【キーンランドC】ルメール騎手は複勝率50%と安定感抜群 東大HCが札幌芝1200mを徹底検証

東大ホースメンクラブ

札幌芝1200mコースデータ,ⒸSPAIA

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コース紹介

今週は札幌芝1200mを舞台に、サマースプリントシリーズ第5戦・キーンランドC(GⅢ)が行われる。今年の高松宮記念2着、重賞3勝馬であるナムラクレアや函館スプリントSの覇者キミワクイーン、22年高松宮記念ウィナーのナランフレグなど、快速自慢たちが北の大地を疾走する。

当該コースの重賞は当レースのみ。今週は夏を彩る電撃の6ハロン「札幌芝1200m」の特徴をデータで分析していく(使用するデータは特記ない限り2018年8月25日~2023年8月20日)。

まずはコース紹介。向こう正面奥のポケット地点をスタートし、円形状の独特なレイアウトの分短くなっている直線を通過、ゆるやかなコーナーをクリアすると270m足らずの最後の直線が待ち受ける。全体の高低差が1m未満という平坦でクセのないコースだ。


挟まれる中枠が厳しい

札幌芝1200m・過去5年の枠別成績,ⒸSPAIA


<札幌芝1200m・過去5年の枠別成績>
1枠【20-13-17-152】勝率9.9%/連対率16.3%/複勝率24.8%
2枠【12-17-24-156】勝率5.7%/連対率13.9%/複勝率25.4%
3枠【5-17-8-189】勝率2.3%/連対率10.0%/複勝率13.7%
4枠【10-20-16-183】勝率4.4%/連対率13.1%/複勝率20.1%
5枠【20-15-16-184】勝率8.5%/連対率14.9%/複勝率21.7%
6枠【23-16-11-190】勝率9.6%/連対率16.3%/複勝率20.8%
7枠【20-13-16-193】勝率8.3%/連対率13.6%/複勝率20.2%
8枠【23-20-26-174】勝率9.5%/連対率17.7%/複勝率28.4%

まずは枠別成績について。勝率は1枠がトップ。連対率、複勝率は8枠がトップだ。特に8枠は単勝回収率が114%と唯一黒字域を記録している。オープンでは1、8枠有利の傾向はさらに強くなり、1枠は勝率11.8%、単勝回収率197%、8枠は勝率12.5%、単勝回収率130%。経済的な進路を取りやすい1枠や、馬場のいい外目を通りやすく、馬群に包まれるリスクの少ない8枠のメリットは、メンバーレベルが高くなりやすいオープンでこそ、大きくなるのだろう。

一方、厳しいのは中枠。好走率が最も低い3枠に加え、4枠も勝率、回収率ともに低調。スタート直後に挟まれてリズムを崩されるとリカバーが効きにくいため、これらの枠でテンの遅い馬は要注意だ。

ちなみに過去5年の重賞では4枠の馬が1勝、6、7枠の馬が計5勝を挙げており、外枠有利の傾向が顕著に出ている。6枠から外の枠に入った馬で2番人気以内に限ると【2-2-0-2】と連対率66.7%を記録しており、該当馬がいれば連軸にピッタリだ。

札幌芝1200m・過去5年の脚質別成績,ⒸSPAIA

<札幌芝1200m・過去5年の脚質別成績>
逃げ【30-21-19-62】勝率22.7%/連対率38.6%/複勝率53.0%
先行【60-47-66-304】勝率12.6%/連対率22.4%/複勝率36.3%
差し【37-50-39-533】勝率5.6%/連対率13.2%/複勝率19.1%
追込【6-12-10-520】勝率1.1%/連対率3.3%/複勝率5.1%

脚質別成績ではとにかく前が有利で、逃げ馬は半数以上が馬券に絡んでおり、先行馬も複勝率が4割近くある。条件戦などの下級条件では、とにかく前の馬を狙うのが重要だ。

全体成績では厳しい後方勢も重賞では結果を残しており、ヴェントヴォーチェやダノンスマッシュなどの実力馬たちが鋭い末脚で連対圏に突っ込んできている。データ上でも同コースの重賞では、上がり最速を記録した馬は【2-1-0-4】で勝率28.6%、単勝回収率397%と好成績を残しており、差し馬の軽視は危険だ。


