【皐月賞】シンエンペラー、メイショウタバルは消し ハイブリッド式消去法

久保田大五郎

過去10年の皐月賞『4月以降生まれ』かつ『前走3番人気以下』の成績,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

5つのデータから絞れた馬は?

今週からしばらくの間、「ハイブリッド式消去法」の執筆を担当させていただくことになった。テンポのよいデータ予想はそのままに、先代の方々以上の成績を出せるようにと鼻息荒く意気込んでいる。しばしのお付き合いをよろしくお願いします。

まずは4月14日に中山競馬場で行われる皐月賞(GⅠ)を予想する。過去10年のデータから複勝率10%未満の凡走データを5つピックアップし、条件に当てはまった馬を消去する。登録20頭のうち、現時点で除外対象のシュバルツクーゲルとジューンテイクを除く18頭を対象に進めていく。


『4月以降生まれ』×『前走3番人気以下』 ★0.0%★

まずは生まれ月に注目した。2歳~3歳春の重賞は馬体の成長度が高い「早生まれ」が有利とされるが、この皐月賞も例外ではない。4月以降生まれの馬は【4-1-1-45】(複勝率11.8%)。3月以前生まれの【6-9-9-98】(同19.7%)と比べて数字が落ち込んでいる。

そして遅生まれながら好走した6頭は、いずれも前走時2番人気以内に推されていた。「4月以降生まれで前走3番人気以下」なら【0-0-0-30】。これを記念すべき最初の消去データとして採用しよう。

今年の登録馬も過半数が早生まれなのだが、消えたのはよりによってシンエンペラーやジャスティンミラノといった重賞馬ばかり。日和る気持ちもあるが、30頭全滅のデータを信頼しよう。

【今年の該当馬】
・シンエンペラー
・ジャスティンミラノ
・ダノンデサイル
・メイショウタバル
・ルカランフィースト


『騎手乗り替わり』×『キャリア5戦以上』 ★2.9%★

続いては騎手に関するデータから。昨年ついに「テン乗りでダービーは勝てない」というジンクスがくつがえされたが、とはいえ全体傾向としてクラシックで乗り替わりが不利なことは変わらない。コンビとしての経験値の問題もあるだろうし、大舞台で勝ち負けを意識できる素材ならジョッキーが手放さない、という面もあるだろう。

「騎手乗り替わり」【3-3-3-68】(複勝率11.7%)のうち「キャリア5戦以上」の馬は【0-0-1-34】(同2.9%)とほぼ全滅だ。17年にレジェンド・武豊騎手がダンビュライトを3着に導いたのが唯一の好走例だった。

騎手が想定通りなら、弥生賞の勝ち馬コスモキュランダがここに当てはまる。新たな鞍上は「マジックマン」ことJ.モレイラ騎手。桜花賞を制して勢いに乗る名手だが、この馬に関しては外から早めに動いてスタミナを生かしたM.デムーロ騎手の騎乗スタイルが合っていた印象がある。狭いところに入れて立ち回るモレイラ騎手にはマッチしないのではないか。

【今年の該当馬】
・コスモキュランダ
・サンライズジパング
・(メイショウタバル)


『前走0.3秒差以上負け』×『父サンデーサイレンス系』 ★0.0%★

3つ目はシンプルに戦績で見劣る馬をふるい落としていく。使うのは前走着差。前走時に着差0.3秒以上離されて負けた馬は【0-1-2-51】(複勝率5.6%)と極めて低調だ。

この時点で複勝率は10%を下回っているが、ハイブリッド式消去法ではもう一つのデータを掛け合わせる。好走した3頭の父に着目すると、ルーラーシップ、ルーラーシップ、バゴという面々。いずれもサンデーサイレンスを持たず、緩いペースになりやすいトライアルより、底力が問われる本番の流れで浮上するタイプの種牡馬だった。裏を返せば、父サンデーサイレンス系は【0-0-0-27】と反撃を望めない。

今年は朝日杯FS2着のエコロヴァルツとスプリングSの2、3着馬がこのデータに飲み込まれた。エコロヴァルツは元々折り合いの難しさがある馬で、一度マイルGⅠの流れを経験した今となっては2000mへの対応に苦労しそうだ。

