【帝王賞予想】地方の雄・カジノフォンテン路線制圧なるか 穴は人馬の南関勢!

2021-06-30 06:00:21SPAIA編集部 鈴木佑也
帝王賞過去5年間の優勝馬ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

挑戦者たちの血を継いで

「地方の雄」というフレーズで、あなたが思い出すのはどの馬だろうか。

地方馬として史上初、そして唯一のフェブラリーS優勝を果たした岩手のメイセイオペラか。笠松から中央に殴り込みをかけ、日本競馬史に名を刻むスーパースターとなったオグリキャップか。それとも、岡田繁幸氏の夢を一身に背負い、ホッカイドウ競馬所属のままクラシックという重い扉に手をかけるところまで迫ったコスモバルクだろうか。

父はダートの本場アメリカで戦いを挑んだカジノドライヴ、母は上山競馬場でのデビューから中央勢を相手取って交流重賞2勝を挙げたジーナフォンテン。偉大なる挑戦者たちの血を確かに引いた、「地方の雄」カジノフォンテンは川崎記念、かしわ記念を連勝し、帝王賞でダート界完全制圧に挑む。

これを迎え撃つ中央勢も役者揃い。ドバイWCで2着に健闘したチュウワウィザード、交流GⅠ・4勝を全て大井2000mで挙げるオメガパフューム、ダートに転じて再浮上を遂げた古豪クリンチャー、4歳の新星テーオーケインズ、昨年のJDD勝ち馬ダノンファラオなど。

春の国内ダート戦線を締めくくるにふさわしい好メンバーの一戦。「帝王」の座につくのは果たしてどの馬か。過去のデータも見ながら予想していこう。

意外に荒れる?

帝王賞過去5年間の優勝馬ⒸSPAIA



交流GⅠ、特に中長距離というと、事実上の少頭数戦となって堅い決着が多いイメージがあるだろう。ただ、帝王賞に関しては意外とそうでもない。1番人気は5連敗中、過去10年でわずか2勝。2・3着が多く、大崩れもしていないが、勝ったのは2011年のスマートファルコン(単勝1.2倍)、2015年ホッコータルマエ(単勝1.5倍)だけなので、単勝回収率27%となる。

もちろん、交流重賞の性質上、多くて7番人気くらいまでの馬にしか実質は勝機のない年がほとんどなのだが、1番人気を素直に買うよりは、少しひねったところから入った方が面白いだろう。

帝王賞の好走馬と前走成績ⒸSPAIA



続いて上位好走馬の前走を見る。3着内だった30頭、前走の内訳は多い方から、かしわ記念が12頭、平安Sが6頭、フェブラリーS、ドバイWC、ダイオライト記念が各2頭となる(1頭しか好走例のないレースは割愛)。ステップレースにあたる、かしわ記念か平安Sのどちらかを順調に使えている組が強い。

特に、平安S組は直近4年で5頭の連対馬が出ており、「トレンド」といってもいい。かつてダートのトップ級は当然のようにフェブラリーS→かしわ記念→帝王賞というローテで来ていたが、今年も前走かしわ記念組がカジノフォンテン1頭しかいない(間に1走挟んだミューチャリーを含めても2頭)。

ダート界にも路線分化の風潮が来ていて、中距離型はマイルを挟まないorマイル向きの馬は帝王賞をパスする、という流れになっているのだろう。トレンドに沿って平安S組のオーヴェルニュとマルシュロレーヌに注目したい。

そして、前走がかしわ記念1着だった馬は【3-2-0-2】。連対を外したのは2000m初出走、マイル以下でしか好走経験のなかった昨年のワイドファラオと、既に9歳だった2015年のワンダーアキュート。東京大賞典で2着、川崎記念1着と距離不安のない5歳カジノフォンテンの信頼度は高そうだ。

「人馬の」南関勢に期待

本命はマルシュロレーヌ。近年好調の平安S組、交流重賞3勝の牝馬だ。その平安Sでは3着に敗れてしまったが、この馬の武器は昨年の桜島Sやレディスプレリュードで見せた火の出るような強烈な末脚。雨の降った高速馬場、アメリカンシードが作った脚を溜めさせない流れとは相性が悪かった。

エンプレス杯を勝った時の2.14.1という時計は、同舞台の交流GⅠ・川崎記念2.14.9と比べても速い。もちろん、当日の馬場差、ペース差を加味するとやや川崎記念の方が優秀なのは否定できないが、大きな差ではない。今回は南関リーディングの森泰斗騎手を起用。大井コースを知り尽くした頼もしい鞍上の手腕含めて、牡馬撃破に期待する。

対抗はカジノフォンテン。距離不安もなく、かしわ記念1着馬のデータも含め大崩れの心配はなさそうだ。ただ、今回は川崎記念、かしわ記念と比べてもさらに一枚、相手関係が強化される。また、以前は右回りにぎこちなさを見せていた馬でもあり大井に戻ることも一抹の不安。簡単に勝てるような条件ではない。裏を返せば、ここも突破するようだといよいよ未来が明るい。

3番手はオメガパフューム。大井【4-3-0-0】の戦績は立派。ただ、昨年末の東京大賞典はこの馬が7度走った当コースでのワーストとなる2.06.9の時計で、カジノフォンテンにクビ差の辛勝。川崎記念では影も踏めずに完敗。デキ落ちか、年齢による衰えではないかと疑うような内容だった。ここ2年と同じ平安Sを使うローテを踏襲できなかったあたりも邪推してしまう。

以下、ドバイ帰りが不安要素も安定感抜群のチュウワウィザード、上がり馬テーオーケインズ、穴では大井記念の走破時計2.04.3、内容ともに秀逸なミューチャリーまで印を回す。

オーヴェルニュは強い内容だった重賞2勝がともに中京の道悪、高速馬場という条件。スピードに勝ったタイプで、タフな地方の砂でさらなる距離延長はどうか。ダノンファラオは揉まれ弱い上に、出脚の速くない馬。中枠で距離短縮というのは難しい。

クリンチャーも2戦続けての圧勝、ルメール騎手を配して人気になりそうだが、その近2走で負かした相手はOP特別レベル。ここは外して点数を切り詰めたい。

▽帝王賞予想▽
◎マルシュロレーヌ
◯カジノフォンテン
▲オメガパフューム
△チュウワウィザード
×テーオーケインズ
☆ミューチャリー


《関連記事》
【CBC賞】1番人気勝率わずか7%! 小倉芝1200mのコース傾向から浮かび上がる穴馬とは
【ラジオNIKKEI賞】リッケンバッカーは危険? 内枠ならロードトゥフェイムの一発に期待 覚えておくべきデータ
上手な付き合い方のコツは?ルメール騎手の「買える、買えない条件」