【JBC】ミューチャリーが地方馬初のJBCクラシック制覇! 川田将雅騎手は見事な騎乗で2勝の活躍
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
8年ぶりの金沢開催
今年は2013年以来8年ぶりのJBC開催となった金沢競馬場でJBCレディスクラシック(JpnⅠ・ダート1500m)、JBCスプリント(JpnⅠ・ダート1400m)、JBCクラシック(JpnⅠ・ダート2100m)の3レース、そして門別競馬場でJBC2歳優駿(JpnⅢ・ダート1800m)が行われた。
レース当日は事前抽選を突破した人のみが入場することができ、金沢競馬場では入口で着物姿の女性がお出迎え。来場した人にはレーシングプログラム、JBCマフラータオル、金沢のほうじ茶と北海道のコーン茶という両競馬場にゆかりのある場所のお茶、そして金沢競馬のバウムクーヘン「カナザワ・ケイバウム」がプレゼントされた。
天候は朝から青空が広がっていたが、昼前からは徐々に黒い雲が立ち込め、6R発走直前には短時間ではあったものの大粒の雨が降った。それでもJBCレディスクラシック発走時には再び晴天へと戻っていた。
ロスのない立ち回りから突き抜ける
JBCレディスクラシックで単勝2.9倍の1番人気に支持されたのは川田将雅騎手騎乗のテオレーマ。前走のレディスプレリュード2着からの巻き返しを狙った一戦だったが、近2走は馬体重480kg台後半と太めだったものの、当日は476kgで−10kgとベスト体重に戻してしっかり結果を残してみせた。
スタートしてからズラッと横並びとなった先行争いからサルサディオーネが逃げ、2番手にマドラスチェックという隊列に落ち着いたかと思ったところ、内からリネンファッションが前へと並びかけていく。
それらを見る形で中団の内目からレースを進めていたテオレーマは3角から徐々に進出を開始し4角では4番手というポジション。そして直線だけ外へと持ち出すロスのない立ち回りから最後は2馬身半差をつけての快勝。1:32.1というレコードタイムをマーク。
マドラスチェックは昨年に続き2年連続の2着、3着には積極的なレース運びを見せたリネンファッションという結果に。前哨戦を制したレーヌブランシュは1角でバランスを崩したことも影響してか、4着までだった。
直線最内を突く見事な手綱さばき
続いて行われたJBCスプリントは、レッドルゼルが1番人気に応えて1:24.6のレコードタイムで3馬身差をつけて快勝した。
大外12番ゲートから好スタートを切ったレッドルゼルは5、6番手のやや外目からレースを進めた。3角から徐々に内へと進路をとり、4角では最内を突くという大胆な作戦に出た。金沢のダートは内が伸びないと言われるが、6R直前に降った雨で水分を含んだ馬場となったことを読み切った見事な手綱さばきが光った。
この勝利で川田将雅騎手はJBCレディスクラシックに続いての連勝。今週末にアメリカで行われるブリーダーズカップ遠征に向けて、最高の形で弾みをつけることができたと言っていいだろう。
2着にはレッドルゼルと同じ最内を突いたサンライズノヴァ、3着には逃げたモズスーパーフレアと音無秀孝厩舎の2頭が入った。地方馬はモジアナフレイバーの4着が最先着だった。
後方追走から豪快に差し切る
ここで舞台は北海道・門別競馬場へ。西日が差し込む中で、2歳馬たちによる争いJBC2歳優駿が行われた。地元ホッカイドウ競馬所属でサンライズCを勝ったナッジ、同レース2着のシャルフジンが人気を集めていたが、勝利したのはJRA所属馬のアイスジャイアントだった。
スタート後にやや挟まれる形となり、後方からのレースとなったアイスジャイアント。しかし向正面から進出を開始し、直線では大外から伸びて一気に差し切るというレース内容だった。
直線で最内から伸びたナッジが2着、アイスジャイアントと並んで外から伸びたリコーヴィクターが3着という結果だった。
21回目での悲願達成!地元の名手が導く
再び金沢競馬場へと戻り、ラストを飾るJBCクラシック出走馬がパドックに登場。前走で帝王賞を制するなど3連勝中だったテーオーケインズが1番人気、2番人気にはオメガパフュームとJRA勢が上位に支持されていた。
しかしレースを制したのは、地方・船橋所属のミューチャリー。道中は逃げるダノンファラオ、カジノフォンテンを見る形の3番手を追走。4角で先頭に並びかけ、直線では早めに先頭に立った。最後は外からオメガパフュームが迫ってきたが、半馬身差凌ぎ切り勝利。
3着にはチュウワウィザードが入り、1番人気のテーオーケインズはスタートで出遅れ、道中好位まで巻き返してのレースだったが4着に終わった。
この勝利は、今年で21回目の開催となったJBC史上初の地方馬によるJBCクラシック勝利。「今年こそ、絶対に、絶対に、絶対に、日本ダートの頂点へ。絶対、JBC」というキャッチコピーに相応しい悲願達成。そして導いたのは地元金沢の吉原寛人騎手という何とも感動的な結末だった。
ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとして記事を執筆している。
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