【スパーキングレディーC回顧】大井所属フェブランシェがダートグレード初制覇 吉原寛人騎手の積極策が勝利のポイント

2025-07-10 12:00:07三木俊幸
2025年スパーキングレディーC勝ち馬フェブランシェ,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

「さらに上のダートグレードに挑戦して勝ちたい」

川崎競馬場を舞台に行われた牝馬限定重賞・スパーキングレディーカップ(JpnⅢ・ダート1600m)は大井所属で吉原寛人騎手騎乗のフェブランシェが優勝。通算では重賞3勝目、ダートグレード競走はこれが初制覇となった。

10頭立てとなったレースを引っ張ったのはニシノカシミヤ。しかしフェブランシェもスタート直後に鞍上が積極的に促して2番手につけると、2頭が3番手以下を引き離して12.1-11.6-12.5(36.2)というペースで最初の600mを通過していった。

向正面に入ってニシノカシミヤが13.3とペースを落としたところで、外から徐々に差を詰めて先頭に入れ替わると吉原騎手はそのまま躊躇なく加速して向正面半ばから3角入口にかけて、800m〜1000mまでの区間で11.7と一気にペースアップ。

「斤量差をしっかり活かしたいというところで早めに抜け出しました」と吉原騎手が語ったように、JRAの実績馬テンカジョウとアンモシエラが58kg、ライオットガール57kgに対しフェブランシェは55kg。物見をしたり、折り合いにも難しい面もあるなかでもアドバンテージを最大限活かせるタイミングで動いたことが勝負を大きく引き寄せたポイントだったと言える。

その後は13.1-13.3-13.8と13秒台の減速ラップとなったが、ペースが上がったところで差が離れて脚を使わされたJRA勢は伸び切ることができず。後続には1馬身半差、直線も危なげなく押し切る内容で、勝ちタイムは1:41.4(良)で決着した。


2025年スパーキングレディーC勝ち馬フェブランシェ,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)


JRAでデビューしたフェブランシェは3勝クラスまで昇級し、昨秋に大井の藤田輝信厩舎に移籍。初戦となった3走前の東京シンデレラマイル、前走のしらさぎ賞をそれぞれ5馬身差で快勝していることと、今回の内容からも1400〜1600mが適距離だろう。

「さらに上のダートグレードに挑戦して勝ちたいなという気持ちになりました」という言葉もあったが、吉原騎手とのコンビで今後はどんなレースに駒を進めていくのか、引き続き注目したい。


1番人気テンカジョウは3着まで

前走、平安Sを大敗しての出走で5番人気とやや評価を下げていたライオットガールは、道中5番手インからロスなく立ち回って2着。斤量57kgを背負っていたが、ダート牝馬路線では安定した成績を残していたように、ここでも最後はただ一頭フェブランシェへと迫る走りを見せた。

兵庫女王盃、エンプレス杯を連勝しての参戦となった1番人気テンカジョウは、4番手の外を追走するも伸びきれず。3着に入ったが、マーブルマカロンとの争いを制するのが精一杯でライオットガールからは2馬身半差で案外の内容だった。斤量58kgを背負っていたこともあるが、スタート後からの行き脚もいつもより鈍く、初めての1600mにも対応しきれていなかったようにも感じた。


テンカジョウ,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

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《ライタープロフィール》
三木俊幸
編集者を経てフリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場でレースシーンを撮影しながら、執筆活動も行っている。

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