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【関屋記念回顧】5馬身差で重賞初Vのアンパドゥ 「不良でも速い馬場」が示した価値

2026/07/27 10:30
勝木淳
2026年関屋記念、レース結果,ⒸSPAIA

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レース史上初の不良馬場開催

サマーマイルシリーズ第2戦の関屋記念はアンパドゥが昇級初戦を制し、重賞初制覇。2着クランフォード、3着ファーヴェントで決着した。開幕週の新潟はまさかの雨に見舞われた。それも競馬場周辺や新潟市内で冠水を起こすほどの大雨だった。

これは予想外のことで、関屋記念が創設された1966年以降、はじめて不良馬場でのレースとなった。重馬場ですらニフティニースが勝った1991年が最後。過去に3度しかない。水はけのよい土壌は米どころ新潟が苦心して作り上げたものであり、自慢でもある。

また、夏開催の芝が不良馬場まで悪化したのは2020年8月9日以来。その次は08年。セイウンワンダーが勝った新潟2歳S当日までない。

滅多に悪化しない芝が不良になった。とはいえ、そこは開幕週。本来なら絶好の馬場状態だったはずで、馬場読みは困難を極めた。さらに関屋記念はハンデ戦。重い馬場に重いハンデとなった実績馬にとってはたまらない状況だったにちがいない。

58キロ(牝馬56キロ)以上で最先着を果たしたのは58キロを背負ったブエナオンダの4着。最後方から直線勝負にかける競馬ゆえのこと。馬場の巧拙とハンデが結果に影響した。

さらに54キロのクランフォードと好調・菊沢一樹騎手が思い切った逃げの手に出たため、ペースも厳しかった。序盤600m34.0は現在のコース形態になってから2番目に速い。1位は開幕週の良馬場だった昨年の33.9なので、馬場を踏まえれば相当速い。

昨年の勝ちタイムが1:31.0のコースレコードであり、今年の1:32.4は馬場差を差し引くと、同等といってもいい。800m通過45.9に対し、後半800m46.5。よくここまで落差なく走り抜けた。

不良馬場であっても開幕週だったことで、関屋記念の価値は保たれた。道悪の巧拙は問われたが、決して時計がかかった一戦ではなく、過度に割り引かないほうがよさそうだ。


アンパドゥの勝利に道悪の影響なし

不良馬場の激戦を制したアンパドゥは前走東京芝1600m(3勝クラス)を上がり600m32.7で差し切っており、本質は良馬場の速い上がりに強い。道悪を利して勝ったとは思えない。“荒れた”道悪だった場合は同じパフォーマンスはできないのではないか。その分、きれいな馬場での差し比べであっても勝負になる。

もちろん、内枠を利用し、最内ピッタリを回ってきたのも勝利を呼び込んだ。道悪であのコースを通って伸びたという事実が本来は絶好の馬場だった証。逆に外を通った馬たちは伸びきれなかった。発表は不良だが、レース内容はとても道悪競馬とは思えず、元々のコンセプトである新潟開幕週の重賞という解釈の方がしっくりくる。

それにしても5馬身差で突き抜けたのは特筆もの。父イフラージは英国産のスプリンターで、日本での産駒成績を調べると、芝の良馬場と重馬場の勝率が高く、1200~1600mで活躍する。重馬場に強いイメージもあるが、良馬場の数字もよく、やはり道悪巧者だけではない。そんなイフラージの奥深さをアンパドゥに感じる。

ヨーロッパのスプリンターは決してただ速いだけではない。起伏ある馬場をこなす高い出力がある。スピードとの融合が魅力であり、アンパドゥも良馬場の重賞でさらにパフォーマンスをあげるだろう。

逆に道悪を勝ったことで、評価が下がるようであれば今後おいしい馬券になる。未勝利勝ち直後に約1年3ヵ月休んでおり、キャリアはまだ7戦。順調に進めば、GⅠも目指せるだろう。


強みを発揮したクランフォード

2着クランフォードは後続の脚を削るような心肺機能勝負に持ち込み、自身の長所を引き出した。途中で外からメタルスピードに競りかけられ、ペースを落とせなかったのは誤算かもしれないが、自力勝負に持ち込み、新潟の長い直線を乗り切ったのは自信になるのではないか。引いて好位からの競馬も悪くないが、自分でペースを演出するレースが合う。

3着ファーヴェントはレース直前に蹄鉄の打ち直しを行うというアクシデントがありながらも、レースではその影響を感じさせなかった。好位3番手から進め、最後までしっかり伸びた。戦歴から少し時計がかかったこともプラスに働いた。


2026年関屋記念、レース回顧,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『名馬コレクション 世界への挑戦』(ガイドワークス)に寄稿。

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