【金鯱賞】5連勝で一躍主役候補へ! 逃げて突破だ、ジャックドール

勝木淳

金鯱賞インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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レイパパレ、ジャックドール、ギベオン、逃げるのは?

大阪杯がGⅠに昇格して5年。2月サウジ、3月ドバイと中東で高額賞金レースが増え、時期的にメンバーがそろわないのではとの見方もあるが、昨年の大阪杯はコントレイルとグランアレグリアが出走、豪華な顔ぶれとなった。結果はレイパパレが2頭を破り、初GⅠ制覇を飾った。

大阪杯の昇格とともに金鯱賞が3月に移って5年、その出走レベルも上昇、昨年は香港を目指すデアリングタクトがここから始動した。ギベオンの逃げ切りからもう1年も経った。今年も大阪杯覇者レイパパレが香港C6着以来の休み明け。上がり馬ジャックドール、昨年覇者ギベオンと実績ある先行型がそろった。展開予想も丁寧にしたい。ここでは春に移った過去5年分のデータをもとに好走傾向について考える。


過去5年金鯱賞人気別成績,ⒸSPAIA


国内専念の中距離型の始動戦とあって、1番人気は【3-1-1-0】と馬券圏外がない。ギベオンの破壊力が記憶に新しいところだが、その昨年とて1番人気デアリングタクトが2着。ジャックドールなど先行型も気になるものの、レイパパレが大敗する場面は想像しにくい。2番人気【1-0-1-3】勝率20%、複勝率40%こそ信用できるが、3、4番人気ともに【0-0-0-5】は要注意。実績最上位馬が来つつも、そこに挑む組が結果を出せていない。6、7、8番人気の3着以内は十分考えられ、上位人気だけのガチガチ決着は想定しにくい。


過去5年金鯱賞年齢別成績,ⒸSPAIA


年齢別の傾向をみよう。春に移り、4歳は【3-2-1-10】勝率18.8%、複勝率37.5%と断然。5歳【1-2-2-13】勝率5.6%、複勝率27.8%、6歳【1-0-2-11】勝率7.1%、複勝率21.4%と若い順でいい。7歳以上は【0-1-0-11】。


過去5年金鯱賞脚質別成績,ⒸSPAIA


レイパパレ、ジャックドール、ギベオンと逃げタイプがそろった一戦なので、位置取りの傾向も考える。逃げ馬は【1-2-1-1】勝率20%、複勝率80%。前年12月、1~2月と開催が続く中京の馬場は、開幕週でも絶好の状態とはいえないものの、それでもペースが落ち着きやすい芝2000mでは逃げが武器になる。ただ、逃げ馬はあくまで1頭。どの馬が行くのかを見極めることが重要。枠の並び、陣営のコメントなどよく吟味しよう。

逃げず、番手以下先行となると【2-1-1-14】勝率11.1%、複勝率22.2%となり、中団【2-2-3-10】勝率11.8%、複勝率41.2%に大きく劣る。たとえばジャックドールが先々を考えて、控えるという作戦をとりそうならば、軽視もあり得る。逃げか中団か、メリハリをつけて考えよう。ただし後方だと【0-0-0-20】。


ジャックドールの前走白富士Sは【1-0-3-1】

4歳優勢、逃げもしくは中団待機組を中心にという傾向をつかんだところで、ここからは前走成績に注目し、もっと具体的な好走像を探っていく。


過去5年金鯱賞前走クラス別成績,ⒸSPAIA


まずレイパパレが当てはまる前走海外は【0-2-1-2】複勝率60%。好走はあるものの、勝ち馬はいない。レイパパレと同じ前走香港Cは【0-0-0-1】。好走は凱旋門賞と香港ヴァーズ、距離短縮ばかりなのはやや気になる。

好成績は前走国内GⅠ組【4-1-0-10】勝率26.7%、複勝率33.3%。今年ならアカイイト、シャドウディーヴァの有馬記念組、エリザベス女王杯のステラリアが当てはまる。


過去5年金鯱賞前走GⅠ組レース別成績,ⒸSPAIA


前走GⅠ組の内訳をみると、有馬記念【3-0-0-7】勝率、複勝率30%とちょっと極端。ただし有馬記念4着以内【3-0-0-0】。アカイイト、シャドウディーヴァともにここには当てはまらない。またエリザベス女王杯組は春に牝馬限定重賞が多いという事情もあり、5年間出走がない。

ジャックドールの前走オープンは【1-0-3-4】勝率12.5%、複勝率50%とこちらも悪くない。ちなみに前走が白富士Sだと【1-0-3-1】なので、好走はみんなこの組ということになり、ジャックドールには追い風。なお1着馬は【0-0-2-0】。逃げた馬は【0-0-1-0】。20年6番人気ダイワキャグニーが白富士S7着から金鯱賞3着と穴を開けた。


過去5年金鯱賞前走GⅠ組レース別成績,ⒸSPAIA


次に前走GⅢ【0-2-1-15】複勝率16.7%について、レース別の内訳を。好走は小倉大賞典【0-1-0-5】複勝率16.7%、中日新聞杯【0-1-0-2】複勝率33.3%、チャレンジC【0-0-1-3】複勝率25%の3レース。おそらくここが引退レースになるランブリングアレーは前走小倉大賞典2着。メンバーレベルがあがるここでも連続好走なるか。一方で、前走日経新春杯のショウナンバルディ、AJCCのポタジェ、京都記念のサンレイポケットなど前走GⅡ組が多いものの、前走がGⅡだった馬は【0-0-0-14】。不思議なことに金鯱賞で好走した馬がいない。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬 伝説の名勝負』シリーズ全4作(星海社新書)。


金鯱賞インフォグラフィック2,ⒸSPAIA



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