【北九州記念回顧】フリッカージャブが見せたスピードと持続力 秋へ期待高まる重賞初制覇

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労せず位置をとれるスピード
サマースプリントシリーズ第2戦・北九州記念はフリッカージャブが制し、重賞初制覇。2着ジェニファー、3着ヨシノイースターで決着した。
舞台となる小倉は、週中から雨続きだった。水曜日58.0mm、木曜25.0mmに加え土曜も41.5mm。当然、馬場も一気に悪化した。土曜日に稍重まで回復した芝は再び「重」に変わり、スピードを削ぐスタミナ志向の馬場で行われた。
もうひとつ、今年のポイントは頭数だった。小倉芝1200mは今年1月の開催で飛び出した3連単5800万馬券のように、フルゲートになると難易度が極限に達するものだが、今年は13頭と少なめ。フルゲート割れの北九州記念はアレスバローズが勝った2018年以来であり、13頭立ては16年以来で10年ぶりだった。
重い馬場と少頭数。状況的には北九州記念にありがちなハイペースの差し決着は望めないだろう。そんな予感は現実のものになった。
先手を主張したのは、ダートを主戦場とするアメリカンビキニ。内から同じく前走ダートのプロトポロスが仕掛けていく。2頭が押しながら先行するのに対し、外から並んできたフリッカージャブは抑えたまま。序盤の構図は明らかにフリッカージャブが優勢だった。
前半600mは11.9-10.2-11.0の33.1。12着、13着に敗れたプロトポロス、アメリカンビキニにとっては厳しいペースになってしまったが、馬場レベルを考慮しても猛烈なペースとはいえない。
母の父サクラバクシンオーの持続力
フリッカージャブは前走の鞍馬ステークスでも前半600m33.1を経験しており、2走前には32.0を先行していた。スピードの経験値の差が出た印象だ。
後半600mは11.4-11.6-11.9の34.9と、失速ラップではあったものの極端には落ちず、後ろから差す馬にとって33秒台の末脚が求められた。だが、重馬場ではそんな速い脚は繰り出せない。
フリッカージャブの強さは、この馬場でそこそこ速い流れであっても、後半をまとめられる持続力にある。おそらくラスト200mが12秒台まで落ちていれば、後続につかまっていた。この“踏みとどまれる力”が魅力だ。
昨年3勝でオープン入りを果たしたが、思えばその起点となったのが夏の小倉芝1200mだった。1分7秒台で連勝し、秋の北陸Sへつながった。
前走・鞍馬Sは前後半600m33.1-33.3を2番手から抜け出し、1:06.4のコースレコードを樹立した。スピードも魅力だが、今回と同様にラストでラップを落とさない持続力がなければレコードは更新できない。
スプリンターとしての総合力の高さには、やはり母の父サクラバクシンオーの力を感じる。テスコボーイ、サクラユタカオーから受け継いだ持続力をスプリント戦線で爆発させたサクラバクシンオーは、母の父に入っても強い。ロードカナロア、サートゥルナーリアに流れるキングカメハメハの万能性ともマッチしており、秋に向けて楽しみだ。
自分の時計はきっちり出すヨシノイースター
2着ジェニファーは斤量50kgという軽ハンデをいかす積極策が好走につながった。前走2勝クラスを突破したばかりで、連闘での格上挑戦と厳しい状況ではあったが、そこには勢いもあった。
北九州記念が芝1200mになった06年以降、前走2勝クラス1着馬はこれで【2-2-2-5】。ただし、連闘で好走したのはジェニファーが初めて。牝馬でハンデ50kgキロだったのは大きいが、適度に時計がかかる馬場だったのも要因だろう。様々な状況が絡み合った好走であり、次走はおそらく状況は変わってくる。その点は冷静にジャッジしたい。
3着ヨシノイースターは、対照的にトップハンデ58kgを背負っての好走だった。北九州記念は3年連続出走で2着、2着、3着。昨年と同じハンデで3着だったことをどう解釈するか。相手関係的にはもう少し上の着順でもよかった。
とはいえ、8歳になっても上位に顔を出す力は認めるべきところ。この3年の走破時計は1:08.0、1:07.9、1:08.1。好走するときはこのぐらいの時計で走っており、決着時計がこれより速いか遅くなると馬券圏内には入れない。つまり、決着時計の予測次第で買いかそうでないかが見えてくる。わりと付き合いやすいタイプともいえる。
2番人気デアヴェローチェは10着。スタートでわずかに遅れ、内にヨレてしまい、流れに乗れなかった。2走前に稍重馬場を1:08.4で勝っており、馬場がこなせないことはない。今回は序盤で後ろから競馬せざるを得なくなったのが痛かった。3歳牝馬特有の難しさが出たようだ。一過性のものかどうか。そこは次走をみないとなんともいえない。

《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『名馬コレクション 世界への挑戦』(ガイドワークス)に寄稿。
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