【京成杯回顧】グリーンエナジーがクラシック戦線に名乗り 中山で発揮された3つの強み

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勝ち時計は歴代2位
牡馬クラシック戦線の開幕を告げる京成杯はグリーンエナジーが勝ち、重賞初制覇。2着マテンロウゲイル、3着ソラネルマンで決着した。
クラシックは“勝ち抜け戦”なので、ここで賞金を積んだグリーンエナジーは京成杯のメンバーのなかでは大きく前に飛び出した。これで本番までのプラン立ては自由になる。2歳GⅠ組や春のトライアルで登場する新星との力関係はやってみないと分からないが、プラン立てが自由になった分、グリーンエナジーにはアドバンテージが与えられる。
気になる力関係については、勝ち時計1:59.3がヒントになるのではないか。京成杯が2分を切るのは珍しく、現行条件になった1999年以降の記録をみても2004年フォーカルポイント(1:59.2)と25年ニシノエージェント(1:59.9)の2度しかない。
グリーンエナジーの1:59.3はレース史上2位の記録になるが、だから優秀だと決めるのは早計というもの。12月から続く中山開催はほぼ雨の影響を受けずに進み、馬場は例年以上に良好な状態にある。時計が速い馬場のアシストも存分にあった。
見せつけた非凡な瞬発力
だが、前後半1000m59.9-59.4の締まったラップバランスは見逃せない。スローの瞬発力勝負でもなく、ハイペースの前崩れでもない。精緻な走りが求められる流れだった。
もうひとつ、時計が出る中山は内を突いて、距離ロスを防いでいくのが必勝パターン。外を回って差し切るのは至難の業といえる。当然、こうなれば先行勢にアドバンテージがあり、実際に2着マテンロウゲイル、3着ソラネルマンは4コーナー2、3番手の好位勢だった。
そうなると、差し馬勢で唯一伸びてきたグリーンエナジーは評価できる。もちろん、内枠から中団後ろのインでじっと動かないという定石通りではある。一方で、直線入り口までインでじっとしながら、瞬く間に内をさばいて抜け出してきた瞬発力は目を見張る。
いくらなんでもあの競馬で1着を勝ちとるのは簡単ではない。よくて「負けて強し」の2、3着だろう。差し切ったグリーンエナジーの瞬発力は実力の違いを示す証左になりうる。勝ち時計とラップバランス、レース振り。この3点においてグリーンエナジーは高く評価できる。
父スワーヴリチャードは現役時代、ダービー2着、アルゼンチン共和国杯V、そしてジャパンC優勝と東京を得意としていた。いかにもハーツクライ産駒らしい戦歴を残した一方、産駒はレガレイラ、アーバンシックなど中山の重賞に強い産駒が目立つ。
その代表格レガレイラは中山での末脚が鋭く、グリーンエナジーの走りもイメージ的に近い。ハーツクライやスワーヴリチャードは持続力に長けていたが、スワーヴリチャードの仔は瞬発力型が目立った成績をあげるから血統は不思議だ。
展開に左右されないマテンロウゲイル
2着マテンロウゲイルはここまでの4戦で横山典弘騎手と和生騎手が競馬を教え込み、その成果が今回の先行策に結びついた。
初勝利は京都芝2000mの超スローペースで、今回は平均ペース。異なる流れでも同じような競馬を展開できたのは大きい。展開に左右されない脚質は強みになっていきそうだ。大一番で人気が落ちているようなら買い目に組み込みたい。
3着ソラネルマンは積極策で、逃げたジーネキングの外2番手をとった。未勝利戦を逃げ切った直後に外の2番手で展開できたのはこちらも収穫だろう。
ただ、最後にマテンロウゲイルにつかまり、1馬身1/4差をつけられたのはやや物足りない。父フィエールマン、母の母ブエナビスタという血統背景を考えると距離が長いとは考えにくいが、現状では先行策がやや忙しいという可能性は残る。もう少し脚を溜める形でどれほど弾けるか。そんな競馬もよさそうだ。
3番人気アクセスは9着。坂路での時計など非凡な脚力の持ち主だが、今回は大外枠が裏目に出た印象。終始外をだらっと回ってしまい、なし崩し的に脚を使い、うまく溜められなかった。今の中山で外を一周回ってきては厳しい。次走で再評価は必要だろう。

《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『サラブレッド大辞典』(カンゼン)に寄稿。
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