芝の距離延長で魅力たっぷり エピファネイア産駒の「買える条件、買えない条件」
東大ホースメンクラブ
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捲土重来へサークルオブライフ
今週日曜、東京競馬場でGⅠ・オークスが行われる。二冠がかかるスターズオンアースを筆頭に、2歳女王サークルオブライフ、堅実な走りが光るウォーターナビレラなど桜花賞組が強力も、忘れな草賞を3馬身差で快勝したアートハウス、フローラS勝ち馬エリカヴィータなどの別路線組も虎視眈々と女王の座を狙う。未体験ゾーンの2400mもあいまって予想のしがいがある楽しみなレースとなった。
1番人気に支持されそうなのがサークルオブライフ。阪神JFを3連勝で制し、チューリップ賞は3着、桜花賞は4着に終わるも、前走は内有利のコンディションから大外を回して勝ち馬から0秒1差まで追い上げる強い内容。捲土重来の機運が高まっている。
同馬の父はエピファネイア。菊花賞、ジャパンCを制したGⅠウィナーで、ディープインパクト、キングカメハメハ亡き種牡馬戦線の筆頭格に名乗りを上げるスーパーサイアーだ。今週はエピファネイア産駒の戦績を概観しつつ、馬券で買える条件、買えない条件を調査していく(データは2019年以降)。
まずはエピファネイア産駒のここまでの蹄跡を振り返ってみよう。
2019年に産駒デビュー。産駒の重賞初制覇は翌2020年まで待つこととなるが、その勝利はデアリングタクトの桜花賞。以後オークス、秋華賞を制し、史上初の無敗での牝馬三冠を達成する快挙をやってのけた。
翌年にはエフフォーリアが共同通信杯を制し、返す刀で皐月賞馬の称号をゲット。ダービーではシャフリヤールにハナ差及ばず涙を呑んだが、秋には古馬相手に天皇賞(秋)、有馬記念を制して一躍現役最強の座に上り詰めた。
GⅠでは【7-4-3-21】複勝率40.0%を記録。GⅠウィナーは前述の代表産駒2頭と、昨年の阪神JFを勝ったサークルオブライフ。その他アリストテレス、オーソクレース、ディヴァインラヴが菊花賞で好走、クラヴェルもエリザベス女王杯で3着に入ったように、父が得意とした芝の中長距離戦で躍動する産駒が多い。
現時点での産駒獲得賞金ランキング(JRAのみ)トップはエフフォーリア。4歳春にして既にGⅠ・3勝、全てが格の高いレースとあって既に7億円に迫る賞金を稼いでいる。年明け初戦の大阪杯ではまさかの9着に終わったものの、秀でた脚力は誰もが認め、次走の宝塚記念での巻き返しに期待したい。
以下、2位は牝馬三冠を制したデアリングタクト、3位には菊花賞2着のアリストテレスがランクイン。4位が今週のオークスに出走予定のサークルオブライフ、5位がトルコでの種牡馬入りが決まっているオーソクレースというラインナップだ。
距離が延びてこそ
<エピファネイア産駒を「買える条件」>
芝×距離延長:勝率8.7%/連対率18.6%/複勝率27.5%/単勝回収率138%
新馬戦:勝率11.6%/連対率20.8%/複勝率31.5%/単勝回収率158%
芝1600m:勝率12.1%/連対率22.7%/複勝率31.7%/単勝回収率166%
次に回収率の高い「買える条件」についてチェックする。
菊花賞で好走する産駒が多いように距離延長で良さが出ており、芝に限ると妙味十分な数字。2019年に単勝回収率651%を記録し、2020年は同130%、2021年同63%、2022年同126%と、2021年を除いてプラスを計上している。
GⅠでは【3-4-3-9】と過半数が馬券圏内に入り、6番人気以内では【3-4-2-1】複勝率90%、唯一の着外も2021年天皇賞(春)アリストテレスの4着、3着カレンブーケドールとはアタマ差だった。サークルオブライフは堅実に好走してくるだろう。
デビュー時からいきなり結果を残すことも特徴で、新馬戦はダート【0-1-0-37】に注意すれば基本どこからでも頼りになる。1番人気に支持されると【15-1-2-5】で65.2%の勝率を誇り、6番人気以下でも単勝回収率218%と文句のつけようがない。ダービーが終われば2歳馬がデビューする。産駒を見かけたら馬券を買っておきたい。
芝に限った距離別成績では2400m【9-6-8-39】複勝率37.1%などやはり長距離で信頼できるが、マイルでも複勝率31.7%。施行回数の多い条件とあって、覚えておきたいデータだ。
ダートでは持ち味生かせず
<エピファネイア産駒を「買えない条件」>
ダート:勝率5.6%/連対率10.2%/複勝率16.2%/単勝回収率40%
中4週以上:勝率7.8%/連対率16.5%/複勝率24.5%/単勝回収率57%
最後に「買えない条件」をピックアップ。
あくまで芝に強みのある種牡馬で、新馬戦の項でも触れた通りダートでは苦しい戦いが続く。産駒は3勝クラス以上で連対がなく、前走芝は【7-9-7-180】複勝率11.3%と評価を下げざるを得ない数字。人気を集めていても軽視して馬券の威力を高めるべきだろう。
レース間隔別では中4週以上になると成績が悪くなっていく。代表産駒のエフフォーリアは体質の問題もあり、ゆとりのあるローテーションで結果を残しているが、これはむしろ例外。全体としては間隔を詰めてタフに使われる馬の方が安定している。
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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