【注目2歳馬】勝ちタイムは平凡も中身の濃いレース 良血馬サイードの距離適性は?

三木俊幸

新馬戦を評価したサイード,ⒸSPAIA

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ゴール前でキッチリ差し切る

7月10日(土)の小倉競馬は重賞もなく、場内はのんびりとした雰囲気。今回はそんな中で行われた芝1200mの新馬戦を取り上げる。出走馬は7頭と少ないレースとなったが、勝利したのはサイード(栗東・角田晃一厩舎)だった。

父キズナ、母セレブラールという血統で、半姉にアイビスサマーダッシュを連覇するなど重賞5勝のベルカント、今年の京都牝馬Sを勝利したイベリスがいるという良血馬だ。デビュー前の調教でも良い動きを見せており、単勝1.8倍という断然人気に推されていた。

それほど速いスタートではなかったが、じわっと押し上げていき4番手を追走。3、4角中間地点から外目を通って進出していき、直線に向いた時点で先頭へと並びかけた。手応えでは楽に突き抜けるようにも見えたが、内で粘るザウリとビップシュプリームもしぶとく食い下がり、2着ザウリをクビ差交わしたところがゴールというレースだった。

午前中に雨が降った影響があったとはいえ、1:08.8のタイムは平凡。しかし、レースラップは12.2-10.5-11.1-11.8-11.3-11.9、サイードは2ハロン目の10.5というところでは掛かることなく脚をため、ラスト3ハロン目の11.8と落ち着いたところから、ラスト2ハロン目に11.3と再び速くなった地点にかけて自ら動いていった。

最後は全馬苦しくなって11.9となったが、差し切って接戦をモノにした点は評価に値する。パドックでジョッキーが騎乗しようとした際にやや暴れる仕草を見せるなど、気性面の難しさも抱えていそうだが、バランスの良い馬体とレースぶりからも決して1200mに特化したスプリンターという感じではない。1400m前後での活躍が期待される。

新馬戦を勝利したサイード,ⒸSPAIA



2021年の一番星に輝くのは

今週末は早くも2歳最初の中央重賞、函館2歳Sが行われる。小柄な馬体ながら後続に4馬身差をつけて1:07.9というタイムでレコード勝ちしたポメランチェ(栗東・牧田和弥厩舎)、同じく1000mのレコードタイムをマークしたカイカノキセキ(栗東・池添学厩舎)、さらに新種牡馬シルバーステート産駒のメリトクラシー(栗東・武幸四郎厩舎)などが出走を予定している。

新馬戦では土曜日の小倉5R、牝馬限定の1800m戦にサトノフラッグ、サトノレイナスの妹ヴァラダムドラー(栗東・松下武士厩舎)が出走予定。また日曜日の函館5Rを予定しているディアドラの全弟、リューベック(栗東・須貝尚介厩舎)にも注目したい。

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在は競馬ライターとしてだけでなく、カメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場で取材活動を行っている。

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