【安田記念】GⅠ馬相手に実力示すガイアフォースが本命 穴ではシックスペンス、セイウンハーデスを警戒

ⒸSPAIA
古馬GⅠ勝ち馬不在 逃げ、先行馬が手薄なメンバー構成
2024年のマイルCS勝ち馬で、24年、25年の香港マイルで連続2着に入ったソウルラッシュが引退し、昨年の春秋マイルGⅠを制したジャンタルマンタルも不在。今年の安田記念は古馬GⅠの勝ち馬がゼロという、やや低調な組み合わせとなった。
そのうえ、逃げ馬はワールズエンドのみ。先行馬はシリウスコルト、セイウンハーデス、ガイアフォース、行く気なら2番手でも追走できるパンジャタワーと揃ってはいるが、パンジャタワーは距離不安の面から、ある程度は折り合い重視で進めるはず。また、ほか3頭はハナへ行きたいタイプではない。
舞台となる東京芝1600mは最初のコーナー(3角)までの距離がAコース使用時で約542m(Cコース時は幾らか短い)と長く、極端なスローにはなりにくい。さらに開催14日目、かつB→Cコース替わり4日目という条件で、基本的には中~外目がやや有利となる。ただし、今年はスローよりの流れとなり、中団よりも前の位置を取れる馬が有利で、内目からでも残れると見ている。
能力値1~5位の紹介

【能力値1位タイ ガイアフォース】
本馬が芝1600mで先着された相手はソングライン、セリフォス、シュネルマイスター、ロマンチックウォリアー、ナミュール、ソウルラッシュ、ジャンタルマンタルとGⅠばかり。芝マイル路線のレベルが高かった2023、24年の安田記念は4着に終わったが、昨年は一貫してマイル路線を使われ、安田記念2着、富士S1着、マイルCS2着に健闘した。
富士Sでは11番枠からまずまずのスタートを切り、じわっと2列目の中目を追走。外からジャンタルマンタルが2番手に上がろうとすると、抵抗して先に2番手に上がる。3~4角でも2番手で突っ張り、同馬に終始外を回るロスを作らせて直線へ。
序盤で仕掛けてすっと伸びて先頭に立ったが、ラスト2Fでジャンタルマンタルが食らいついて半馬身差。しかし、ラスト1Fで差を詰めさせることないまま、半馬身差で押し切った。
当時はコンクリートレベルの高速馬場で、前後半5F46秒7-45秒0のスローペース。逃げ馬を遊ばせて前有利の展開に持ち込みながら、ジャンタルマンタルを外に張っていく鞍上の“技あり”の一戦だった。
ジャンタルマンタルは昨年の春秋マイルGⅠ馬であり、斤量59㎏を背負っていたとはいえ、ラスト1Fで差を詰めさせずに勝利したことは高評価できる。そして、今回はそのジャンタルマンタルが不在だ。
前走のドバイターフはスタミナが不足する休養明けに加えて距離延長。さらに逃げたことで苦しくなってしまったが、相手緩和かつ実績ある芝1600mのここで巻き返しを期待する。今回の本命候補だ。
【能力値1位タイ レーベンスティール】
芝1800m、2200mの重賞で計5勝を挙げる実績馬。2023年のセントライト記念や24年のオールカマーでも優勝しているが、ともに超高速馬場のスローペースで掛かる面を見せており、自己最高指数を記録したのはいずれも芝1800m。2024年のエプソムC、昨年の毎日王冠、そして今年2月の中山記念だった。
2走前の中山記念では5番枠からまずまずのスタートを切り、抑えて好位の最内を追走。道中では上手くコントロールし、前のスペースを維持して進めた。3~4角では3列目の最内で仕掛けを待って、直線序盤で前のスペースを潰して2列目に上がる。ラスト1Fで捌いて抜け出し、1馬身3/4差で完勝した。
当時はC→Aコース替わりの開幕週で内有利の超高速馬場。前後半4F47秒8-45秒9という、かなりのスローペースで内と前が有利な状況だった。ここでは好位から最短距離を走らせており、ほぼ完璧な騎乗だった。
2024年のエプソムCを除くと、重賞4勝はいずれも休養明け。そして、次走でGⅠに挑み、2023年の香港ヴァーズ8着、2024年の天皇賞(秋)8着、2025年のマイルCS12着と、その前走とは別馬のように敗れてきた。
この結果から前走の大阪杯も休養明け好走の疲れで凡走すると見ていたが、結果は6着と意外に善戦している。今年の大阪杯は高速馬場で前後半5F58秒1-59秒5のややハイペース。12番枠から中団の後ろまで下げたことでやや展開に恵まれているが、内有利な馬場のなか、3~4角で4頭分外を回るロスを作っており、内容も上々だった。
