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【しらさぎS回顧】エルトンバローズが復活の重賞2勝目 タフな戦いで輝いた母の父ブライアンズタイムの血

2026/06/22 10:45
勝木淳
2026年しらさぎS、レース結果,ⒸSPAIA

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馬場を考えれば速かった前半800m

サマーマイルシリーズの開幕戦・しらさぎステークスは、もしかするとシリーズとして先のレースに直結していかない可能性がある。その大きな要因は馬場だ。

土曜から本降りになった阪神競馬場の芝は、いったん重まで悪化した。阪神芝の重は先週の宝塚記念が思い出されるが、昨年は13レースだけでそう多くない。日曜日は稍重に回復したものの、重までいった馬場は相当タフな状態だった。

しらさぎSの前身である米子Sは、良馬場なら勝ち時計1分31秒台も記録されるだけに、今年の1:33.2は確かに時計がかかった。夏のマイルシリーズは高速決着が多く、33秒台で決着したしらさぎS組は今後、取り扱いに気をつけたい。むしろしらさぎSの着順が悪かった馬の巻き返しを狙うのもいい。

なお、昨年も1:33.0に終わったが、この時計は前後半800m47.2-45.8というスローペースの影響を受けた時計だった。掲示板に載った5頭の次走は5着、7着、12着、13着、1着。好走したのは約半年も間をあけたデビットバローズだけだ。そもそもしらさぎSが以降のシリーズにつながりにくいという事情もあり、今年はことさら注意したい。

サマーマイルシリーズへのつながりを考えるとやや否定的になるが、レース自体の評価はまた違う。各馬、スピードを削がれる馬場で行われながらも、序盤600m34.6、前半800mは46.4。良馬場だった昨年の47.2と比べると、かなり速い。

その後も11.8-11.5-11.5-12.0、46.8。さすがに最後は時計を要し、どの馬も伸びそうで伸びない混戦になったが、その手前までは、馬場を考えればかなり優秀だ。それゆえに残り200mで脚をなくす馬が多かったことを踏まえれば、耐えしのいだエルトンバローズは立派だ。

3歳時の毎日王冠以降、勝利からは遠ざかっていたが、その間もマイルチャンピオンシップ2着など、つねにマイル戦線の先頭集団にいた。ハイレベルな戦いで積んだ経験値が最後に出たといっていい。

若い頃は先行粘り込みが好走パターンだったが、昨年の有馬記念を境に中団でためるスタイルへと変わっていった。年齢を加味したスタイル変更が久々の重賞勝利をたぐり寄せた。そう考えると、唐突感があった有馬記念参戦も狙いがあったといえる。


桑田牧場がつかんだ一本の糸

適度に上がりがかかる馬場と流れによって、各馬苦しいゴール前になったことで、エルトンバローズの母の父ブライアンズタイムの血も騒いだ。

道悪や底力勝負になったらロベルト。特にブライアンズタイムはその手のレースでサンデーサイレンス産駒に対抗してきた。懐かしい格言が甦った競馬でもあった。

エルトンバローズの父ディープブリランテは粘る競馬を身上とし、さらにディープインパクト産駒らしく高速決着にも対応した。産駒はそこまで速い決着は得意ではないが、粘り腰は目立つ。

また母系の2代母ニュースヴァリューは追分ファームがアメリカから導入した後、桑田牧場に移り、そこで根を張った。桑田牧場で産んだ唯一の牝馬がエルトンバローズの母ショウナンカラット。同馬は桑田牧場に戻り、エルトンバローズのほかにJRA3勝ドグマ、カバーガールを出した。

桑田牧場が手にしたニュースヴァリューからショウナンカラットの一本の糸が枝葉を広げることになった。そこに重賞2勝馬エルトンバローズがいたのは感慨ひとしおではないか。


3着エコロアルバの適性

2着は昨年の覇者キープカルム。写真判定に持ち込まれた接戦でハナだけ前に出ていた。道悪は得意とはいえず、馬場悪化によって嫌われたようだが、6番人気は人気が低すぎた。中山や阪神に良績があり、持続力勝負は得意。道悪不得手という情報がなければ、もう少し人気になっていたはずだ。

昨年同様、この先もサマーマイルシリーズ転戦が予想される。昨年は中京記念で5着だったが、これは前後半800m46.9-45.4のスローペースの影響が大きい。本来急坂があるコースは得意であり、あとは展開次第。相手関係によっては連続好走もある。

3着は3歳エコロアルバ。最後は斤量差も出たが、この馬場を克服したのは大きい。エルトンバローズの経験値が問われるレースならば、キャリア5戦で伸びてきたのは力の証だ。

一方で、NHKマイルカップ9着も加味すると、完全なる高速決着では分が悪く、少し時計がかかる馬場に適性があるともとれる。しらさぎSを根拠に高速決着が予想されるマイル戦で人気になるようなら、立ち止まって考えてみたい。


2026年しらさぎS、レース回顧,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『名馬コレクション 世界への挑戦』(ガイドワークス)に寄稿。

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