【皐月賞】ポテンシャル信頼して本命はエコロヴァルツ 穴は末脚抜群のアーバンシック

山崎エリカ

2024年皐月賞のPP指数,ⒸSPAIA

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今年は内外の差がほとんどない馬場

中山開催16日目、Bコース使用6日目で行われる。一昨年の皐月賞で1番枠から好位の最内を立ち回った2番人気のダノンベルーガが外から一気に差されて4着に敗れたように、例年は馬場の内側が悪化し、外差し有利の傾向だった。しかし今年は内からでも十分に粘れている。外のほうが伸びる馬場ではあるが、内は経済コースを立ち回れる優位性があるので、フラットな馬場という認識で予想を組み立てるのがベストだ。


能力値1~5位の紹介

2024年皐月賞のPP指数一覧,ⒸSPAIA


【能力値1位 メイショウタバル】
若駒Sは馬場入場後に右前肢跛行を発症したため除外となってしまったが、それを除けば前走の毎日杯を圧勝など目下3連勝中。前走は4番枠からまずまずのスタートで、そこからじわっとハナを主張。道中は1馬身差のリードを保ちながらレースを進め、3角で息を入れた。4角出口で後続をすっと引き離してリードを1馬身半差まで広げて直線へ。そこからどんどん後続を引き離して5馬身差、ラスト1Fでさらにリードを広げ6馬身差で完勝した。

同日10レースの丹波特別(阪神芝1600m)でも、7頭立ての4番人気だったヒルノショパンが逃げ切り勝ちを収めたように、内と前が有利な馬場状態だった。しかし、雨でタフな重馬場だったことは事実で、豊富なスタミナがなければ逃げて圧勝することはできなかったはず。

前走でそれまでから一変して好指数を記録した辺りに、重馬場適性の高さが窺える。今回はいくら中山開催16日目といっても前走ほど馬場が悪化するとは考えにくく、加えて前走の疲れもありそう。ただし、他馬が逃げて同馬が2番手の場合はペースが落ち着くのでチャンスがありそうだ。今年は外差し有利な例年の皐月賞と異なり、フラットに近い馬場なので、2番枠も悪くない。

【能力値2位 ジャンタルマンタル】
前々走の朝日杯FSを優勝して3戦3勝で2歳チャンピオンとなった馬。前々走は3番枠からまずまずのスタートを切って先行したが、外から被されて進路がやや狭くなり、位置が下がってしまった。道中は中団付近を追走し、3角でペースダウンして包まれてしまったが、3~4角で狭い最内を通って2列目まで上がって直線へ。序盤で馬場の良い外へ誘導しながら追われると、すっと抜け出し、そのまま1馬身1/4差で完勝した。

朝日杯FSは前半が激流で、そこで位置が下がって最短距離を通ったことで展開に恵まれた面があった。またここで記録した指数も例年の朝日杯FS並で突出した強さを見せていないが、折り合い難もなく、進路が狭くても怯まずに走る抜群のレースセンスを見せた。

復帰戦となった前走の共同通信杯では2着。9番枠から五分のスタート。10頭立で先行馬が手薄だったこともあり、自然な形で3番手を追走した。ただ道中で外からジャスティンミラノが本馬に蓋をするように2番手に上がり、中団の中目に押し込まれてしまった。3~4角ではジャスティンミラノの後ろだったが、同馬がなかなか動かないので4角で外に誘導し、直線で外へ。序盤で中団列から3番手に上がって、ラスト2Fで抜け出したジャスティンミラノに食らいついたが、ラスト1Fでもその差は詰まらず、1馬身半差の2着に敗れた。

ジャンタルマンタルはそこまでトップスピードが速くない。よってジャスティンミラノより後ろからになってしまったことは間違いなく痛かった。ジャスティンミラノと同じ上がり3Fタイムを記録していることから、隊列が逆なら結果も違っていた可能性もある。

