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【フラワーC回顧】良血揃いの一戦はスマートプリエールが制す 重賞4勝の母スマートレイアーとは異なる強み(訂正)

2026/03/23 11:11
勝木淳
2026年フラワーC、レース結果,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

良血が集まったフラワーC

桜花賞への最終便、もしくはオークスへの起点となるフラワーカップはスマートプリエールが制し、人馬とも重賞初制覇を達成。2着ロンギングセリーヌ、3着イクシードで決着した。

桜花賞戦線はトライアル勝ち馬が離脱するなど混戦を呈してきたが、フラワーCはその反動というか、皮肉なことにそれゆえに豪華メンバーになった一戦だった。出走馬の血統を眺めれば理解できる。POGで上位に推されそうな良血馬が目立っていた。

内からおさらいすると、エアビーアゲイルは大阪杯連覇のベラジオオペラを兄にもつ。ヒルデグリムはテイエムスパーダの近親で、クリスレジーナの母は2017年のフラワーCを勝ったファンディーナだ。

さらにラコンチャビエンはコントレイルの近親であり、イクシードはご存じイクイノックスの全妹で、ヴィスコンテッサは兄がホープフルSを勝ったドゥラエレーデだった。

そして、勝ったスマートプリエールは重賞4勝スマートレイアーの娘。こうした良血馬がフラワーCに出走するというのがこの世代の特徴のひとつで、期待馬が少し遅れ気味でようやく立ち上がってきた。

クラシックは生涯一度の舞台であり、その道は古馬戦線に比べると非常に狭い。その狭い道を順調に歩めたものが出走できる。紙一重の世界といえる。奇しくも良血馬が集まったフラワーCはスマートプリエールの勝利で幕を閉じた。

小回り特有の忙しないコースでは、序盤の手順が結果に結びつく。スマートプリエールは外を回り、制御が難しくなりそうな場面こそあったが、それを乗り越え、序盤でいい位置をとれた。その分、勝負所では一気に仕掛けず、脚を溜めながら回ってこられた。最後まで脚を残せた仕掛けは序盤の位置取りから連なるものだ。

一方で、大外を回って抜け出したところからはポテンシャルの高さもうかがえる。母は切れ味鋭いディープインパクト産駒らしい牝馬だったが、エピファネイアが配されたスマートプリエールはもっと持続力タイプに近い。母に比べると好走ゾーンが広そうで頼もしい。


3着イクシードが示した可能性

対照的だったのは、3着に敗れたイクシードだ。まずスタートで遅れ、馬群にとりつくまで脚を使わざるを得なかった。

後ろから進める以上、馬群の中には入れられない。長所をいかすなら外で伸び伸び走らせるしかなかった。4コーナー手前で反応が悪くなり、直線で再点火する走りはいかにも良血馬らしく、直線だけで3着まで押し上げたのは血の力だろう。

その反面、イクイノックスの3歳春を思い出す走りだった。皐月賞でジオグリフに惜しくも敗れた姿と重なる。兄は未完成の状態のまま東京スポーツ杯2歳Sでとんでもないパフォーマンスを演じ、そこから立て直すのに3歳春シーズンを使い切った印象すら抱く。

だが、イクイノックスは重賞を制したことで賞金を確定させていたので、じっくりと時間をとれた。イクシードの「3着に終わった」という事実は重い。賞金は加算できず、収得賞金は400万円。1勝クラスのままだ。もう一度クラスを上がっていかないといけないので、少し時間がかかりそうだ。

とはいえ、これもポジティブに考えると、3着に終わったことでオークスという言葉がちらつかなくなり、陣営もその選択肢をはずして出直すことができる。なまじオークス出走の道が残ると、どうしたってそこに進みたくなるもの。この血統は若いときに無理せず待つことが開花への道。フラワーCまで待ったように、この先も辛抱強く待っていきたい。3歳秋以降のイクイノックスを思えば、イクシードの未来も明るい。今回記録した上がり600m33.6はその根拠ともいえる。

2着は逃げたロンギングセリーヌ。1コーナー通過後にうまくペースを落とし、1000m通過1.01.2と流れをコントロールできた。ラスト600mは11.8-11.6-11.5と加速ラップを描いており、父モーリスらしい持続力を発揮できた。

レースを支配できれば、理想的なラップを刻んでゴールまで走れるのがモーリス産駒の最大の強み。それを備えている時点で楽しみは広がる。距離は1800mがギリギリの印象で、オークス路線なら危ういが、マイルから1800mに絞って進んでいければ、おもしろい存在になりそうだ。


2026年フラワーC、レース回顧,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『サラブレッド大辞典』(カンゼン)に寄稿。

※本記事は公開後に表現の一部調整を行いました。「皐月賞で猛然と差してきてジオグリフをとらえられなかった姿と重なる」(変更前)→「皐月賞でジオグリフに惜しくも敗れた姿と重なる」(変更後)。記事の内容・結論に変更はございません。【3月25日12時00分】 《関連記事》
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