【北海道スプリントC】ヒロシゲゴールドが重賞初制覇 馬産地・門別競馬場の魅力とは
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
ゴール前差し返す
札幌方面から高速道路を走っていると左右には放牧地、そして遠くに見える馬たちの姿。馬好き、競馬好きにはたまらない風景を尻目にたどり着いたのは馬産地・日高にある門別競馬場だ。今回は交流重賞、北海道スプリントC(JpnⅢ・ダート1200m)を中心にレース当日の模様を振り返っていく。
1番人気に推されたのは、前走の東京スプリントで重賞初制覇を飾ったリュウノユキナ。ポツポツと雨が降り始めた中で、やや伸び上がるようなスタートとなったが、すぐに巻き返し好位のインコースへと取りつく。しかし、ダッシュよくハナを奪ったのは地元北海道のアザワク、4角まで自慢のスピードを見せつけたものの、直線に向いてからはJRA勢の力が違った。
残り200mを切ったあたりからリュウノユキナとヒロシゲゴールドの2頭による一騎打ちに。ゴール前、内から差し返すようにひと伸びしたのはヒロシゲゴールドのほうだった。これまで重賞で2着2回、3着1回とあと一歩届かずにいたが、8回目の挑戦で重賞タイトル獲得となった。3着には中団から追い込んだスマートアルタイル、9歳馬ニットウスバルが地方馬最先着の4着という結果だった。
素質馬が揃った中で4馬身差の快勝
北海道スプリントCから約3時間前に行われたのは、JRA認定フレッシュチャレンジ(ダート1700m)。能力検査では2番手追走から、50.1というタイムで最先着を果たしていたロンドンボーイが断然の人気を集めた。
しかし、ロンドンボーイは4着まで。勝利したのは道中2番手を追走していたオンストロン。能力検査では52.4という平凡なタイムで3位入線と目立ったところがなかったものの、若馬にとってはタフな門別1700mの舞台で後続に4馬身差をつけた。
素質馬が揃っていたレースでのパフォーマンスだけに価値は高いと言える。ホッカイドウ競馬での重賞だけでなく、秋以降に南関東への遠征も考えられる馬。レース後、騎乗していた阿部龍騎手から「まだ若い」という言葉が聞かれたことからも、さらなる成長が期待できる。覚えておいて損はないだろう。
スタンド前のスタート地点は迫力満点
今回は残念ながら無観客開催となってしまったが、初めて訪れた門別競馬場の印象はとにかく馬との距離が近い。パドックでは馬の息遣いが聞こえ、スタンド前の1700mのスタート地点は迫力満点。そして静まり返っていたものの、暗闇の中に光る競馬場の風景は美しかった。
今回は雲の多い天候で、夕景を撮影することは叶わなかったが、晴れた日には綺麗な風景が広がる。スタンドの規模は大きくないものの、テレビの画面だけでは感じられない良さがある。
都会にいては味わうことができない独特の雰囲気を醸し出す門別競馬場──。また一つお気に入りの競馬場に出会うことができた。
ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在は競馬ライターとしてだけでなく、カメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場で取材活動を行っている。
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