【注目2歳馬】阪神芝1800mの新馬戦を制したジャスティンカツミ 母譲りのパワータイプもスピードの持続力は一級品

三木俊幸

2021年12月25日阪神5Rを勝利したジャスティンカツミ,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

淀みないペースで逃げ切る

12月25日(土)の阪神5Rに行われた芝1800mの新馬戦。全兄にシュヴァルグラン、半姉にヴィルシーナ、ヴィブロスがいるという超良血馬イヴィステラ(栗東・友道康夫厩舎)や直前追い切りでは栗東坂路で4ハロン50.2という好タイムをマークしたハーツクライ産駒のノットゥルノ(栗東・音無秀孝厩舎)など素質馬が集結した。

そんなレースを勝利したのは、ルメール騎手騎乗のジャスティンカツミ(栗東・杉山晴紀厩舎)。この馬も直前の追い切りでは栗東CWコースで78.9-64.3-50.4-36.3-12.2という抜群の動きを披露していたが、レース当日は単勝8.7倍の4番人気だった。

スタートはそれほど速くはなかったが、二の足を利かせてスッと先頭に立ち、レースの主導権を握る。向正面は12.9-11.4-11.9(36.2)と軽快なラップを刻み、3角へ。コーナー部分に差し掛かっても12.2-12.3とほぼ変わらない流れで前半1000mの通過が1:00.7と新馬戦としては速い流れとなった。

4角部分の1000m〜1200mの区間は12.5で通過して最後の直線へと向いたが、11.7-11.3で楽な手応えで後続を引き離しにかかる。しかし、前半から飛ばしたことでラストは12.5と失速。道中は中団のインにいたイヴィステラの強襲にあったものの、なんとかクビ差押し切るという内容だった。

2021年12月25日阪神5Rを勝利したジャスティンカツミ,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

セレクトセールでは1億円超で落札

勝ちタイムは1:48.7、開催が進んで馬場の内側が悪い状態だったことを踏まえると時計がかかるのは致し方ないところ。馬体重494kgでガッチリした体型は現役時代に3勝中2勝がダートだった母のフォンタネットポー譲りという雰囲気でパワーも必要な馬場が合っていたと言ってもいいだろう。

何度も手前を変えたりして若さを見せる場面があったが、2020年のセレクトセールで1億4,850万円という高値で取引されただけの素質は感じる走りで、長くいい脚を使えるのがセールスポイント。距離は2000m以上でも、直線が短いコースになってもさらに良さを発揮できそうだ。

2歳戦の始まりとともに6月からスタートした本連載もこの世代はここで一区切り。2020年の2月末から始まった取材制限は未だに続いており、苦しい状況が続くなかで1つのモチベーションにしようという気持ちで取り組んできた。

結果的にクラシックで活躍が期待できそうな馬たちの新馬戦にも立ち会うことができ、細かいところまで分析することの意識付けにも繋がった。しんどさもあったが、充実した毎週末だった。

特にダービー馬、そしてクラシックホースの新馬戦を撮るという目標が達成されることを願いつつ、また改めてクラシック展望という形で総括していく予定だ。

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとして記事を執筆している。

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