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【府中牝馬S】前年女王アドマイヤグルーヴが末脚一閃 前身の2004年マーメイドSをプレイバック

2026/06/15 17:00
緒方きしん
プレイバック2004年 マーメイドステークス,ⒸSPAIA

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名牝を母に持つ超良血が負けられない一戦に挑む

今週は府中牝馬Sが開催される。現在の府中牝馬Sは、2025年にマーメイドSから名称変更されたレースであり(秋に施行されていた府中牝馬Sはアイルランドトロフィーへ改称)、前身時代にはエリモエクセル、フサイチエアデール、ローズバドらが勝ち馬に名を連ねた。今回はそんな中から、2004年の一戦をピックアップして当時のレースを振り返っていく。

2004年のマーメイドSは、アドマイヤグルーヴが単勝1.5倍の圧倒的な人気を集めた。名牝エアグルーヴを母に持つ超良血馬だが、前年の牝馬三冠ではいずれも1番人気に推された中で、三冠馬に輝いたスティルインラブの後塵を拝した。しかし、続くエリザベス女王杯でGⅠ初制覇を達成。女王として4歳シーズンを迎えた。

ところが、4歳春は大阪杯7着、金鯱賞5着と牡馬相手に苦戦。そんな経緯からも宝塚記念ではなく、牝馬限定のマーメイドSに駒を進めた。

前年女王として負けられない一戦であったが、このレースは2000年以降、1番人気が連敗中。前年のスマイルトゥモローが7着、前々年のローズバドも4着に敗れていた。母エアグルーヴも制した舞台で、その流れを断ち切ることはできるのか。

ただ、ライバルたちも強力。2番人気は京都牝馬S勝ち馬チアズメッセージ。ほかにもフラワーC勝ち馬マイネヌーヴェル、後に飛躍を遂げるヘヴンリーロマンス、愛知杯勝ち馬メモリーキアヌらが顔を揃え、一筋縄ではいかないメンバー構成だった。

外から突き抜ける 3馬身差の完勝劇

ゲートが開くと、シルクサンライズが珍しく先頭へ。チャペルコンサート、内のチアズメッセージが続き、外からはマイネヌーヴェル、ヘヴンリーロマンスも加わって先行勢は序盤から火花を散らす。上位人気馬の多くが前々でレースを進める展開となった。

一方で、アドマイヤグルーヴは中団の外目を追走。 自慢の末脚をどこで繰り出すのか。武豊騎手の判断に注目が集まった。向正面では外からじわりと押し上げ、マイネヌーヴェルの横へ取り付く。

レースが再び動いたのは3、4コーナーの中間地点。2番手のチャペルコンサートが先頭のシルクサンライズに迫ると、チアズメッセージ、ヘヴンリーロマンスも外から襲い掛かる。さらにはアドマイヤグルーヴも大外から進出。各馬が大きく横に広がりながら直線へと向かった。

直線でまず先頭に立ったのはチャペルコンサート。チアズメッセージがそれに続く。しかし、次の瞬間、彼女たちを一気に交わす馬が外からやってきた。アドマイヤグルーヴである。素晴らしい末脚で先頭に立つと、そのまま独走態勢に。後続との差は歴然で、あとは2着争いが残されるのみとなった。

アドマイヤグルーヴはそのまま後続に3馬身差をつけて完勝。上がり3F34.3は2位の35.2を大きく上回るメンバー最速で、力の違いを見せつけた。2着はチアズメッセージ、3着はチャペルコンサートと先行勢が粘り込んだ。

マーメイドSで1、2番人気決着となったのは、1999年のエリモエクセル、キクノスカーレット以来。馬連360円、枠連300円と、配当も実力馬同士の決着を反映するものとなった。

アドマイヤグルーヴの血を引くニシノティアモが参戦

上半期を良い形で締めくくったアドマイヤグルーヴは、秋に京都大賞典4着、天皇賞(秋)3着、エリザベス女王杯連覇と活躍。さらなる実績を積み上げた。

引退後は二冠馬ドゥラメンテを送り出し、孫世代からもデシエルト、スカイグルーヴ、ボーデンらが活躍した。また、マーメイドSでは半妹グルヴェイグも2012年に優勝。エアグルーヴ一族と同レースの深い縁を感じさせる結果となった。

2着のチアズメッセージは後に目黒記念勝ち馬クリプトグラムを送り出した。一方、4着のマイネヌーヴェルは子世代から障害王者マイネルグロン、孫世代からオークス馬ユーバーレーベン、日経賞勝ち馬マイネルエンペラーを送り出している。

マーメイドSでは5着だったヘヴンリーロマンスも、翌年には札幌記念、天皇賞(秋)を連勝。その後は繁殖牝馬としてラニ、アウォーディー、アムールブリエら実力馬を多数出した。

こうして振り返ると、2004年のマーメイドSは競走馬、繁殖牝馬の両面で後世に名を残すメンバーが揃っていた。

さて、今年の府中牝馬Sには、アドマイヤグルーヴの血を引くニシノティアモ(父ドゥラメンテ)が参戦する。前走のヴィクトリアマイルでは6着に善戦した実力馬だ。

曾祖母は、90年代の競馬界を彩ったニシノフラワー。名牝の血を受け継ぐという点でも、どこかアドマイヤグルーヴと重なる。強力なメンバーが揃った府中牝馬Sだが、果たして──。

《ライタープロフィール》
緒方きしん
札幌生まれ、札幌育ちの競馬ライター。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、エアグルーヴ、スペシャルウィーク、ドウデュース。

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