【マイルCS】富士S組ガイアフォース、ジャンタルマンタルら中心 “傾向変化”に乗りたいスワンS組オフトレイルも警戒

勝木淳

過去10年のデータから見るマイルCS,ⒸSPAIA

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上位人気5頭による混戦模様

今年のマイルCSは掛け値なしに好メンバー。富士Sから6頭、日程が変わったスワンSも5頭いて、毎日王冠勝ち馬、アイルランドT勝ち馬、さらに中距離からの転戦組もいる(除外対象含む)。そこにロイヤルアスコット開催クイーンアンSを勝ったドックランズも来日する。

前走で重賞馬券圏内に入った馬が8頭も登録してきた。国内マイル戦線の頂上決定戦にふさわしいメンバー構成に胸が躍る。ここからは20~22年の阪神開催を含む過去10年分のデータを使用しながら、今年のマイルCSを展望する。

人気別成績,ⒸSPAIA


人気別では1番人気【2-1-1-6】勝率20.0%、複勝率40.0%、2番人気【0-4-1-5】複勝率50.0%と堅実だが、ちょっと物足りない数字だ。一方で3番人気【2-3-0-5】勝率20.0%、複勝率50.0%、4番人気【3-0-1-6】勝率30.0%、複勝率40.0%、5番人気【2-0-2-6】勝率20.0%、複勝率40.0%とその下も数字がいい。

上位人気5頭による混戦。これが近年のマイルCSのセオリーだ。その下の穴馬はさほど目立つ成績を残しておらず、大穴の期待は薄いものの、中穴程度なら組み合わせ次第で十分狙えそうだ。

年齢別成績,ⒸSPAIA


年齢を比べると、3歳【3-1-2-27】勝率9.1%、複勝率18.2%、4歳【4-5-4-32】勝率8.9%、複勝率28.9%、5歳【2-3-4-52】勝率3.3%、複勝率14.8%と年齢の若い順に数字は高く出ている。

しかし、分母を踏まえると、そう離れた印象はなく、この3世代は互角であり、数でみると、4歳が少しリードといった感じだ。マイルの頂点を競うレースらしく、スピードの充実度愛が試される。

富士S1~3着馬を素直に買う

富士Sを勝ったガイアフォースと惜敗を喫したものの、春のマイル王ジャンタルマンタルの対決を軸に、休み明けを叩いた昨年の勝ち馬ソウルラッシュ、スワンSを勝ち、直近2戦の重賞を連続好走中のオフトレイルとかえすがえすも楽しみなメンバーだ。

前走クラス別成績,ⒸSPAIA
前走GⅠ・着順別成績,ⒸSPAIA


前走クラス別では、前走GⅠ【4-2-3-21】勝率13.3%、複勝率30.0%に注目。こちらはスプリンターズS【2-0-1-5】勝率25.0%、複勝率37.5%。好走は1、2着【2-0-0-1】など5着以内のみ。6着以下は【0-0-0-2】と数は少ないが、カンチェンジュンガ、トウシンマカオはこのメンバーではやや強調しづらい。

前走天皇賞(秋)は【1-1-2-7】勝率9.1%、複勝率36.4%。こちらも4着以内が好走条件であり、二桁着順だと【0-0-0-5】。どちらも距離が変わって巻き返すというイメージをもちがちだが、前走GⅠの着順内訳をみても、好走していないと苦しく、掲示板をはずすと【0-0-0-13】。前哨戦組を上回る勢いはなさそうだ。

前走GⅡ・レース別成績,ⒸSPAIA


前走GⅡ【5-4-7-72】勝率5.7%、複勝率18.2%は数も多く絞りにくい。そこでレース内訳を出すと、富士S(GⅡ昇格以降)は【3-0-1-21】勝率12.0%、複勝率16.0%。こちらも好走が条件であり、3着以内【3-0-0-8】、4着以下【0-0-1-13】となる。

ガイアフォース、ジャンタルマンタル、ソウルラッシュは人気でも逆らえない。京都替わりならソウルラッシュの逆転に期待したいところだが、ジャンタルマンタルの充実ぶりも引けをとらない。

もうひとつ、毎日王冠【2-3-2-17】勝率8.3%、複勝率29.2%も深掘る。こちらは1着馬が【0-1-0-5】と物足りず、2~4着【2-2-1-3】が目立つ。5着以下【0-0-1-9】なので、勝ったレーベンスティールも含め、今年の出走馬はデータ上は強気になれない。

前走スワンS【0-1-2-27】複勝率10.0%は額面通りに受けとれない。これは中2週時代のデータであり、日程が動き中5週となり、メンバーレベルが上がった今年は傾向に変化があるだろう。

その筆頭はオフトレイルだろう。スワンSは中団から上がり600m33.2で差し切った。追い込み一辺倒から脱却し、末脚で勝負に出られるようになった。今度はGⅠで勝ち負けを演じても驚かない。

過去10年のデータから見るマイルCS,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『もう一つの引退馬伝説2 関係者が語るあの馬たちのその後』(マイクロマガジン社)に寄稿。

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