての「それ」として語られるのが、1998年のダービー。当時デビュー3年目、2番人気キングヘイローに騎乗するも、折り合いがつかず暴走気味の逃げ。直線で大失速し、勝ったスペシャルウィークから2.6秒離された14着という敗戦を喫したのであった。
それからちょうど20年後、2018年日本ダービー。1番人気はダノンプレミアム。皐月賞こそザセキで回避したが、デビュー以来4戦4勝。2番人気ブラストワンピースは3戦3勝の毎日杯勝ち馬。3番人気キタノコマンドールは2戦2勝と、上位人気はいずれも皐月賞不出走の無敗馬。皐月賞馬エポカドーロは4番人気に甘んじ、その皐月賞で7着に敗れていたワグネリアン・福永騎手は5番人気でレースを迎える。
「内枠有利」が定説となったダービー、17番枠からのスタートとなるワグネリアンにとって、初角までの動きが重要なポイント。福永騎手は行きたがるワグネリアンを抑えつつ、しかしその前進気勢も利用して好位の4番手をとった。前へ前へ、という馬の気持ちをコントロールしつつ、勝負できる位置を確保する。「あの日」とは経験値がまるで違った。
エポカドーロが逃げての1000m通過60.8秒は、ダービーとしてはスローの部類。早めにスパートをかけたいブラストワンピースを内に閉じ込めながら、タイトに3~4コーナーを回って、直線入り口でスパートを開始する。
内でダノンプレミアムが伸びあぐね、ブラストワンピースは進路を失くし、外に切り替えて仕掛けが遅れる。皐月賞馬軽視に反発するように粘ったエポカドーロをワグネリアンが一完歩ごとに追い詰め、半馬身捕らえて優勝した。ついにダービージョッキーの称号を得た福永騎手は純白のグローブに包まれた右手をグッと握りしめ、入線後に後輩の川田将雅騎手から声をかけられると左手を挙げてそれに応じた。
2着エポカドーロ、3着には16番人気のコズミックフォースが入り、3連単は285万馬券という大波乱。これはダービー史上最高配当である。また、馬主の金子真人オーナーはキングカメハメハ、ディープインパクト、マカヒキに次ぐ4度目の制覇。名手が幾度もの苦い敗戦の先に掴んだ初ダービーは、記憶にも記録にも残る一戦となった。
2018年日本ダービー・全着順
1着 ワグネリアン 福永祐一 2.23.6
2着 エポカドーロ 戸崎圭太
3着 コズミックフォース 石橋脩
4着 エタリオウ ボウマン
5着 ブラストワンピース 池添謙一
6着 ダノンプレミアム 川田将雅
7着 ゴーフォザサミット 蛯名正義
8着 ステルヴィオ ルメール
9着 アドマイヤアルバ 丸山元気
10着 ステイフーリッシュ 横山典弘
11着 タイムフライヤー 内田博幸
12着 キタノコマンドール M.デムーロ
13着 サンリヴァル 浜中俊
14着 グレイル 岩田康誠
15着 オウケンムーン 北村宏司
16着 ジェネラーレウーノ 田辺裕信
17着 ジャンダルム 武豊
18着 テーオーエナジー 藤岡康太
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