SPAIA競馬
トップ>ニュース>【高松宮記念回顧】2F目「9.8」の激流で示したスピード サトノレーヴが価値ある連覇

【高松宮記念回顧】2F目「9.8」の激流で示したスピード サトノレーヴが価値ある連覇

2026/03/30 10:35
勝木淳
2026年高松宮記念、レース結果,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

層の厚い2019年生まれ

春のスプリント王決定戦・高松宮記念はサトノレーヴが勝利し、連覇達成。2着レッドモンレーヴ、3着ウインカーネリアンで決着した。

昨年の1~3着サトノレーヴ、ナムラクレア、ママコチャは同じ2019年生まれ。その3頭が今年も1、2、4番人気と上位評価を受けており、スプリント戦線は構図が固定されてきた。

3番人気に割って入った4歳パンジャタワーは世代交代の旗手になることを期待された。とはいえ、サウジ遠征帰りの臨戦過程はそう簡単ではない。好位から3着ウインカーネリアンと競り合いを演じた走りには高いスプリント能力を感じた。また次の機会だろう。

レースはサトノレーヴの王座防衛で幕を閉じた。2着はこれまた同世代のレッドモンレーヴ。短距離戦線における2019年世代の層の厚さを示す結果となった。

高松宮記念の連覇達成は同じ堀宣行厩舎所属キンシャサノキセキ以来のこと。当時は旧中京と阪神競馬場での連覇だった。そして連覇達成は7、8歳時のこと。サトノレーヴは6、7歳であり、年齢的衰えなどという言葉は王者には通用しない。

堀厩舎の丁寧な仕上げはこうした息長く一線級で勝てる馬をつくる。堀厩舎が競馬に出走させ続ける限り、年齢は理由にならない。走れるから現役を続ける。的確なジャッジこそが堀厩舎の真骨頂だ。


着差0.3の価値

サトノレーヴの連覇の価値は内容からも見えてくる。昨年は前後半600m33.8-34.1、1:07.9。前後半のバランスがとれた全体的にやや時計を要する流れを差し切った。

対して今年は前後半600m32.5-33.8、1:06.3。ブリンカーを装着したインビンシブルパパが近走ハイペースを刻み続けるピューロマジックのハナを叩く形となり、2ハロン目9.8とかなり速い流れになった。

後ろは構えることなく、しっかりついていく道をとり、隊列はタテ長にならなかった。全体的に各馬普段より速いラップを刻み、勝負所まで進んでいった。サトノレーヴも中団の後ろに構えても、確実に昨年より速いラップで走っていた。それでいて後半600mは32.4。昨年の33.4より1秒も速いから恐れ入る。

このスピード能力は間違いなく兄にハクサンムーンがいる母チリエージェ(その父サクラバクシンオー)と、兄としのぎを削った父ロードカナロアから受け継いだもの。サトノレーヴを巡る血の物語は何度ひも解いても面白い。

2012年に中京競馬場が現レイアウトになってから、良馬場限定で着差が0.3ついたのはこれがはじめてのこと。残り400~200mに急坂が設けられたことで、ラスト200mで前が苦しくなり、前後の差が一段と縮まるようになった。

ゴール寸前でもつれる展開になりがちなレイアウトであることを踏まえると、この0.3という数字は価値が高い。一頭、王者が違う競馬を演じたという証でもある。


最後の挑戦だったナムラクレアは6着

2着レッドモンレーヴは15番人気。1400mのGⅡを勝ったのは約3年前の4歳春のこと。1200mは昨年オーシャンS7着以来、2度目の出走と買い材料が乏しかったのは確か。見事にそんな低評価を覆す走りだった。前走東京新聞杯で装着したブリンカーの効果と、18キロ減と絞れたせいだろうか、行きっぷりが改善していた。

いちばん後ろから追い込んでどこまでという荒っぽい競馬が目立っていただけに、少しでも前につけられたのは大きかった。こちらも父ロードカナロアで、スローの瞬発力勝負より速い流れの持続力勝負に向く。スプリント戦で経験を積んでいくのも面白そうだ。

3着はスプリンターズS勝ち馬ウインカーネリアン。中京と中山のレイアウトの違いから春秋スプリントGⅠは適性が異なる。といっても、昨秋と今春はまるで逆で、スプリンターズSがスロー、高松宮記念がハイペースだった。

適性という言葉もひと口では語りきれない。ウインカーネリアンも異なる流れで1、3着なので、王者の力は示せた。サトノレーヴより2歳年上であり、頭が下がる。

2番人気ナムラクレアは6着。引退レースで苦楽をともにした浜中俊騎手との再コンビなど買いたくなる材料がそろっていた。なにより3年連続2着に終わった高松宮記念はこの馬にとってもっとも適性が合う。勝ってほしいそう願わずにはいられない状況だった。

3歳時に雑誌の取材で長谷川浩大調教師に話を聞いたとき、そのスプリント能力を高く評価していたことをいつも思い出していた。いつか勝てる。そう信じ続け、勝てずに終わってしまう悔しさは想像するにあまりある。

今回に関しては流れがスプリンターズS寄りの激流になってしまった。3コーナーでスムーズさを欠いた面もあったが、適性がひっくり返ったのも痛かった。


2026年高松宮記念、レース回顧,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『サラブレッド大辞典』(カンゼン)に寄稿。

《関連記事》
【高松宮記念】結果/払戻
【高松宮記念予想印まとめ】ナムラクレア、サトノレーヴら昨年上位が本命独占 エーティーマクフィの一発にも警戒
【高松宮記念】“4度目の正直へ”AIの本命はナムラクレア 「7枠」に単勝回収率425%データ