本馬は芝1600mでは2戦2敗。3走前のマイルCSでは二の脚で置かれて後方からとなり、追走に忙しさを見せて12着に敗退。しかし、5走前のしらさぎSでは、ラスト1Fで挟まれる場面もあって7着に敗れてこそいるが、流れに乗って掛かる面を見せていただけに、マイルでもやれないことはないと見ている。警戒はしておきたい。
【能力値3位タイ ワールズエンド】
デビュー当初は一貫して芝1600mを使われ、3勝を挙げた馬。初めての芝1400mとなった4走前の新潟日報賞(3勝クラス)では、6ヵ月の長期休養明けだったが、成長力を見せて勝利した。
その4走前は6番枠から好スタートを決め、ほぼ馬なりで主導権を握り、道中はコントロールしながら進めた。3~4角で速度を落とし、外からペリファーニアが上がってくると、4角出口で軽く促して3/4差のリードで直線へ。序盤で食らいつく同馬を突き放すと、最後は3馬身半差で圧勝した。
当時は新潟開幕日のコンクリート馬場で、前後半3F34秒4-33秒2という、かなりのスローペース。逃げてラスト2Fで10秒9-10秒9と加速されては、後続馬は打つ手がなかった。
また、5馬身差の3着馬アクートゥスは、次走の豊明S(3勝クラス・中京芝1400m)を勝利しているようにレースレベルが高く、実際、ワールズエンドは重賞でも通用する指数を記録している。
前走の京王杯SCでは初重賞制覇を達成。16番枠からまずまずのスタートで、ほぼ馬なりのままハナを奪うと、楽に内に切って主導権を握る。3~4角で少し息を入れ、1馬身のリードで直線へ入ると、序盤でもまだ馬なり。ラスト2Fで追われると、リードを2馬身半まで広げたが、ラスト1Fではセフィロに強襲され、アタマ差の辛勝だった。
このレースも超高速馬場で、前後半3F34秒1-33秒4というスローペース。早仕掛けによって、ラスト1Fで甘くなったが、3着馬には2馬身差をつけ、今年の東京新聞杯で5着だったシリウスコルトにも完勝している。
本馬は一気にハナを奪うタイプではなく、3角までにじわっと先頭に立つタイプ。2走前のリゲルS(L・阪神芝1600m)ではクビ差の2着に敗れているが、この時は2番手に上がったものの、控えて下げたことで折り合いを欠いたことが影響した。2番手のままなら、勝っていたと感じさせる内容であり、さらに、レース中には鼻出血も発症していたとのことだ。
今回は外目の枠を引いたことで、3角までにじわっとハナを取り切ることが可能な組み合わせとなった。他馬が早めに動いてこなければチャンスはありそうだ。
【能力値3位タイ パンジャタワー】
昨年のNHKマイルC覇者。このレースでは11番枠からやや出遅れ後、外によれ、立て直して中団外目を追走。道中は激流となったなか、前にスペースを作って中団やや後方外目で進めた。
3~4角でも中団外目で進め、4角出口で大外を回して直線へ。序盤で追われるとすっと2列目に上がり、ラスト2Fでグンと伸びて一気に先頭に立つ。ラスト1Fで内から伸びたマジックサンズとの叩き合いになったが、これをアタマ差で制した。
当時は超高速馬場で前後半4F44秒6-47秒1のハイペース。後方有利の展開に恵まれる形での勝利だった。また、上位馬たちはその後の活躍が目立たず、例年のNHKマイルCと指数比較をしても、低調な結果だった。
しかし本馬はその後、スプリント路線に矛先を向け、古馬初対戦となった次走のキーンランドCでは古馬と同斤量の57㎏を背負って勝利。2着ペアポルックス(今年のオーシャンS勝ち)や、休養明けだった5着ウインカーネリアン(次走にスプリンターズS制覇、今年の高松宮記念3着)など、それなりにメンバーも揃い、成長力を感じさせた。
前走の高松宮記念は4着。コンクリートレベルの高速馬場のなか、ブリンカーが効きすぎたインビンシブルパパが飛ばして、前後半3Fは32秒5-33秒8と、かなりのハイペース。前に不利な展開をインビンシブルパパから離れた好位の最内で進め、勝ち馬サトノレーヴから2馬身離れた2着争いで、クビ+アタマ差に健闘した。
本馬は指数の推移が示すように、芝1600mよりも芝1200mがベストの快速タイプ。昨年のNHKマイルC時のように後方で脚を溜められればマイルもこなせるが、前進気勢が強まっているだけに、距離をこなせない可能性が高い。
【能力値3位タイ トロヴァトーレ】
今年の東京新聞杯、休養を挟んでのエプソムCを連勝。前走のエプソムCでは11番枠から五分のスタートを切り、無理をさせずに中団の外目を追走。道中もゆったりとした流れを中団の外で折り合って進めた。
