【フェアリーS回顧】ハイペースを乗り切った好位勢が上位独占 ブラックチャリスがスプリント経験生かし春に弾み

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今年は味なハイペース
3歳牝馬クラシック戦線の出発点フェアリーSはブラックチャリスが勝利し、重賞初制覇。2着ビッグカレンルーフ、3着レオアジャイルで決着した。
勝ち時計1:33.6は昨年、エリカエクスプレスが記録した1:32.8に次ぐ2位の好記録だった。とはいえ、この日は8Rの古馬1勝クラスで1:32.1が出ており、季節外れの南風と馬場の影響は差し引かなければいけない。
一方で、レースラップの内容は濃い。昨年はエリカエクスプレスが前後半800m45.5-47.3のハイペースを好位から押し切った。のちに秋華賞で逃げて2着。スピードを巧みに制御することで武器に変えた。
今年も序盤600m34.1、800m通過45.9と昨年ほどではないが、ハイペースになった。ペースを演出したレオアジャイルは前走1200m戦で追い込んで5着。スタートひと息だったが、鋭く伸びた。距離延長を味方に最内枠から抜群のスタートを切った。先制攻撃を仕掛けたことで労せずハナへいき、あっさり隊列を決めた。
エゴンウレアに少し突っかけられたこともあり、最初の600mこそ速かったが、その後は11.8-12.1-12.1。中盤のコーナー区間で息を入れることに成功した。速そうにみせながらも、緩急をつける。横山典弘騎手の押し引きの妙も光った。
後半800m47.7と時計はかかっていたが、残り400~200mで11.4を刻んでおり、差し追い込み勢にとって逆転しづらいラップ構成だった。一気に駆け抜けるイメージだった昨年とは少し違う。
津村騎手は中山金杯に続き重賞連勝
勝ったブラックチャリスは函館2歳S2着馬であり、スプリント対応が前半の速い流れでいきた。好位勢のなかでも仕掛けを少し待てる余裕すらあった。
前走ファンタジーS4着も差は0.1差。落鉄も敗因であり、距離延長に対応できなかったわけではない。2歳GⅠに向かわず、あえてここに出走させた陣営のジャッジも功を奏した。賞金加算に成功し、春までじっくりブラックチャリスの状態に合わせて進められる。
津村明秀騎手は中山金杯に続き重賞連勝と絶好調。勝負所で一旦待つなど仕掛けのタイミングが冴えわたる。
冒頭、同日8R平場で1:32.1が記録されたと書いたが、このレースも前後半800mは45.1-47.0とハイペースだった。だが、ラスト400mは11.5-11.8と極端に時計が落ちなかった。これが直線追い風になる南風の影響なのかどうかはわからないが、特殊な条件にあったことは覚えておきたい。
また、ハイペースでも上がりが極端に落ちないというラップ構成は最近の中山ではよくみられる現象だ。こうなると前半が速くても差し追い込みに展開利がやってこない。8Rも上位3頭の4コーナー順位は5、3、2番手。通過順が2ケタだった馬は5着が最高だった。
ハイペースでも前が止まらないという傾向は冬の中山のトレンドになりそうだ。なんなら前半はスローで流れ、早めにペースアップするロングスパート勝負の方が差し追い込みに出番が回ってくるだろう。
センス光るビッグカレンルーフ
2着ビッグカレンルーフは道営所属時代にすずらん賞を勝った実績の持ち主。中央転入初戦でいきなり好走したが、ほぼオープン馬がいないここを狙ったのも絶妙だった。
とはいえ、単に相手関係に恵まれたわけではなく、ハイペースのマイル重賞を好位から抜け出しており、レースセンスも感じる。オープン勝ちの経歴をしっかり評価するべきだったと後悔している。
3着は逃げたレオアジャイル。直線入り口で4着マカレイに並びかけられるも、急坂で振り切ってみせた。最後の最後に少し脚が鈍ったところを1、2着馬につかまったが、並ばれそうになりながら、突き放すといった粘り強さは今後も注目だ。
ロードカナロアの流れを受け継ぐ父ダノンスマッシュのスピードと母の父ステイゴールドの勝負強さが噛み合っており、マイル戦線で見せ場をつくるのではないか。

《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『サラブレッド大辞典』(カンゼン)に寄稿。
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