【エリザベス女王杯】持続する末脚がコース特性にマッチ 京大競馬研の本命はレガレイラ

京都大学競馬研究会

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下り坂からのロングスパート戦

11月16日(日)にエリザベス女王杯(GⅠ)が行われる。3歳から秋華賞の2、3着馬をはじめとする世代屈指の実力馬が参戦。それをオールカマーで復活Vを決めたグランプリホース・レガレイラら歴戦の古馬達が迎え撃つ。秋の女王決定戦にふさわしい16頭が揃った注目の一戦だ。

以下では、本レースが行われる京都芝2200mのコース形態とそれに起因するレースの質、そして想定される展開を踏まえ予想する。

まずは京都芝2200mのコース形態をみる。正面スタンド前直線入り口付近からスタートし、初角までの距離は約400m。外回りコースを使用する。平坦な1〜2コーナーを回るとバックストレッチは約500m。向正面半ばから上り坂で、3コーナーで頂上、そこから4コーナーに向けて一気に下る。最終直線は399m(Bコース使用時)で平坦となっている。これが今回のコースレイアウトだ。

まず注目すべきは初角までの距離が約400mと比較的長い点だ。スピードに乗る2F目が直線にあたるため、先手争いが激しくなりやすい。

1〜2コーナーに入るとペースは落ち着く。また、向正面も半ばから上り坂であるため、ここでもペースが急激に上がることはない。

加速するのは3コーナー、坂の頂上から。ここから急な下り坂に転じる。中盤の緩んだペースで脚を溜めた先行勢が一気に加速していく。最終直線に入るまでに後方勢が先行勢とのポジション差を埋めにくい。

ただしこのコースの場合、初角までの距離が長く序盤の先行負荷が大きいことと、最後の直線が長いこともあり、坂の頂上からのロングスパート戦で地力のない先行勢は最終直線半ばで脱落する。

したがって、下り坂を活用して高い機動力で前目の位置までマクれる差し脚確かな馬が恵まれやすい。これがこのコースが持つレースの質だ。

エリザベス女王杯の上がり5位以内馬成績,ⒸSPAIA


<エリザベス女王杯 上がり3F順位別成績>
上がり5位以内
【9-5-6-39】
勝率15.3%/連対率23.7%/複勝率33.9%
単勝回収率130%/複勝回収率109%
※京都開催の直近10年

この傾向は数字にも表れている。エリザベス女王杯における上がり3F5位以内馬の成績は上記の通り優秀だ。勝ち馬10頭中9頭がメンバー上位の上がりを使っていた。どの位置から競馬をする場合でも、メンバー上位の末脚を使えることが勝利のための鉄則といっていい。

しかし、馬券に絡んだ30頭のうち該当馬は20頭と、3着内を独占するほどでもない。距離短縮で持続力を見せた先行馬や、単純に序盤の負荷をものともしない地力の高い先行馬の粘り込みも目立つ。この点も踏まえて展開予想をしていく。

緩いペースは考えづらいメンバー

続いて今回想定される展開から恵まれる馬を考える。メンバー構成は前走通過順位に3番手以内のある先行馬が5頭と、出走馬全16頭に対して少なくない。

秋華賞を1000m通過59.4秒のハイペースで逃げたエリカエクスプレスが引っ張り、ヴィクトリアマイルを難なく先行したシンリョクカが好位で追走する形になれば、緩いペースは考えにくい。多くが距離延長ということも含めて、序盤の先行負荷はそれなりに高い。

この展開で恵まれるのはやはり下り坂を活用して前目の位置までマクれる差し脚確かな馬だ。メンバー上位の地力がなければ、前で残ることは至難の業だ。

ただ、機動力がなければ直線に入るまでに後方勢が先行勢とのポジション差を埋めにくいのも確かだ。前が厳しい展開とはいえ、最後方から直線だけで一気に差し切るのも容易ではない。中団にポジションを取れるだけの追走力は前提として印を打つ。

本命は素直に地力最上位

◎レガレイラ
前走のオールカマーは好スタートから中団追走。道中位置を押し上げて、4角6番手から上がり最速の脚を使い0.2秒差をつけて快勝した。頭一つ抜けた地力の高さを示した。

2走前の宝塚記念は位置取りこそ悪くなかったが、直線で持ち前の末脚を全く発揮できず1.5秒差11着。骨折後の長期休養明けで能力を発揮できたとは言い難く、評価を下げる内容ではなかった。

3走前の有馬記念は中団前目から高い機動力で位置を押し上げ、上がり最速の脚を使い勝利。当時の3着ダノンデサイルはその後ドバイSC1着、4着ベラジオオペラは大阪杯1着、宝塚記念2着、5着ジャスティンパレスは宝塚記念3着、天皇賞(秋)3着と超ハイレベル戦。本馬も国内最上位の地力を持つ。

今回は叩き2走目かつ斤量減。スタートを決めて中団で運び、持ち前の機動力と持続する末脚を発揮できれば勝ち負け必至だ。直線で大きな不利を受けた昨年のリベンジに期待も込めて本命を打つ。

◯リンクスティップ
前走の紫苑Sは最内枠からやや窮屈な競馬。道中位置を落とし、そのまま直線で伸びず0.5秒差8着。評価できる内容ではなかったものの、2、3走前の走りからすると、能力を最大限発揮したようにも見えなかった。

桜花賞3着、オークス5着と世代屈指のポテンシャルを持つことは確かだ。また、4走前のきさらぎ賞では今回と同じ京都外回りで、ハイレベルな現3歳世代の牡馬相手に展開不利の中で2着と好走している。能力、舞台適性ともに今回のメンバーでも十分に上位とみる。

鞍上も新馬、未勝利戦でコンビを組んだC.デムーロ騎手と心強い。休み明けの前走の敗戦で一気に人気を落とすここが狙い目とみて2番手評価とする。

▲ココナッツブラウン
前走の札幌記念は超内有利馬場の中、馬群の大外5〜6頭分を回して0.2秒差2着。牡馬との対戦ながら着順、着差以上に評価できる内容だった。同様の競馬をした5着ヴェローチェエラが次走ハイレベル戦の新潟記念で不利を受けながら5着と走った点からも高く評価できる。中団後方からスムーズな追い出しで持ち前の末脚を生かせれば十分に好走のチャンスがある。

△パラディレーヌ
3歳屈指の実力馬。距離延長+外回り替わりは大きなプラス材料。前走同様、高い機動力を生かしたマクリができれば。

×シンリョクカ
ハイレベル戦な新潟記念で0.2秒差4着。高いオッズ妙味が見込まれる。好位からスムーズに運べれば。

×エリカエクスプレス
最上位のテンの速さを持つ。3枠6番と絶好枠で、単騎楽逃げであればチャンスがある。

買い目は◎単勝1点、◎-◯▲△馬連3点、◎-◯▲-◯▲△×3連複7点で勝負する。

▽エリザベス女王杯予想▽
◎レガレイラ
◯リンクスティップ
▲ココナッツブラウン
△パラディレーヌ
×シンリョクカ
×エリカエクスプレス

◎2024年勝負買い目個人成績(東海S〜ホープフルS:25記事)
・単勝27点→4830円 回収率178.9% 的中率37.5%(的中9R/推奨24R)
・馬連105点→12480円 回収率118.9% 的中率42.9%(的中9R/推奨21R)
・3連複204点→22410円 回収率109.9% 的中率17.4%(的中4R/推奨23R)

《ライタープロフィール》
京都大学競馬研究会
今年で30周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。

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