ロードカナロア、ダイワメジャーの2強

札幌芝1200m・過去5年の種牡馬別成績,ⒸSPAIA


<札幌芝1200m・過去5年の種牡馬別成績>
ロードカナロア【10-12-9-76】勝率9.3%/連対率20.6%/複勝率29.0%
ダイワメジャー【9-3-5-68】勝率10.6%/連対率14.1%/複勝率20.0%
モーリス【4-2-3-20】勝率13.8%/連対率20.7%/複勝率31.0%
スクリーンヒーロー【4-2-2-29】勝率10.8%/連対率16.2%/複勝率21.6%

種牡馬別成績ではロードカナロアが勝利数トップ。19年にダノンスマッシュ、21年にレイハリアがキーンランドCを制しており、このコースとの相性は抜群。下級条件よりは上級条件が狙い目であり、オープンでは【2-1-1-8】で勝率16.7%、単勝回収率199%となかなかの好成績を残している。

それに続くのがダイワメジャー。3位に5勝差をつけており、ロードカナロアとの2強体制を形成している。狙い目は下級条件。特に未勝利戦では【4-1-0-12】で驚異の勝率23.5%、単勝回収率366%を叩き出している。

大きく離された3位はモーリス。しかし、勝率13.8%、単勝回収率192%はともに上位2頭を上回っており、出走数が少ないながらも非常に優秀な成績を残している。こちらも狙い目は下級条件で、未勝利戦や1勝クラスではベタ買いするだけでプラスになる。

ほぼ差のない4位がスクリーンヒーロー。単勝回収率は119%とこちらもプラス域を記録している。前走からの距離短縮組が【2-2-0-6】で勝率20.0%と覚えておきたい。

今年のキーンランドCではキミワクイーン、ジュビリーヘッド、レイハリアと、3頭のロードカナロア産駒が出走予定。ナムラクレアが該当するミッキーアイル産駒は【1-3-2-20】で勝率3.8%、複勝率23.1%となかなか勝ちきれていない。その他、アイルハヴアナザー(ウインマーベル)は【0-1-1-5】、ビッグアーサー(トウシンマカオ)は【1-1-1-20】、ラブリーデイ(ゾンニッヒ)は【1-0-1-3】である。

札幌芝1200m・過去5年の騎手別成績,ⒸSPAIA


<札幌芝1200m・過去5年の騎手別成績>
ルメール【14-10-4-28】勝率25.0%/連対率42.9%/複勝率50.0%
横山武史【12-8-10-54】勝率14.3%/連対率23.8%/複勝率35.7%
丹内祐次【12-7-8-73】勝率12.0%/連対率19.0%/複勝率27.0%
武豊【8-10-4-30】勝率15.4%/連対率34.6%/複勝率42.3%

14勝を挙げ、トップに君臨しているのがC.ルメール騎手。特に上級条件では無類の強さを見せており、オープンでは【2-2-0-2】、重賞では【1-1-0-1】でともに複勝率66.7%と高い信頼度を誇っている。

その背中を追うのが12勝の横山武史騎手だ。単勝回収率は102%とプラス域。積極的な先行策で結果を出しており、先行できた場合は【9-2-5-11】で勝率33.3%、単勝回収率261%を記録している。

北海道開催を得意とする丹内祐次騎手が同じ12勝で3位。単勝回収率は197%と妙味十分だ。1枠に入った場合は【3-1-1-6】で勝率27.3%、単勝回収率504%を記録しており要警戒である。

4位は、少し離された8勝で武豊騎手。逃げた場合、【0-2-2-1】で勝ち星はないものの、複勝率80.0%と非常に安定した成績。このコースで挙げた8勝のうち、7勝は前走の脚質が差し、追込だった馬で挙げたものだ。単系馬券で狙うなら末脚自慢の馬に騎乗する時がオススメだ。

今週のキーンランドCでは横山武史騎手がキミワクイーン、武豊騎手がゾンニッヒに騎乗予定。シュバルツカイザーに騎乗予定のJ.モレイラ騎手は【1-1-0-2】、ナムラクレアに騎乗予定の浜中俊騎手は【2-2-1-12】の成績を残している。その他、松山弘平騎手(ウインマーベル)は【1-1-0-2】、鮫島克駿騎手(トウシンマカオ)が【4-1-4-22】となっている。


札幌芝1200mコースデータ,ⒸSPAIA



《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログで予想を公開中。

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