【シンザン記念回顧】9番人気サンダーストラックが重賞初制覇 勝利を手繰り寄せた鞍上の好判断と馬具の効果

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マイル戦らしいスキのない流れ
新春3日間開催の最終日を飾るシンザン記念はサンダーストラックが勝ち、鞍上のT.ハマーハンセン騎手とともに重賞初制覇。2着サウンドムーブ、3着アルトラムスで決着した。
2勝以上をあげたオープン馬は前走1勝クラスを勝ったクールデイトナ1頭。残りはすべて1勝クラスという重賞としては低調なメンバー構成は馬券の難易度も高く、3日間開催の最終日にふさわしい混戦だった。
各陣営とも賞金加算に色気をもって臨んだ一戦は、先手をとったファニーバニー以外はほぼひと塊で進み、位置取りや捌きが結果に大きな影響を与えたといえる。それだけに、枠番など運の要素も大きかったようにみえた。
序盤600mは34.5、800m通過46.4。12.4-10.9-11.2-11.9と進み、3~4コーナーに待ち受ける淀の丘で自然な形で一旦ラップを落として後半に入っていく。先頭を進むファニーバニーはイメージより少し速かっただろうか。ハナに立つまでに少し脚を使った。
後半は11.9-12.1-11.5-11.5の47.0。前後半800m46.4-47.0は、極端に速い区間も遅い区間もない平均ペース。緩急を求められず、スタートからゴールまで一定のラップで走る持続力勝負になった。
一定のスピードでマイルを走り切る力は超A級に求められる資質であり、そのレベルにはまだ及ばないが、その原石を探せる流れではあった。理想はラスト400m11.5-11.5でもう少し速いラップを踏めるといいが、そこは成長できる余地というもの。春に向けて楽しみにしたい。
ハマーハンセン騎手の完璧なエスコート
勝ったサンダーストラックは、まず内枠を引くという運があった。ブリンカーを装着し、道中は好位後ろのインに入って折り合いに専念できた。
ブリンカーで前進気勢を引き出されたこともあり、やや行きたがる場面もみられたが、サンダーストラック騎手が馬の後ろでなだめ切った。今開催の京都芝は4コーナーで外を回ってしまうと、その距離ロスをなかなか逆転できない。かなり脚を使っても2、3着止まりという馬場状態なので、徹底してインを狙ったサンダーストラック騎手の戦略が勝利へ導いた。
また、ブリンカーを装着したことで、抜け出してからも気を抜かず集中できたのもプラスに働いた。ブリンカー装着は前走2000mからの距離短縮に対応する目的もあっただろう。距離カテゴリーを横断する際、ブリンカーはよく効く。短縮+ブリンカーは使える馬券作戦でもある。
サンダーストラックは中山マイルの新馬を勝ち、京都芝内回り2000mの黄菊賞に出走して5着に敗れた。上がり600m11.8-11.3-11.7の34.8でモタついたように、本質的に切れ味勝負は分が悪い。それだけに、緩急を求められない流れも味方した。
前半は行きたがる素振りもあり、さらにハイレベルな速い流れへの対応にも期待できる。母はニュージーランド産シーブルック。オーストラリアの芝マイルGⅠを勝っており、父系と母系にデインヒルをもつ。持続力に長けたシーブルックにスピードのロードカナロアという血統構成は本格派マイラーに育つ素養を感じる。
枠、進路など敗因明確な惜敗組
2着サウンドムーブは勝ち馬とは正反対に大外枠が響いた。スタートこそ速かったが、その後は内を意識し、好発を切った隣のクールデイトナの後ろにつけるために位置を下げざるを得なかった。
当然、内に潜り込み切れない。それでもなんとか大外を回らないようタイトにコーナーを通過し、極力距離ロスを減らそうという意図は伝わってきた。勝ち馬との差は通ったコースの差というより、枠順の差だろう。もう少し外が伸びる馬場なら逆転もあった。
父リアルスティールは持続力勝負に強く、母の母は2012年ファンタジーSを勝ち、ダートのオープン勝ちも収めたサウンドリアーナ。ダンシングブレーヴの血をもつ同馬にスクリーンヒーローの血が加わった母にリアルスティールなので、マイル以上もこなせる。2000mでも夢を見られる。
3着アルトラムスはスタートで遅れ、後方から。腹をくくって直線に懸ける競馬になり、4コーナーは外を回らざるを得なかった。今の京都芝ではどう頑張っても2、3着までという競馬だった。とはいえ、それでも3着まで差し込んでこられた脚力は評価に値する。経験を積み、スタートさえ改善されれば2勝目は近い。
こちらもサウンドムーブと同じく母系にはスクリーンヒーローの血が入っている。京都が少しパワー寄りの馬場だということだろう。父はスピードとパワー兼備のイスラボニータ。極端に速い決着にならなかったのも幸いした。
4着バルセシートも敗因は同じ。こちらも末脚を繰り出しながら、外を回ったため届かなかった。当然、見直さなければいけない。

《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『サラブレッド大辞典』(カンゼン)に寄稿。
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