【帝王賞】2020年上半期ダートの総決算 強敵相手で輝く注目とは?
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馬場の低速化でよりタフなレースに
6月24日(水)の夜に大井競馬場で行われるのは帝王賞(JpnⅠ・ダ2000m)。上半期のダート路線を締めくくる一戦だ。昨年のチャンピオンズC馬で国内では負けなしのクリソベリルや大井で交流GⅠ3勝のオメガパフューム、川崎記念を圧勝したチュウワウィザードなど、超豪華メンバーが集結したこのレースを検討していく。
まずはレース傾向から。帝王賞における過去10年の成績を見ると、勝ち時計の変化が特徴的。2011年にはスマートファルコンが2.01.1という時計で逃げ切っているが、直近3年は2分4秒台の決着。これは帝王賞に限った話ではなく、大井競馬場の馬場自体が低速化していることによるものだ。
帝王賞1~3着馬の脚質を見ても14年以前は逃げ先行ばかりで決まっていたのが、最近は差しや追い込みも届くように傾向が変化している。
今年のメンバーではワイドファラオの逃げが濃厚だ。同馬は好走歴が全てマイル以下という馬。スピードがありすぎるので、2000m戦としては速いペースが想定される。大井の長い直線で、存分に末脚を活かせる差し馬に食指が動く。
クリソベリルに暗雲?
帝王賞の前走着順別成績を見ると、前走1着馬が最多の10連対で、連対率も32%と好調。前走2着馬が同20%となり、3~5着は15%前後。前走6着以下から連対した馬は1頭もいなかった。
一見すると当然の傾向にも見えるが、ポイントは「前走6着以下」にはドバイワールドCに挑戦していた、本来なら路線でトップクラスの強豪も含まれていること。つまり、単純に前走大敗した“弱い馬”が来ないというだけではなく、遠征して格上相手に戦った後の馬も苦戦していることを意味している。
ちなみに、ドバイ遠征帰りが厳しいのは帝王賞だけでなく、宝塚記念にも共通する傾向。輸送距離が長い上に酷暑のドバイは、香港や豪州への遠征以上にダメージが残りやすい。今年に限って言えば、レース自体は中止になったため、どのくらいの影響が残るか読めないところではあるのだが。ともかく、クリソベリルはサウジCで7着以来のレースとなる。果たしてこの不穏なデータを跳ね返せるだろうか。
中央馬相手でこそ真価を発揮
本命はノンコノユメ。南関勢ではモジアナフレイバーと双璧の存在だが、昨年の帝王賞・東京大賞典ではこちらが先着。反対に勝島王冠では2馬身差をつけられての完敗。脚質的な問題もあるが、中央馬相手のシビアな流れになってこそ真価を発揮する馬で、器用さがないので南関同士では取りこぼすことも。
前走ブリリアントCは、1800mのレースで1000m通過が64.7秒という超スローペース。こういうレースで負けるのは参考外でよい。昨年はドバイで大敗して南関転入初戦という臨戦過程で3着。今年の方が過程としては断然いい。強い相手だが一矢報いる可能性は秘めている。
対抗はオメガパフューム。大井では交流GⅠ3勝を含む【3-1-0-0】と完璧な成績。ゲートでやや後手を踏むような面があった馬だが、平安Sは好発を決めて課題もクリア。死角らしい死角が見当たらない。
3番手はチュウワウィザード。川崎記念の圧勝自体は相手関係を考えるとそれほど強調できるものではないが、どんな競馬でもできる安定感が強み。ただ、言い換えれば浦和や川崎のようなレースセンスがモノを言うコースの方がベターで、純粋なエンジン勝負になりやすい大井だと前述のオメガパフュームがやや上手か。
以下、印は長休明け2戦目のルヴァンスレーヴと、復調気配のケイティブレイブに回す。
「前走6着以下」のデータに引っかかるモジアナフレイバー、クリソベリルはどちらもドバイ遠征(レースは実施されず)の反動が不安。モジアナフレイバーは反応がよすぎる反面、使える脚が短いため、2000mで中央馬相手だと最後甘くなってしまう。
クリソベリルは昨年のチャンピオンズCで無敗のまま古馬も制圧したが、この時は枠順にも恵まれ、インの3番手をとり切った鞍上の好騎乗もあってのもの。抜けた存在とまではいかない。オッズとの相談にはなるが、押さえ程度に留めておきたい。
かしわ記念を勝ったワイドファラオは距離適性がマイルまでという見立てで、今回は見送りとした。
▽帝王賞予想▽
◎ノンコノユメ
○オメガパフューム
▲チュウワウィザード
△ルヴァンスレーヴ
×ケイティブレイブ
×クリソベリル