【京成杯】RobertoやSadler's Wellsなど中長距離血統が活躍 キングノジョーは小回りがピッタリ

坂上明大

2025年京成杯の注目血統,ⒸSPAIA

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傾向解説

皐月賞と同じ中山芝2000mを舞台に行われる京成杯。GⅠ戦線に乗り遅れた馬のための賞金加算の舞台ともいえ、春のクラシック本番に向けて非常に重要な一戦です。本記事では血統面を中心に、京成杯のレース傾向を整理していきましょう。

まず、紹介したいデータは前走距離別成績。過去10年の馬券圏内馬30頭中29頭が前走芝1800~2000mからのローテーションで、マイル以下からの距離延長馬には厳しいレースとなっています。

もともと中山芝2000mは若駒にはタフなコースレイアウトですが、前年末からの連続開催により馬場の消耗が進んでいることもこの傾向に大きく関係しているのでしょう。先行馬の苦戦傾向もこの適性予想を裏付けており、やはりスピードだけでは乗り切れないレースといえそうです。

前走距離別成績(過去10年),ⒸSPAIA


<前走距離別成績(過去10年)>
1400m【0-0-0-1】
勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率0.0%/単回収率0%/複回収率0%

1600m【0-1-0-16】
勝率0.0%/連対率5.9%/複勝率5.9%/単回収率0%/複回収率64%

1800m【4-1-1-31】
勝率10.8%/連対率13.5%/複勝率16.2%/単回収率108%/複回収率47%

2000m【6-8-9-59】
勝率7.3%/連対率17.1%/複勝率28.0%/単回収率49%/複回収率77%

血統面では、Sadler's WellsRobertoといった重厚な中長距離血統の活躍が目立ちます。前述の通り、スピード重視のマイラーには厳しいレースですから、中長距離血統の活躍は当然の血統傾向といえるでしょう。

特に2016年1着プロフェット、2022年3着ヴェローナシチー、2024年1着ダノンデサイルはRobertoのクロス、2015年3着クルーガー、2018年3着イェッツト、2020年2着スカイグルーヴ、2022年1着オニャンコポンはNureyev≒Sadler's Wellsの3/4同血クロスを持つなど、近年は中長距離血統が豊富な馬の好走が目立ちます。

また、現役種牡馬ではハービンジャーの血を引く馬に注目。2015年にはベルーフ、2016年にはプロフェットが2年連続で本レースを制し、昨年も母父にハービンジャーの血を持つアーバンシックが2着に入るなど多くの好走馬を出しています。

血統別成績(過去10年),ⒸSPAIA


<血統別成績(過去10年)>
Sadler's Wells内包馬【4-1-7-18】
勝率13.3%/連対率16.7%/複勝率40%/単回収率101%/複回収率129%

Roberto内包馬【6-4-8-37】
勝率10.9%/連対率18.2%/複勝率32.7%/単回収率102%/複回収率103%

ハービンジャー内包馬【2-2-1-7】
勝率16.7%/連対率33.3%/複勝率41.7%/単回収率138%/複回収率124%

有力馬の血統を解説

キングノジョー
母パレスルーマーはアメリカで2013年ベルモントS優勝馬パレスマリスを出し、日本でも天皇賞(春)を勝ったジャスティンパレスや2023年ステイヤーズS優勝馬アイアンバローズを出すなどスタミナ豊富な繁殖牝馬です。

本馬は父にシルバーステートを配し、ジャスティンパレスとは3/4同血の間柄。Robertoの4×4を持つ立ち肩の機動力型でもあり、馬体重444kgの小柄な馬体からも小回りの長距離戦がピッタリではないでしょうか。

ゲルチュタール
母母キラーグレイシスはアメリカの2歳GⅠハリウッドスターレットS優勝馬で、繁殖牝馬としても2021年ホープフルS優勝馬キラーアビリティを輩出。母キラービューティも芝とダートの1400m戦で計4勝した活躍馬で、本馬はアウトブリードに近い(血統表の5代前までに同一の祖先を持たないような配合)母とインブリード(5代前までに同一の祖先を持っているような配合)のきつい父ブリックスアンドモルタルというバランスの良い配合馬です。

Seattle Slew由来のストライド走法で持続力に優れた末脚が魅力な一方、コーナリングには課題が残る現状。芝とダートを問わず大箱コースの中距離戦がベストではないでしょうか。

パーティハーン
GⅠ・2勝馬Audarya(2020年ジャンロマネ賞、BCフィリー&メアターフ)の全弟。AudaryaはDanzigの5×4由来の機動力を武器に活躍しましたが、本馬も頭の高いピッチ走法が特徴的で、小回り中距離で機動力を生かす競馬がベストでしょう。好位追走から反応良く抜け出してくる姿が容易に想像できる素質馬です。

2025年京成杯の有力馬と評価,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。2023年11月には本島修司氏との共同執筆で『競馬の最高戦略書 予想生産性を上げる人の取捨選択の技術』(主婦の友社)を出版。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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