3~4角でも中団の外で仕掛けを待ち、4角でステレンボッシュの後ろから直線へ、序盤で軽く仕掛けるがまだ中団。ラスト2Fで追われると、すっと伸びて好位列まで上がる。ラスト1Fで前のステレンボッシュに並びかけ、ハナ差で競り落とした。
当時は内有利の標準的な馬場。前後半4F47秒3-45秒7のスローペースで前有利の展開を中団の外からロスを作った上で勝利しており、字面の成績以上に強い内容だった。
昨年の安田記念では酷く折り合いを欠いて17着敗退。当時もニューイヤーS(L・中山芝1600m)、休養を挟んでのダービー卿CTを連勝と勢いがあったが、本番で“二走ボケ”を起こした。
本馬は今年に入って折り合いに進境を見せており、加えて昨年の安田記念からの相手緩和による優位性もある。しかし、昨年の安田記念と似たような臨戦過程という点は不安だ。
混戦模様の今年は、穴馬2頭に注目
混戦の様相を呈する今年は穴馬を2頭推奨する。
【シックスペンス】
デビューから3連勝でスプリングSを勝利し、同年の秋には休養明けで臨んだ毎日王冠を勝利した素質馬。翌年の中山記念も1番人気に応えて勝利するなど、この時までは順風満帆だった。
この中山記念では1番枠からまずまずのスタートを切り、二の脚良く積極的に先行して2列目の最内を確保。1~2角で行きたがるのを抑えると下がって、3列目の最内を追走し、前のエコロヴァルツとのスペースを広げ、中団の最内で3角に入った。
3~4角でも最内を通し、4角でスペースを潰して3列目まで上がって直線へ。序盤で外に誘導してスムーズに捌いて2列目に上がると、ラスト1Fで先頭のエコロヴァルツをハナ差で差し切った。
このときはC→Aコース替わりの開幕週。内有利かつコンクリートレベルの高速馬場で、前後半4F47秒0-46秒3の平均ペースだった。前後の位置による大きな有利不利のないレコード決着となったなかで、最短距離を走らせており、ほぼ完璧な騎乗ではあった。ただし、ここではソウルラッシュを3着に下している。
以降は、昨春の安田記念で12着に敗れたことがキッカケとなり、ダート路線に転向。3走前のチャンピオンズCは外から掛かって逃げ馬に競りかけていく形となり、ハイペースを演出して11着に失速する。2走前のフェブラリーSでも合わない逃げ戦法で9着に敗れている。
芝に戻った前走マイラーズCでも7着に敗れているが、当時はB→Cコース替わりの開幕週で内有利の超高速馬場に加え、前後半4F46秒6-45秒1のスローペースだった。内と前が有利な馬場と展開で、中団の外々を回るロスを作っており、この敗戦は仕方ない。久々の芝でも悪くない走りができており、慣れが見込めるここでの前進を期待したい。
【セイウンハーデス】
本馬の指数は能力値3位の3頭とほとんど差がない6位。2023年の七夕賞で初重賞制覇を達成後、屈腱炎を発症。約1年5ヵ月に及ぶ長期休養を余儀なくされ、復帰後の2戦は不振だったが、再調整された5走前のエプソムCで見事な復活を果たした。
そのエプソムC は16番枠から好スタートを決めたが、無理をせずに控えて好位の外を追走。道中では少し促しているが、位置が下がって中団外目となり、3角手前で外のダノンエアズロックを行かせて、その後ろから3角に入った。
3~4角でも同馬の後ろを通し、4角出口で外に誘導。序盤で追われてまだ中団だったが、ラスト2Fで一気に突き抜けて2馬身ほど前に出る。ラスト1Fでは馬場の良い内に切りながらリードを広げたところで、外からドゥラドーレスに突っ込まれたが、余裕を持って1馬身3/4差で完勝した。
このレースは1分43秒9のコースレコードで決着しているように、稍重ながらも高速馬場で前後半5F46秒0-46秒6の緩みない流れ。ラスト2Fで前が早々とバテたところを一気に突き抜ける、異様な強さを見せた。
本馬が先頭に立った芝1600m通過地点の時計は1分32秒0。安田記念では、あと0秒5は詰める必要があるが、この内容なら芝マイルでも通用するだろう。エプソムC以降は折り合いが難しく能力を出しきれていないが、距離を短くして折り合いが付けば一発に期待できる。
《ライタープロフィール》
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。
《関連記事》
・【安田記念】昨年2着馬ガイアフォース、NHKマイルC勝ち馬パンジャタワーは消し ハイブリッド式消去法
・【安田記念】過去10年のレースデータ
・【安田記念】本命馬の複勝率は“76.2%”で軸は決まり! 買い目は万馬券狙える3種類を紹介【動画あり】