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【朝日杯FS】メンバー最上位の末脚が好走の条件 京大競馬研の本命はカヴァレリッツォ

15時間前
京都大学競馬研究会
朝日杯FS上がり3F4位以内馬の成績,インフォグラフィック,🄫SPAIA

ⒸSPAIA

底が見えない大物揃い

12月21日(日)に朝日杯FS(GⅠ)が行われる。先週末の阪神JFと同舞台で行われる2歳王者決定戦だ。重賞勝ち馬不在だった阪神JFとは打って変わり、4頭の重賞勝ち馬をはじめとする素質馬14頭が集結。能力の底をまだ見せていない大物揃いの一戦だ。

以下では、本レースが行われる阪神芝1600mのコース形態とそれに起因するレースの質、そして想定される展開を踏まえ予想する。

現時点での総合力が試される舞台

まずは阪神芝1600mのコース形態をみる。向正面左寄りからスタートし、初角までの距離は約440m。外回りコースを使用し、ゆったりとした3〜4コーナーを回った後、勾配1.8mの急坂がある473.6m(Aコース使用時)の最終直線を駆け抜ける。これが今回のコースレイアウトだ。

まず注目すべきは初角までの距離が約440mと比較的長い点だ。序盤の先手争いは長く続き、序盤のペースは平均からやや速めで流れやすい。コーナーに入った中盤でペースは緩み、4コーナーからの緩やかな下り坂で徐々に加速していく。

変動するペースに対応しながら脚を溜める操縦性と、最後に急坂をものともせずメンバー最上位の末脚を引き出す能力が必要とされる。地力がない馬には非常に厳しく、中長距離に似た「総合力」が問われる。これが今回のレースの質だ。

上がり3F4位以内は優秀な成績

朝日杯FS、上がり4位以内馬の成績,ⒸSPAIA


<朝日杯FS 上がり順位別成績>
上がり4位以内
【8-9-3-25/45】
勝率17.8%、連対率37.8%、複勝率44.4%、
単勝回収率98%、複勝回収率159%
※阪神開催の直近10回

この傾向は数字にも表れている。朝日杯FSにおける上がり3F4位以内馬の成績は上記に示した通り優秀だ。勝ち馬10頭中8頭、連対馬20頭中17頭、馬券に絡んだ30頭中20頭を該当馬が占めている。脚質に依らずメンバー上位の末脚を引き出せるかが好走のカギとなる。

ただ、速い上がりを持たない先行馬の3着も目立っており、展開次第で残り目には十分注意したい。この点も踏まえて展開予想をしていく。

先行馬と距離延長馬が揃って引き締まった展開に

続いて今回想定される展開から恵まれる馬を考える。メンバー構成は前走通過順位に3番手以内のある先行馬が5頭と出走馬全14頭に対してまずまず多い。2歳戦らしいスローペースの瞬発力戦を先行した馬もいるが、2頭は1400mで先行してからの距離延長となる。序盤のコース形態と相まって引き締まった展開になるだろう。

この展開で恵まれるのはやはり高い操縦性を備え、メンバー最上位の末脚を出せる「総合力が高い馬」だ。また、この引き締まった展開では中団以前につける追走力も必要だ。最後方から直線だけで一気に逆転するのは至難の業で、相当な地力の高さがなければできない。

<朝日杯FS 4角13番手以下の馬の成績>
【1-2-1-33/37】
勝率2.7%、連対率8.1%、複勝率10.8%、
単勝回収率15%、複勝回収率87%
※阪神開催の直近10回

4角13番手以下だった37頭中、馬券圏内に好走した馬はたった4頭のみ。メンバー上位の上がりを使うも届かず負けてしまった馬の中に、ジオグリフ、ダノンスマッシュといったのちのGⅠ馬もいる。この点から、一定程度の追走力も重視して印を打っていく。

馬群を割った経験と持続した末脚を高く評価

◎カヴァレリッツォ
新馬戦はミドルペースを8番手で追走。直線に向くと内から馬群を縫うように割り、中京の急坂をものともせずラスト2F11.5-11.1の加速ラップで勝利。高速馬場であったことを差し引いても優秀なラップだ。2着以下を大きく離す快勝で、次走以降にかなり期待できる走りだった。