【今年の該当馬】
・アレグロブリランテ
・エコロヴァルツ
・(ルカランフィースト)


『社台ノーザン系生産馬』×『セレクトセールで7000万円以上』 ★5.0%★

次は変わり種で「セールでの購買歴」という観点を持ってきた。毎年活況を見せるセレクトセールだが、昨今は社台・ノーザンファーム系の思惑として「トップクラスの馬はセールに出さず、クラブで募集する」という説がまことしやかに囁かれている。実際、イクイノックスはシルクレーシングから、リバティアイランドはサンデーレーシングから募集されたのだから、一定の信憑性はありそうだ。

真偽はさておき、この皐月賞でも「社台ノーザン系生産馬」かつ「セレクトセールにおいて7000万円以上(税込)で取引された馬」は【0-0-1-19】(複勝率5.0%)と苦戦を強いられている。3着のサトノダイヤモンドも1番人気に推されていたため、複回収率は7%しかない。これが4つ目の凡走データとなる。

ここでは新たに2頭が消去となった。目玉はなんといっても4億5100万円(税込)で落札されたホウオウプロサンゲ。今後の活躍はいざしらず、皐月賞というタイトルは「お金で買えない」と見て消去だ。

【今年の該当馬】
・ホウオウプロサンゲ
・ミスタージーティー
・(サンライズジパング)
・(ダノンデサイル)


『前走4角8番手以下』×『当日5番人気以下』 ★0.0%★

最後の項目を迎えた時点でまだ7頭が残っている。その中にアーバンシックとビザンチンドリームの名もあるが、どちらもポテンシャルはありながら後方から大味な競馬をしてきた。多頭数の中山に合う脚質ではない。そのあたりをデータでチェックしてみる。

前走時に4角8番手以下だった馬は【0-3-0-28】(複勝率9.7%)。位置がとれないという弱点は着順に響いている。さらに当日5番人気以下だと【0-0-0-26】で、きれいさっぱり好走馬がいなくなる。イクイノックスやマカヒキのように、脚質的な不安すら超越するほど支持されていれば話は別だが、後方一辺倒の馬は基本的に厳しい。

7頭のうち、前走4角8番手以下だったのは以下の4頭。レガレイラは4番人気以内(=消去回避)が濃厚だが、アーバンシックとビザンチンドリームは当落線上でわずかにアウトとなりそうだ。アーバンシックはなんとなく昨年の皐月賞馬ソールオリエンスに重なるプロフィールだが、そもそも昨年だってあの特殊な馬場でなければ大外ぶん回しは間に合っていなかったはず。当日人気を確認し、心置きなく消去しよう。

【今年の該当候補】
・アーバンシック
・ウォーターリヒト
・ビザンチンドリーム
・レガレイラ

全ての条件を終えて確実に消去を免れるのは、サンライズアース、ジャンタルマンタル、シリウスコルトの3頭。そしておそらく当日4番人気以内のレガレイラも残ってくる。

やはりGⅠ馬のレガレイラ、ジャンタルマンタルが中心になるだろうが、ちょっと穴の気配がするのはシリウスコルトだ。このレースで重要になる「先行力」の持ち主であり、自身3度の好走はいずれも上がり35秒台というように、キレはないがシビアなペースでの粘り合いに強い。いかにも皐月賞で穴を開けるキャラだ。

4頭なら馬券はワイドボックスになるだろう。ジャンタルマンタル-レガレイラの目でもトリガミにならないよう、金額配分に注意したい。

《ライタープロフィール》
久保田大五郎
競馬歴13年目のアラサーおじさん。データを駆使した予想でロマン馬券を狙う。趣味は料理とプロ野球観戦。横浜DeNAベイスターズの大ファンで、好きな選手は宮崎敏郎。

《関連記事》
【皐月賞】前走ホープフルS勝ち馬は文句なしの主役 レガレイラが76年ぶりの快挙へ視界良好
【アーリントンC】関西主場のマイル組が狙い目 中心はオフトレイル、ディスペランツァ
【皐月賞】過去10年のレース結果一覧

おすすめ記事