しかし、共同通信杯で折り合いに専念する競馬をしたということは、本番への距離不安を抱いているということでもあり、実際にジャンタルマンタルの自己最高指数は、朝日杯FS時のもの。前哨戦で能力を出し切っていないので、ここでの前進はありそうだが、現状はスピードを生かせる芝1600mがベストと見ている。

【能力値3位 シンエンペラー】
昨年のホープフルS2着馬。ホープフルSではまずまずのスタートを切って、そこからじわっと先行争いに加わっていった。道中は2列目の内を、前にスペースを作って追走。3~4角のペースダウンで前とのスペースがなくなり、ブレーキ気味で仕掛けを待たされた。4角では外に逃げそうになってやや膨らみ、外のアンモシエラに接触しかける幼さも見せたが、直線序盤で早々と抜け出し、後続との差を2馬身ほどまで広げた。ラスト1Fでは自身も加速していたが、レガレイラに差し切られて3/4差の2着となった。

ラスト1Fではレガレイラと並走状態に持ち込もうと思ったのか、外に誘導する際に斜行してサンライズジパングに不利を与えてしまった。しかし、外差し有利の馬場と展開で、2列目の内から早め先頭に立って勝ちにいく競馬での2着は負けて強しだった。

前走の弥生賞ディープインパクト記念でも2着。このレースでは5番枠から五分のスタートを切って、好位の中目を追走した。1角で内に入れて、道中は4番手を追走し、向正面でコスモキュランダが捲っても3列目の内5番手で折り合いに専念して仕掛けを我慢した。3~4角でペースが上がったところで促され、4角で狭い中目を捌いて直線へ。序盤で追われたがそこで前が後続を引き離し、ラスト1Fでようやく外から伸びてコスモキュランダに1馬身1/4差まで迫った。

前走は3角から一気にペースアップしており、3角で2番手だったコスモキュランダが1着、3角で先頭だったシリウスコルトが3着という結果。トップクラスが相手だとトップスピードで見劣るシンエンペラーには苦しい展開だった。前々走のホープフルSも前走の弥生賞も幼さを見せる競馬で、キレ負けする形での2着。この辺りが遅咲きの凱旋門賞馬ソットサスの全弟らしい。距離が延びる日本ダービーやそれこそ欧州の舞台のほうが向いていると見ている。

【能力値4位タイ レガレイラ】
新馬戦では出遅れを挽回し、中団の外から後に札幌2歳Sを圧勝するセットアップを差しきり勝ち。この時点で非凡な才能を見せていた。次戦のアイビーSでもやや出遅れ、3列目の外を追走。しかしホウオウプロサンゲが2着に逃げ粘る超スローペースでは、スタートが致命的となり3着に敗れた。ただ、メンバー最速タイの上がり3Fタイムと2歳重賞でも通用する指数を記録しており、負けて強しの内容だった。

そしてデビュー3戦目は牝馬ながら牡馬が相手のGⅠホープフルSに出走。このレースでも13番枠から出遅れた。ある程度挽回して後方2列目の外を追走。道中では脚を温存し、3角から中目のスペースを拾いながら進出し、4角でペースが緩んだところで上手く外へ誘導して直線で大外へ出した。直線序盤でじわじわ上がって3列目。ラスト1Fでグンと伸びて抜け出し、3/4差で勝利した。

前走は5回中山9日目で外差し有利の馬場。さらにレースが緩みなく流れたことで展開の後押しもあった。また前々走のアイビーSで展開に恵まれず、能力を出し切っていなかったことで疲れが残らなかった。それがこのレースに繋がったのだろう。ここでも見事な末脚で、記録した指数は先に行われた阪神JFを上回るものとなった。

本馬は桜花賞には目もくれず、ホープフルSと同舞台の皐月賞に出走。出遅れ癖があるのでマイルの桜花賞よりも芝2000mの皐月賞のほうが向くが、ホープフルSでは馬場の悪化した最内を先行したシンエンペラーのほうが強いレースをしている。その後の休養中に成長している可能性はあるが、これで1番人気なら評価を下げたい。

