【注目2歳馬】キズナ産駒エリキングが注目の新馬戦を制する 重馬場ながらラスト11.5-11.3をマーク

三木俊幸

6月23日の2歳新馬戦を勝利したキズナ産駒エリキング,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

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セレクトセールで2億3,100万円

過去10年の宝塚記念当日に行われた芝1800mの新馬戦を制した馬では、ダノンプレミアムとダノンザキッドが、敗れた馬からもキラーアビリティやドゥラエレーデ、デルマソトガケが後のGⅠホース(JpnⅠ含む)へと出世している。今年も注目が集まるなか、キズナ産駒エリキングが勝利を挙げた。

週末は、金曜日に22.0mm、土曜日の夕方から日曜日の早朝にかけて34.0mmの雨量。一旦はあがったものの、1Rが始まるあたりから再び雨が降り始めて重馬場での開催。1頭が取消、さらに放馬による除外もありゲートインを果たしたのは8頭だった。

オッズは、川田将雅騎手×中内田充正厩舎のタッグで挑んだエリキングが単勝1.7倍で1番人気、近親にサラキアやサリオスといったGⅠ馬が名を連ねるエピファネイア産駒サラコスティが単勝2.9倍で続いた。

新馬戦らしく、ゲートが開いてからの反応が鈍かったエリキングは道中5番手の外を追走。前半1000m通過は1:04.5、ラップを見ても13.0-11.5-13.2-13.5-13.3と遅いペースだった。

それでもしっかりと折り合い、下り坂で川田騎手が軽く促すと4角では3番手まで進出する。残り300mで外から堂々先頭に立ち、右ムチが1発入ったが最後まで脚色は鋭く、1馬身半差をつけた。

エリキングの口取り式の様子(6月23日),ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

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勝ちタイムは1:52.1。しかし、残り600m地点で11.8へと一気にペースアップすると直線は11.5-11.3と最後まで加速ラップでまとめた。ペースが遅かったこともあるが、ラストの数字は能力の高さを裏付ける。

母ヤングスターは現役時代、重馬場で行われたオーストラリアのクイーンズランドオークスで勝利した良血。セレクトセール1歳では2億3,100万円の高値がついたが、落札した藤田晋氏にとっては十分期待に応えてくれたデビュー戦だったと言えるだろう。次走以降、良馬場でどのようなパフォーマンスを見せてくれるのか楽しみにしたい。

2着に敗れたサラコスティは、序盤に折り合いを欠く場面もあって最後方を追走。ゴール前では勝ち馬と同じ脚色となってしまったが、上がり最速タイの3F34.3で伸びてきたあたりはさすが良血馬という印象を受けた。

6月23日に新馬戦を勝ち上がったエリキング,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

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流しながら7馬身差をつける

土曜日は東京競馬場での撮影だったため、実際に競馬場でその姿を見ることはできなかったが、京都1Rに組まれた芝1600mの未勝利戦はキズナ産駒の牝馬ショウナンザナドゥが勝利した。

800m通過が46.6と比較的ペースが流れるなか、2番手からレースを進め、4角で先頭に立つとそのまま後続を5馬身引き離す完勝。勝ちタイム1:33.5はかなり優秀で、新馬戦で戦ったダノンフェアレディとともに牝馬路線を引っ張っていくだろう。

東の新馬戦に目を移すと、土曜東京6R芝1400m戦にてキタサンブラック産駒サトノカルナバルがインパクトあるレースを披露。2022年のノーザンファームミックスセールにて9,240万円で取引され、同セール出身馬としてはJRAで初勝利となった。

6月22日の新馬戦を7馬身差圧勝したキタサンブラック産駒サトノカルナバル,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

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600m通過36.5のスローペースを5番手追走から直線残り300m地点で抜け出すと、200mを過ぎてからは流して7馬身差の圧勝だった。ラスト400mからのラップは11.1-11.6、勝ちタイムも稍重ながら1:23.6と平凡であり、この一戦だけではどう評価するか難しいが、追い出されてからの瞬発力には目を見張るものがあった。

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。

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