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【平安S回顧】ロードクロンヌが番手からレースを支配 GⅠ級への成長示す3馬身半差の圧勝劇

2026/05/25 10:24
勝木淳
2026年平安S、レース結果,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

強い先行型は追い込みを誘発する

国内ダート上半期の大一番である帝王賞へ向けた前哨戦、平安Sはロードクロンヌが3馬身半差をつけ圧勝。重賞2勝目をあげた。2着はヴァルツァーシャル、3着タイトニットで決着した。

勝ったロードクロンヌは2番手につけて抜け出し、2着は初角12番手、4コーナー7番手、3着が初角16番手、4コーナー14番手と、後方から進めた馬たちとの組み合わせがロードクロンヌの強さを引き立てる。先行馬同士での決着なら展開利を加点できるが、そうではない点も強さを際立たせる。

チャンピオン級の先行馬は自分以外の先行馬が残ることを許さない。自分の走りで周囲を引っ張り、まるでついて来られない馬を蹴落とすような競馬を展開し、結果的に先行→差し→追い込みといった極端な脚質の馬たちが上位に顔を出す。

まさにロードクロンヌの平安Sはこれだった。フェブラリーSは慣れない東京ダートマイルに崩れたものの、単に負けたわけではなく、GⅠに向けた仕上げの過程とGⅠそのものを経験したことによって、ワンランク上へと成長していった。

負けて強くなるとはまさにこのこと。なにごとも経験がなければ上達しない。次に中距離GⅠに挑戦するときは前回とはまったく違う結果になる予感がしてならない。


最初のポイントは先行争い

さて、レースを振り返ると、最初のポイントは先行争いだった。ナルカミ陣営がハナを狙うようなことを匂わせ、ライバルの先行型をけん制し、結果としてその通りハナに立つ展開になった。

中心の一頭ナルカミがハナにいき、2番手にロードクロンヌがとりついたことで、レースの比重は前に偏った。同時にレースをコントロールしたのは番手のロードクロンヌであり、終始プレッシャーを受けたナルカミはハナに立ててはいたが、自分のリズム、仕掛けをさせてもらえなかった。

1000m通過推定1:00.5は決して速くないが、100m通過後から10.9-11.2は速く、ナルカミ自身もやや突っ込んで入ったのも確かだが、なによりロードクロンヌに背後から睨まれたのが痛かった。まだこれを振り切れる強さがなく、ナルカミにとって今後の課題だろう。

4コーナーから直線入り口にかけて馬なりで先頭に立つロードクロンヌに抵抗できる先行馬はおらず、その後ろの組もまたロードクロンヌを追いかけるも、残り200mで脚が上がってしまった。ラスト200mのラップタイムは13.0。前がかりになったことで、最後は時計を要し、ここで伸びられる馬は限られていた。

ロードクロンヌは昨春のオープン入り後、重賞で3着→2着→2着→3着→2着となかなか最後の壁一枚を突き抜けられなかった。これもその壁を突き抜ける訓練のようにみえる。好位の後ろからだったスタイルが好位につけられるになり、今回は番手と安定感が増す一方。この形が板につけば、もう崩れる場面は考えにくい。

徐々に進化させていったプロセスはわかりやすいが、実際、1年間でここまで明確に成長し、結果を残せる馬はそう多くない。この先、もうひとつ成長する姿を楽しみにしたい。GⅠ級の力を持ち合わせているのはまちがいない。


中山適性とマッチしたヴァルツァーシャル

2着ヴァルツァーシャルは22年暮れにオープン昇級後、好走は中山ダート1800mに限られていた。以前より好走ゾーンが狭まった感があっただけに、京都で結果を残せたのは収穫だった。

とはいえ、ロードクロンヌが支配し、先行型の脱落を呼んだあとの好走であり、ちょっと複雑なところ。厳しく、時計を要する流れで最後まで走るというスタイルは中山ダート1800mで求められる適性であり、そこがマッチした可能性はある。秋まで中山開催がないなか、次走、別の競馬場に出てきた際は人気との見合いで評価したいところだ。

3着タイトニットは初角を最後方で通過し、道中も離れた位置で前の攻防を見る形で進めた。川田将雅騎手の読みと胆力がなせる戦略が最後に上位進出を呼び込んだ。半端な位置でついて回っていたら、ここまで伸びたかどうかわからない。

とにかく堅実に末脚を使えるので、差し馬であっても比較的計算しやすい。一方で前半や勝負所で先に動くとよくないようで、末脚をしっかり溜める必要がある。やはり東京のような長い直線が理想だろう。


2026年平安S、レース回顧,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『名馬コレクション 世界への挑戦』(ガイドワークス)に寄稿。

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