【スワンS】前走17着アグリの逆襲劇に期待 好走データ該当、前走の敗因明確、血統良しで巻き返し必至
貴シンジ
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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す
今回は10月26日(土)京都競馬場で行われるスワンSについて下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。
・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走内容」
・適性と素質を知るための「血統評価」
特別登録のあった19頭を検討対象とし、過去10年のデータを使用する。
重要データ:OP組とGⅢ組を中心視
スワンSはマイルCSの前哨戦として参戦してくる馬と、GⅡ~OPクラスを主戦場とする馬が激突する。
GⅠの前哨戦として出走してくる馬は仕上げに余裕を持たせていることが多い。実際に前走GⅠ組の成績は【4-4-4-31】で複勝率は優秀だが、複勝回収率は60%でレース平均以下となっている。
前走GⅠ組で本レースを勝利したのは当日4番人気以内だった馬たち。当日、上位人気に支持されるほどの実力馬でなければ、厳しい傾向にある。
今年はウインカーネリアンとダノンスコーピオンが前走GⅠから出走してくるが、両馬とも二桁着順に敗れている。当日、上位人気に支持される可能性は低いだろう。
前走OP・L組は【2-3-2-37】で単勝回収率333%、複勝回収率109%と高水準。20年のカツジは前走オパールS9着から勝利しているが、基本的には前走4着以内の馬が好走している。今年の特別登録馬ではシングザットソングのみが該当する。
前走GⅢ組は【3-1-3-35】で単勝回収率77%、複勝回収率61%。レース平均の回収率とほぼ同水準だ。その中で前走GⅢ組は前走人気が重要。前走5番人気以内だった馬は【3-1-3-9】で単勝回収率204%、複勝回収率162%となる。今年は前走GⅢだった馬の特別登録が多いが、かなり絞り込めるデータとなっている。
上位人気が予想される3連勝中のクランフォードが該当する前走3勝クラスは【1-0-0-11】。勝利したのは17年のサングレーザーのみ。同馬はその後GⅠでも活躍した馬で、よほどの実力馬でない限りいきなりの通用は難しい。
【前走GⅢで5番人気以内だった出走予定馬】
・アグリ
・サーマルウインド
・スズハローム
前走内容:CBC賞
前走CBC賞だった馬は17着アグリ、2着スズハローム、11着バースクライの3頭。レースラップは33.6-33.9で前傾0.3秒とスプリント重賞としてはゆったりとした流れだった。また内が綺麗な高速馬場だったこともあり、前々で競馬した馬が有利な展開だった。
スズハロームは好スタートを決め、ある程度のポジションを確保。最内を回って直線で少し外に出すという綺麗な競馬をした。ハマったという評価が妥当だろう。
アグリの大きな敗因は、海外帰りで態勢が整っていなかったことだろう。暑さが堪えたという騎手のコメントもあった。バースクライはスタート直後に挟まれる不利があり、後ろからの競馬になってしまった。ジョッキーもそれが敗因だと語っている。
着順こそスズハロームが最先着だが、アグリは実績十分で涼しくなってきた今ならリベンジ可能。バースクライも前走の走りが全てではない。
血統解説:アグリ、サーマルウインド
・アグリ
4代母イブニングエアーを根幹としてアメリカやヨーロッパで牝系が広がっており、ロングアイランドH(GⅡ・芝12F)勝ち馬で英オークス3着のMidnight Line、21年のウッディ・スティーヴンS(GⅠ・ダート7F)勝ち馬Drain the Clock、ジョッキークラブS(GⅡ・芝12F)とプリンセスオブウェールズタタソールズS(GⅡ・芝12F)勝ち馬で、2020年バーデン大賞(GⅠ・芝12F)で2着のCommunique、武豊騎手騎乗でアベイユドロンシャン賞(GⅠ・芝5F)を勝利したImperial Beautyなどが出ている。
本馬の近いところでは祖母TogetherがクイーンエリザベスⅡ世チャレンジカップS(GⅠ・芝9F)勝ち、その3/4同血の半兄Jan Vermeerがクリテリウム国際(GⅠ・芝8F)を勝利していて一流馬らしい血統背景だ。
このファミリーは基本的にスタミナがある馬が多いが、距離適性に関しては種牡馬の影響を受けやすいのが特徴の一つ。
アグリはカラヴァッジオの産駒でScat Daddyの影響が強く、スピードを全面に押し出したスプリンタータイプに出た。
前走CBC賞の記事で、本馬のベストは1400mだからどうかと疑問を投げかけたが、今回はベストの1400m。坂の下りで一気にスピードを上げて駆け抜けられる平坦の京都1400mは初出走だが、日本で一番相性の良いコースと言っても過言ではない。
・サーマルウインド
日本での牝祖は3代母のウインドインハーヘア。ディープインパクトの母であり本馬も近親にあたる。本馬の近くでは叔父にアサヒ(父カレンブラックヒル)、従姉妹にアドマイヤミヤビ(父ハーツクライ)など重賞で活躍する馬が名前を連ねる。
成長力のあるファミリーで前走の春雷Sや4走前の信越Sの内容を見ると、ここにきて馬が完成してきた。
2走前が初めてのスプリント戦だったが問題なく走れていた。父がドレフォンだから一定のラップで走るのは得意なタイプだ。
本馬はスピードがあるもののスプリンターとしてはストライドが大きいタイプ。京都競馬場の外回りコースは合う。昨年の信越S以来の1400m戦だが前走より条件面でかなり上積みがある。
Cアナライズはアグリを推奨
今回のCアナライズではアグリを推奨する。前走の大敗でどれくらい人気を落とすか分からないが、少なくとも1番人気はないだろう。今回の舞台は相性抜群で、涼しくなってきたこの時期なら自身の実力を遺憾なく発揮できる。好走データを持ち、前走の敗因が明確、血統まで踏まえて本命に指名する。
相手はサーマルウインド。こちらも前走1番人気を裏切っての12着。とはいえ「レース前から気持ちが後ろ向きで、外に逃げようとしていて脚が溜まらなかった」というコメントがあり、また4角でモズメイメイと接触していた。やはり小回りコースは難しいようだ。
1F延長は問題ないし、京都外回りなら条件好転。あとは気持ちの面で集中できるか。ここはパドックや返し馬に注目したい。
【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。
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