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【フローラS回顧】ラフターラインズが発揮したスピードと瞬発力 垣間見えた“バラ一族”の強み

2026/04/27 10:20
勝木淳
2026年フローラS、レース結果,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

記録上はスローペースだったが

オークストライアルのフローラステークスはラフターラインズが制し、重賞初制覇。2着エンネまでがオークスへの優先出走権を獲得し、3着はリアライズルミナスで決着した。

前日の青葉賞と比べ、いかにも牝馬同士の中距離戦といったレースだった。前後半1000mは1:01.3-58.0で後半が3.1秒も速く、スローペースの上がり勝負に持ち込まれた。ラスト600mは11.3-11.2-11.1とゴールに向けて加速し、究極に近い瞬発力を問う形。全体上がり33.6の高速ラップで1馬身1/4差をつけたラフターラインズは快勝といっていい。

一方で、ラップを見ていくと決して単調なスローではなく、遅い流れであっても先行勢には厳しい展開だった。開幕週の東京は時にこんなレースが多く、差し・追込が台頭する場面もあった。もちろん、単調な流れになれば先行優位は揺るがないが、ここが東京競馬場の深さ。一見単調であっても、細部まで見ると先行勢への厳しさも忍び寄る。

このレースもスタートから2コーナーまでの序盤でリアライズルミナスがハナ、2番手ラベルセーヌで隊列は決まりかけた。

だが、向正面に出てからスタニングレディとエイシンウィスパーが極端なスローを嫌い進出していく。序盤のラップは13.2-12.4-11.7-11.7。3ハロン目から11.7が2度続いたのはこれらの動きによるもの。ここで一旦ペースアップしたことが、後半のスタミナを削ることになった。

やはり東京コースで序盤から中盤にかけてペースを上げてしまうと、乗り切るのは難しくなる。とはいえ、スタニングレディが自分のリズムを整えて走るにはこうならざるを得ず、外枠でなければと悔やまれる。ライバルたちに合わせてリズムを乱すぐらいなら、抑えすぎない方がいい。最善策だったといえる。

ここから12.3-12.4-12.0とコーナーを利用して一旦落ち着いたものの、11.7-11.7が響いた。スタニングレディ9着、ファムクラジューズ10着などは終盤で体力差が露呈した。特に外枠勢は流れに合わせて走りづらかった。


父から毛色と特徴を受け継ぐバラ一族

勝ったラフターラインズは中団付近で息を整え、前に馬を置いて走れた。体力を温存する形をつくれたので、後半の瞬発力勝負にも対応できた。また、なんといっても血統がローザネイ牝系。いわゆるバラ一族であり、一本筋が通っている。

ローザネイ一族のなかでもこの系統は非常に興味深く、4代母ロゼカラーは栗毛のローザネイと鹿毛のシャーリーハイツから生まれた鹿毛。そのロゼカラーの産駒ローズバドは父サンデーサイレンスが青鹿毛で、本馬は青毛。その子ローザブランカはその父クロフネと同じ芦毛に出て、ラフターラインズの母バンゴールはキングカメハメハの鹿毛を譲り受けた。

このように、この牝系はすべて父の毛色を受け継いでおり、適性もどことなく父の影響が濃い。サンデーサイレンス産駒のローズバドは典型的な切れ味型で、その娘ローザブランカはクロフネに似た持続力型。そしてバンゴールはキングカメハメハ譲りの速い時計に対応できる持続力型だった。

バラ一族の発展は父から日本の主流血脈を取り込み、その特徴を引き出し、現代競馬に適応することで得られた。ならばラフターラインズはアルアインからその父ディープインパクトの切れ味と、アルアインが武器とした速い時計への対応力を受け継いでいった可能性が高い。

3着に敗れたきさらぎ賞は、冬の京都特有の少し時計を要する馬場の影響もあったのではないか。高速決着、瞬発力勝負への強さが距離を延ばしたときにどう出るか。オークスはその見極めがポイントだろう。


直線勝負が当たったエンネ

2着エンネは外枠だったこともあり、後方から直線勝負に出る作戦が当たった。勝ち馬ラフターラインズ以外はラストの加速ラップで次第に力尽きていき、出番が回ってきた印象だ。

繰り出したラスト600mタイムはラフターラインズと同じ32.8。瞬発力勝負に対応できたとはいえ、勝ち馬と同タイムとなると、どうしても位置取りの差が出てしまう。そうはいっても1戦1勝の身であったことを踏まえると、重賞2着は上々の結果であり、レースに慣れて位置を求められるようになると、勝ち星を稼げるようになるのではないか。

3着リアライズルミナスは先行勢のなかで馬券圏内に入った点を評価したい。中盤で動きがあり、厳しい展開に身を投じながらもよく粘った。

前走の未勝利戦は1000m通過が57.9と速く、後半600mは12.2-11.5-12.1の35.8と今回とは対照的に時計を要した。この手の持続力勝負向きであり、一旦キツいラップを刻んだことがプラスに出た。高速上がりとなると末脚で見劣ってしまうが、全体的に速い流れになれば、強みがいきてくる。

今回3着に敗れたことで、基本的には1勝クラスから出直しとなる。条件戦の緩い流れが合わない可能性はあるものの、自ら得意な展開に持ち込めば、勝ち上がるのは時間の問題だろう。


2026年フローラS、レース回顧,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『サラブレッド大辞典』(カンゼン)に寄稿。

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