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【小倉記念回顧】枠も斤量も流れも味方につけたゼンダンハヤブサ 「4度目の重賞2着」ジョバンニに募る“あと一歩”

2026/07/20 10:46
勝木淳
2026年小倉記念、レース結果,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

上下差を感じるハンデ戦

今年の小倉開催最終日を飾るサマー2000シリーズ小倉記念は格上挑戦のゼンダンハヤブサが制し、重賞初制覇。2着ジョバンニ、3着レーゼドラマで決着した。

トップハンデ58キロ、最軽量50キロ。上下差8キロのハンデ戦は若干だが、上と下の力差がある印象だった。

58キロを背負ったエヒトは重賞2勝馬、57.5キロを背負った馬が2頭。クラシック善戦のジョバンニ、重賞2着、オープン2勝のウエストナウ、実質同斤の牝馬55.5キロを背負ったレーゼドラマは重賞勝ち馬かつオープン勝ち、サフィラも重賞ウイナーであり、上位層は実績面で厚かった。

ところが終わってみれば、格上挑戦のゼンダンハヤブサが52キロで勝利した。正直、ハンデを背負った面々が適性や状態面などで力を出し切っていない印象もある。とはいえ、それだけではゼンダンハヤブサは勝てない。

なにせ2000m未経験、直近4走はすべて条件クラスの芝1600mで1→5→5→5着。小倉の勝利は昨年冬の未勝利戦しかなく、小倉芝2000mへの適性は極めて判断しづらかった。

3年連続1枠1番の勝利(24年は中京開催)、軽量の酒井学騎手など終わってみれば気がつくことはあった。先に気づきたいものだが、たとえ頭の片隅にあったにせよ、それを決め手に本命を打つのは難しい。


「切れないけど伸びる」フジキセキの底力

それでも終わってみれば鮮やかな勝利だった。レースの展開を振り返ると、トータルクラリティが引っ張り、ついていったレーゼドラマが速めの流れを演出した。それでも前半1000m通過59.1はハイペースとまではいえない。中団後方に位置した馬たちが少し大事に乗り過ぎたか。

小倉の芝で後ろからいって展開が向く確率はさほど高いとはいえない。先行勢に利があるタテ長という隊列が向正面でできあがったとき、勝負圏内は絞られた。まず、ゼンダンハヤブサはその位置に入っていた。マイル中心に使われたため、折り合いはポイントになったが、酒井学騎手が上手く収めた。

2着ジョバンニとの差は斤量に加え、通ったコースの差もあった。格上挑戦の最内枠となれば、インベタしかない。直線に入るまで徹底してインにこだわった。対して外枠のジョバンニは中盤すぎまで外を通らされた。

3、4コーナーはインを意識し、距離ロスを抑えようと工夫はしていたものの、先にラチ沿いをとっていた分、ゼンダンハヤブサに仕掛けのアドバンテージがあった。最後の直線も先に進路をとっており、格上挑戦を踏まえ、開かなかったら仕方ないという捨て身の戦略が功を奏した。

レースラップもマイル戦の経験が豊富なゼンダンハヤブサに味方した。後半1000mは11.5-11.7-11.9-12.0-11.8。後半1000mほぼ11秒台とスピードの持続力が試され、マイラー寄りのラップ構成だった。

前半、折り合いをつけ、消耗を抑えたことで、距離の壁を抜き、最後は得意の一定のスピードで走り抜ける流れになった。勝つときはこうも鮮やかに色々な要素がいい方向に転がるものか。そう思わせる競馬だった。

父スマートオーディンはこれがJRA重賞初制覇。現役時代は東スポ杯2歳S、毎日杯、京都新聞杯、阪急杯を勝っており、マイル前後の流れで強かった。これは父の父フジキセキの適性に近い。

フジキセキ産駒は短距離からマイルで結果を残す持続力型が多かった。サンデーサイレンス系のなかでは「切れないが伸びる」といったキャラクターで、まさにゼンダンハヤブサの小倉記念そのもの。ペースを落とさず走れる流れに強い。

平坦で時計が出る小倉だったから2000mで結果を残せたが、本来の守備範囲はマイルから1800m。なおかつ緩急を問わない流れが理想だ。


またも2着ジョバンニの歯がゆさ

2着ジョバンニは終始、外を通らされることを嫌い、勝負所でインを意識したことでゼンダンハヤブサに食い下がれた。あのまま外を通っていれば、もっと着順を落とした可能性が高く、J.コレット騎手の仕事が光った。

とはいえ、これで重賞2着は4度目。どうにも勝ち切るには一歩足りない状況が続く。あえて夏の小倉に参戦し、賞金加算を目指しただけにタイトルを逃したのは痛い。内回り適性は高いものの、平坦の小倉だとややスピード負けするようだ。次は決めてほしい。

3着レーゼドラマはあえて伏兵のトータルクラリティの逃げを利用し、ついていく策が好走へと導いた。ただその分、どうしてももっとも苦しい競馬を引き受けてしまう。そういった競馬で強さを発揮するのはフラワーCをみれば明らか。それだけに牡馬相手に勝ち切るのはハードルが高い。一方で牝馬限定戦よりキツい流れになりやすい牡馬との戦いに強いタイプなので、レース選択が悩ましい。


2026年小倉記念、レース回顧,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『名馬コレクション 世界への挑戦』(ガイドワークス)に寄稿。

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