【中山記念】ヌーヴォレコルトがロゴタイプら強豪を一蹴 “最後の牝馬V”2015年をプレイバック

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クラシックを沸かせた明け4歳勢が古馬の強豪と激突
今週は中山記念が開催される。今年が第100回という伝統の一戦で、過去の勝ち馬を見てもハイセイコーやサクラローレル、サイレンススズカといった名馬がズラリと並ぶ。今回はその中から2015年の一戦をピックアップして、当時のレースを振り返っていく。
11頭立てというやや少頭数で行われた2015年。戦前の構図としては「明け4歳世代vs古馬」が大きな見どころだった。
1番人気は前年の皐月賞馬であるイスラボニータ。日本ダービーでも2着に好走するなど世代トップクラスの実力の持ち主であることは間違いなく、古馬との初対決となった天皇賞(秋)でも3着と奮闘。ジャパンカップでは9着に敗れたが、GⅠ勝ちのある中山へ戻り、実績豊富な1800mへの距離短縮とあって大きな期待を寄せられた。
さらに、この年は前年のオークス馬ヌーヴォレコルトも参戦。こちらも桜花賞3着、秋華賞でも2着という世代上位の実績の持ち主で、古馬相手のエリザベス女王杯でもラキシスにクビ差2着と善戦。こちらは3番人気の支持を受けた。
牡馬と牝馬の世代トップ級が名を連ねただけでなく、ほかにも皐月賞5着馬で秋に富士Sを制したステファノス、ダービー3着馬マイネルフロスト、ダービーと菊花賞で4着と奮闘したタガノグランパなど、5頭の明け4歳勢が上位人気を形成。そんななか、古馬勢で唯一そこに割って入ったのが5歳ロゴタイプである。
2歳時に朝日杯フューチュリティS、3歳時には皐月賞を制覇。以降は勝ち星から見放されていたものの、中山記念は前年3着と好走歴があり、年明けの中山金杯でもラブリーデイの2着と中山適性の高さは折り紙つき。復活星を期待するファンも多く、2番人気でレースを迎えた。
鞍上の檄に応える最内強襲
雨の影響で芝の状態は稍重。比較的揃ったスタートのなか、まず勢いよく飛び出したのがヌーヴォレコルトだった。
しかし、すぐに外からタイキパーシヴァルとロゴタイプの古馬勢が促されながら主張。タイキパーシヴァルが主導権を奪い、以下ロゴタイプ、ヌーヴォレコルト、その後ろにイスラボニータという順で隊列が落ち着く。
逃げるタイキパーシヴァルからやや離れたところに、ロゴタイプが自分のリズムで追走。一方、内に入ったヌーヴォレコルトはやや行きたがる素振りも見せながら、鞍上の岩田康誠騎手がなんとかなだめて進めた。
レースは大きな一団で進み、3コーナーで仕掛けたのが蛯名正義騎手とイスラボニータ。ロゴタイプに並びかけるように捲ると、それに呼応するかのようにイスラボニータも勢いをつける。
直線手前でタイキパーシヴァルが失速。その外を回って位置を上げるイスラボニータとロゴタイプに対し、内にいたヌーヴォレコルトは常に窮屈な競馬を強いられた。さらにロゴタイプがラチに沿うように進み、勝負所で外からマイネルフロストも進出してきたため、一時は完全に進路がふさがってしまう。
しかし、ヌーヴォレコルトはここから意地を見せる。マイネルフロストと馬体をぶつけながら進路を切り開くと、タイキパーシヴァルをかわして再び内へ。先に抜け出したロゴタイプのイン、そのわずかなスペースから並びかけ、最後は2頭の一騎打ちとなる。
岩田康誠騎手の大きなアクションに応えるように伸びたヌーヴォレコルトが、ゴール目前でわずかにロゴタイプの前に出た。結果はクビ差で、3着以下には1馬身半の差がついた。
ヌーヴォレコルトは単勝4.7倍の3番人気。1番人気イスラボニータ(5着)が2.1倍の支持を受けていたこともあり、2番人気ロゴタイプとの馬連でも8.8倍と、実績を考えるとやや美味しい印象もある決着となった。
チェルヴィニアは11年ぶりの牝馬Vなるか
明け4歳初戦を勝利で飾ったヌーヴォレコルトだったが、その後はGⅠでの2着2回など悔しい結果が続いた。2016年11月にアメリカのレッドカーペットハンデキャップ(GⅢ)を制し、実に1年8カ月ぶりの勝利をゲット。これが現役最後の白星となる。
引退後のヌーヴォレコルトは、母としてその才能を発揮。イングランドアイズ(父Kingman)が昨年小倉記念を制したほか、セナスタイル(父Sottsass)も昨年のローズSで3着、秋華賞5着と世代限定の牝馬路線で存在感を見せた。父が外国馬の牝馬が活躍を見せていることもあって、牝系は今後もさらに拡大していくことだろう。
最後に今年の中山記念のメンバーを見てみると、2023年のオークス馬チェルヴィニアが参戦。メンバー中唯一の牝馬という点も、2015年のヌーヴォレコルトと同じだ。
実は中山記念では、今回取り上げた2015年を最後に牝馬の勝利がない。その後もヴィブロスやアエロリット、ディアドラ、ラッキーライラックにスタニングローズといった実力馬が複数回にわたり挑戦したが、頂点には手が届かなかった。
今年こそ、ヌーヴォレコルト以来となる11年ぶりの牝馬の中山記念制覇は見られるのか。チェルヴィニアの挑戦から目が離せない。
《ライタープロフィール》
緒方きしん
札幌生まれ、札幌育ちの競馬ライター。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、メイセイオペラ、ダイワスカーレット、ドウデュース。
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