前走のデイリー杯2歳Sは好スタートを決めるもすぐに引いて抑える素質馬らしい競馬。一時最後方まで下がったが、内から進出していき3番手での追走となった。鞍上が前に馬を置く教育騎乗を徹底したこともあり、道中は行きたがる様子を見せスムーズさを欠く場面も見られた。

しかし直線に向くと早め先頭で抜け出し、上がり2位の脚を使いタイム差なし2着。最後にアドマイヤクワッズにかわされたものの、道中のスムーズさを比較すれば十分に逆転可能な能力を持つと判断できる。勝ち時計1:33.1は2歳コースレコードかつラスト2Fも11.2-11.2とかなり優秀だ。

今回想定される引き締まった展開であれば、前走で見せた折り合いの難しさも緩和されてスムーズに追走できる。前に馬を置いて我慢強く追走できた経験と、新馬戦で馬群を内から割って急坂でも伸び続けた経験は大きい。

鞍上もC.デムーロ騎手の継続騎乗と心強く、現時点での「総合力」では最上位の一頭と評価する。スムーズなら前走以上の末脚を引き出せるのは新馬戦で証明済み。巻き返しに期待して本命を打つ。

◯アドマイヤクワッズ
新馬戦はスローペースを9番手で追走。4角2、1番手の馬が2、3着に残る前残りの展開、ラスト3F11.5-11.3-11.2の加速ラップを差し切って勝利した。上がりは当然最速で、同2位の馬より0.6秒速い。着差以上に評価できる内容だった。

デイリー杯2歳Sはカヴァレリッツォとは対照的にスムーズな競馬で勝利。前述の通り優秀な時計、ラップでの勝利で、こちらも今回のメンバーで最上位の能力を持つ。

京都芝1600m外回りにおいて「勝ち時計1:33.1以内」かつ「ラスト1F11.2秒」以内で勝利したのは他にGⅠ馬ナミュール、ダノンプレミアム、モーリスらだが、いずれも4歳以上で記録したもの。このレベルの時計、ラップを2歳でマークしたアドマイヤクワッズ、タイム差なしのカヴァレリッツォはどちらも間違いなくGⅠ級のポテンシャルを持っている。この2頭の地力が今回のメンバーでは抜けているとみる。

▲エコロアルバ
こちらもキャリア2戦で能力の底を全く見せていない。新馬戦はミドルペースを9番手で追走。スムーズな追い出しから上がり最速の脚を使い、ラスト2F11.3-11.1の加速ラップを差し切った。

芝1400mの2歳新馬戦において「勝ち時計1:21.5以内」かつ「ラスト1F11.3秒以内」で勝利した馬は現2歳を除くとモーリスのみ。これを加速ラップで記録した内容は芝1400mの2歳新馬史上最高レベルと評価できる。

前走のサウジアラビアRCは出遅れた後に挟まれる形で最後方から追走。スローペースのなか道中位置を上げることもなく、ラスト3F11.5-11.3-11.2の加速ラップを直線だけで全て差し切って勝利。上がり最速で同2位の馬より0.6秒も速い末脚を使った。1頭だけ格が違う走りだった。

上がり2位で3着のゾロアストロが次走で時計、ラップともに優秀な東スポ杯2歳S2着。7着アスクエジンバラも京都2歳S2着とメンバーレベルも高く評価できる。スムーズな追い出しから持ち前の末脚を生かせれば順当に好走可能とみる。

買い目は◎単勝1点、◎-◯▲馬連2点、◎-◯-▲3連複1点で勝負する。

▽朝日杯FS予想▽
◎カヴァレリッツォ
◯アドマイヤクワッズ
▲エコロアルバ

◎2024年勝負買い目個人成績(東海S〜ホープフルS:25記事)
・単勝27点→4830円 回収率178.9% 的中率37.5%(的中9R/推奨24R)
・馬連105点→12480円 回収率118.9% 的中率42.9%(的中9R/推奨21R)
・3連複204点→22410円 回収率109.9% 的中率17.4%(的中4R/推奨23R)

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で30周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。

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