【エリザベス女王杯】前走GⅡ組に単勝回収率131%の好データ 実績断然レガレイラの末脚が炸裂する

貴シンジ

エリザベス女王杯 主な前走クラス別成績(過去10年),ⒸSPAIA

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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す

今回は11月16日(日)京都競馬場で行われるエリザベス女王杯について下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行う。

・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走の内容」
・適性と素質を知るための「血統評価」

データは過去10年のデータを使用する。

重要データ:前走クラス別成績

前走クラス別成績,ⒸSPAIA


エリザベス女王杯は京都芝2200mで行われる牝馬限定のGⅠ。牝馬限定戦は「荒れやすい」という定説もあるが、GⅠだけにレース全体の回収率は単勝74%、複勝70%と一般的なレースよりは堅い傾向がある。

3勝クラスからの昇級馬、重賞常連馬、GⅠでも好走を見せる馬など、様々なバックボーンを持つ馬が出走するエリザベス女王杯において、重要視したいのが前走クラス別の成績だ。

今年は該当馬がいないが、前走3勝クラス組は【0-0-0-20】で一頭も馬券内に食い込めていない。

OP・L組は【0-1-1-20】で複勝回収率50%。馬券内に入ったのは24年2着のラヴェル、3着のホールネスだが、両馬ともに重賞で3着以内に入った実績があった。オーロラエックスとランスオブクイーンの該当2頭は前記の実績がなく、データ的には厳しい。

GⅢ組は【1-0-1-16】で単勝回収率52%、複勝回収率63%。昨年にスタニングローズが勝利を挙げたが、同馬はすでにGⅠタイトルを持っていた。今年はシンリョクカが該当するも、データからは推せない。

GⅡ組は【8-8-2-66】で単勝回収率131%、複勝回収率81%とかなり優秀。連対馬20頭中16頭を輩出しているように、好走数も多い。

さらに、前走が3着以内馬に絞った場合は【6-5-1-22】複勝率35.3%と、好走率も高くなる。注目の1頭であるレガレイラはオールカマー1着からの参戦で、この好走データに合致する。

最後になるが、GⅠ組は【1-2-5-18】で単勝回収率29%、複勝回収率115%。複勝率は30.8%と全クラスの中で最上位だが、勝ち切れていない。中心は秋華賞組【1-2-2-16】になるが、前走のGⅠ時点でMAXの状態という場合も多いためか、勝ち切れていない。

今年は秋華賞2着のエリカエクスプレスと3着のパラディレーヌが該当。データから相手には留めておく選択肢もあるだろう。

【前走GⅡで3着以内の出走予定馬】
・ヴェルミセル
・カナテープ
・ココナッツブラウン
・ラヴァンダ
・レガレイラ

前走の内容:レガレイラのオールカマー

レガレイラの前走はオールカマー1着。当時の中山競馬場の馬場状態は良好で、時計はかなり速かった。内側の芝も状態が良く、経済コースを通った馬が有利だったレースと言える。

レガレイラはスタートで1馬身ほど出遅れてしまって、後方からのスタート。向正面でポジションを少し上げてはいたが、その分外々を走る形となってしまった。さらに3コーナーの入口で内側にいたクロミナンスが外にヨれたため、馬体の接触もあり、ロスもあったはず。

さらに、4コーナーでも外を回す形となってしまい、レース全体としては決して上手くいったわけではなかった。それでも、直線では戸崎騎手のゴーサインに即座に応え、ムチが入ると一頭だけレベルの違う末脚を披露しての完勝だった。

2着のドゥラドーレス、3着のヨーホーレイクはいずれも重賞で勝ち負けを演じてきた実力派牡馬。相手関係を踏まえても、十分に評価できる内容だった。

血統解説:レガレイラ

レガレイラの血統表,ⒸSPAIA


・レガレイラ
日本での牝祖は3代母ウインドインハーヘア。ディープインパクト、ブラックタイドなどを輩出している名繁殖だ。

母ロカは芝1800mで挙げた1勝のみだったが、キャリア2戦目の阪神JFで1番人気の支持を受け、クイーンC(GⅢ・芝1600m)でも3着と好走するなど仕上がりの早い一頭だった。

このファミリーは持続性能とスタミナに優れたタイプが多く、本馬も父スワーヴリチャードからスタミナがより強化され、3歳牝馬ながら有馬記念を勝利した。ストライドが広く、大きいコースが向きそうにも思えるが、しなやかな切れ味が武器で、すぐトップスピードに持っていける器用さも兼ね備える。

ハイペースの持続力勝負となると足元をすくわれる可能性はあるが、今回は極端にペースが速くならなそうなメンバー構成。自分のリズムで走れれば、どのポジションからでも末脚を炸裂させることができるはずだ。

Cアナライズではレガレイラを推奨

今回のCアナライズではレガレイラを推奨する。すでにホープフルS、有馬記念と二つのGⅠタイトルを持ち、実績は他を圧倒。当日1番人気は間違いないだろう。ただ、昨年のエリザベス女王杯で1番人気5着に負けていることや、エリカエクスプレス、パラディレーヌら3歳世代も人気を集めそうで、極端な一本被りにはならない見込みだ。

昨年のエリザベス女王杯は直線で接触する大きな不利があり、完全に度外視できる一戦。今年のメンバー構成なら実力は抜けており、単勝2.0倍以上のオッズがつくなら迷わず本命視したい。

《ライタープロフィール》
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。

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