【ホープフルS】近10年7勝「前走1800m組」が優勢 持続性能を備えた好配合ショウナンガルフを推奨

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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す
今回は12月27日(土)中山競馬場で行われるホープフルSについて下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。
・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走内容」
・適性と素質を知るための「血統評価」
特別登録のあった19頭のうち除外対象のカフジエメンタールを除いた18頭を検討対象とし、過去10年データを使用する。
重要データ:前走1800m組に注目

ホープフルSは17年からGⅠに昇格したレースで朝日杯FSよりも距離適性が長い馬が出走してくる傾向がある。
近年では19年コントレイル、20年ダノンザキッド、24年クロワデュノールと、朝日杯FS勝ち馬ではなくホープフルS勝ち馬が最優秀2歳牡馬に選ばれる年も多く、メンバーレベルはGⅠに昇格して以降、高くなっている。
そんなホープフルSで有効なデータは前走距離別成績。1200m【0-0-0-2】、1400m【0-0-0-1】と、1400m以下からの臨戦では好走馬が一頭も出ていない。1600mは【0-2-1-5】と複勝率は悪くないものの、今年は該当馬はなし。
中心となるのは1800m以上の組で、 1800mは【7-2-3-42】勝率13.0%、複勝率22.2%、単勝回収率193%、複勝回収率52%。対して、2000mは【3-6-6-71】勝率3.5%、複勝率17.4%、単勝回収率15%、複勝回収率89%となっている。数字からは1800m組に分がある。
ホープフルSはGⅠとはいえ2歳戦。スローペースからの前有利といった展開になりやすく、相対的に距離延長馬の方がポジションを取りやすい。また、例年ハイレベルなメンバーが集う東スポ2歳Sが1800mであることも、少なからずデータに影響していると考えられる。ここでは前走1800m組で、なおかつ先行できる馬に注目が必要だ。
【前走1800mの出走予定馬】
・アンドゥーリル
・ショウナンガルフ
・ジーネキング
・ダノンヒストリー
・テーオーアルアイン
・ノーウェアマン
・バドリナート
・ラヴェニュー
前走内容:札幌2歳Sのショウナンガルフ
札幌2歳S当日の札幌競馬場は馬場が荒れており、全体的に時計がかかっていた。レースは前半4Fが50.5秒、後半4Fが48.0秒で後傾2.5秒の超スローペース。1000m通過で見ても、1分2秒6とかなり遅かった。
そんな中、ショウナンガルフは1馬身程度出遅れて後方3、4番手を追走した。スローペースにもかかわらず馬群は縦長となり、展開的には不利な運びとなった。加えて、馬場自体はタフだったものの、Cコース1日目だったため内側を通った馬のスタミナロスは比較的小さく、大外を回した本馬の距離ロスの影響の方が大きかった。
それでも、池添騎手のムチが入ると一頭だけ脚色が際立つ末脚を発揮。逃げるジーネキングを差し切った。時計は決して速くなく、着差もクビ差だが、一頭だけ抜けた実力を持っていたと言えるだろう。
血統解説:ショウナンガルフ

・ショウナンガルフ
日本での牝祖は祖母ミスエーニョ。2歳時にデビュータントステークス(GⅠ・AW7F)を勝利した実績馬で、早熟性とスピードが特徴のファミリーだ。
もともとアメリカで繋がっていた牝系で、本馬の従兄弟にはゴールデンロッドステークス(GⅡ・ダート8.5F)を勝ち、エイコーンステークス(GⅠ・ダート8F)でも3着のDream Lithがいる。また、3代母のMadcap Escapadeはアッシュランドステークス(GⅠ・ダート8.5F)を勝った重賞5勝馬で、アメリカではかなり勢いがある。
日本でも叔母のミスエルテがファンタジーSを制し、ミアネーロがフラワーC、ショウナンザナドゥがフィリーズレビューを勝利するなど、世代限定戦の重賞勝ち馬が複数出ている。本馬の母ミカリーニョも3歳までに芝1600mで2勝を挙げており、きょうだい同様に早熟性、スピード、持続性能の高さが特徴だった。
父にハービンジャーを迎えた本馬は、成長力と持続性能がさらに強化された印象を受け、非常にバランスが良い配合となっている。高速馬場への適性が不安材料として挙げられるかもしれないが、むしろタフな馬場よりも高速決着向きな配合だろう。
Cアナライズはショウナンガルフを推奨
今回のCアナライズではショウナンガルフを推奨する。札幌2歳Sではかなり強い勝ち方だった一方、当日は馬場がタフだったこともあり、勝ち時計は1分50秒6と時計を要した。
距離は異なるものの、今回は札幌2歳S時よりも時計を詰めなければ勝ち切れないだろう。ただ、本馬は血統面から高速馬場への適性が高い。加えて持続性能にも優れており、中山競馬場は合うはずだ。
たしかに、レース経験が2戦と浅く、多頭数での競馬を経験していない点は懸念材料となる。ただ、想定人気を見る限りは1番人気にはならなそうだ。その点も踏まえれば、ショウナンガルフから入る価値はある。
《ライタープロフィール》
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。
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