【能力値4位タイ コスモキュランダ】
前走の弥生賞ディープインパクト記念では、単勝34.9倍の6番人気という低評価を覆して優勝した。7番枠から出遅れて後方からの追走となったが、すぐに外に誘導。向正面序盤で中団の外目からじわっと動いて下り坂でスピードに乗せ、そこから一気に動いて3角で2番手まで上がった。4角で先頭のシリウスコルトに並びかけ、食らいついた。直線序盤でしぶとく伸びてクビ差ほど前に出ると、ラスト1Fでそのまま抜け出し、外から迫るシンエンペラーに1馬身1/4差つけて振り切った。

前走はややスローペースで、向正面でも多少ペースは緩んでいるが、緩み切っていたわけではない。それでも一気に動いて3角で2番手まで上がって、そのまま押し切ったことは褒められる。コスモキュランダはスタートも二の脚も遅いので、今回も後方からの競馬になる可能性が高いが、前走のような競馬ができるかというと、その可能性は低いだろう。馬番12番と外枠なのですぐに外に出せるとしても、多頭数の外々となるとロスも大きいし、弥生賞時よりも前半、中盤のペースが速くなるはず。そう考えると馬券圏内まで突入するのは厳しそうだ。


本命候補は折り合いがつくと怖いエコロヴァルツ

エコロヴァルツは7月の福島新馬戦、続く8月のコスモス賞を連勝した馬。コスモス賞では2番手から逃げ馬にプレッシャーをかけていく形だったが、折り合いに苦労して2角過ぎで先頭に立ってしまった。3~4角で外から上がってきたコスモディナーにやられてしまうかと見ていたが、直線ではなんとそこから突き放し、6馬身差で圧勝。この時点での指数は世代最高値だった。

前々走の朝日杯FSでは2着。1番枠からやや出遅れ、そこから好位を取りにいったが、内が窮屈で後方に下がってしまった。そこで最後方付近まで下げ切り、徐々に外に誘導。4角で団子状態の中目から外に誘導して最後方で直線へ。直線序盤で大外に出して仕掛けると、ラスト1Fで一気に伸びて先頭のジャンタルマンタルに1馬身1/4差まで迫った。

朝日杯FSはかなりのハイペースで展開上は恵まれている。しかし、前半で位置を取りにいって掛かりながら下げるというチグハグな内容での2着は能力が高ければこそ。前走の共同通信杯は9番人気のパワーホールが3着に粘る超スローペースの2番手で進めて、かなり折り合いを欠く競馬になり5着に敗れたが、レースが流れれば巻き返せるはず。4歳トップクラスが集結するここはさすがにそこまでペースが遅くならないと見て、本命候補としたい。


穴馬は京成杯で仕掛け遅れて敗れたアーバンシック

アーバンシックは新馬戦、百日草特別を連勝した馬。前々走の百日草特別では4番枠からややアオって出たところを内から接触を受け、最後方からの追走になった。向正面でじわっと位置を上げて後方2列目の外。4角では前とかなりの差があった。直線序盤で大外に誘導しながら追われるとじわじわ伸び始めて、ラスト2Fでは中団列。ラスト1Fでは先頭のマーゴットソラーレと2馬身半くらいはあった差を一気に詰め切って同馬を捉え、クビ差で勝利した。

前走の京成杯は6番枠からやや出遅れて後方の外を追走し、向正面でじわっと上がって中団の外で1番人気のジュンゴールドをマークして進めた。しかし、4角で同馬の手応えが悪く、同馬の外に誘導しようにも外の馬が蓋になって出せず、仕掛けが遅れてしまっての2着敗退だった。

本馬はエンジンが掛かってからが強いタイプ。京成杯でも直線で仕掛けてからは一気に勝ち馬ダノンデサイルに迫っており、末脚は抜群。3角外から仕掛けて動いたダノンデサイルをマークして乗っていれば、また違う結果になっていたとも考えられる。出遅れ癖はあるが、潜在能力は相当なものを感じさせる。前走の敗戦で一気に人気が落ちたここは一考したい。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)メイショウタバルの前走指数「-20」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.0秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

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