【朝日杯FS】理想的ローテで挑むアドマイヤクワッズ、エコロアルバら中心 “人気の盲点”格下条件のマイル組に注意

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理想はキャリア2戦
2歳牡馬戦線は中距離志向とわかれるため、例年、朝日杯FSはマイラー色が濃くなってきた。一方でドウデュースが勝ったレースでもあり、2歳終わりにマイルで総合力をみせられれば、クラシック路線の中距離でも有望だ。
マイルは競馬の基礎。一定のスピードに乗って流れに乗り、さらに速い決め脚を繰り出さないと上位進出はない。現代に欠かせないスピード、瞬発力、持続力が混ざり合ったのがマイル戦だ。
どの組み合わせを備えているかによって、翌年の展望がみえてくる。明らかに流れに乗れずとも、最後に末脚で逆転できれば、中距離に進ませたい。この先の陣営の判断に対するかっこうの材料を提供するのも朝日杯FSだ。
ここからは2024年京都開催を含めた過去10年分のデータを使用し、今年の朝日杯FSを展望する。

人気別成績では1番人気【4-2-2-2】勝率40.0%、複勝率80.0%、2番人気【2-4-1-3】勝率20.0%、複勝率70.0%と上位人気はそれなりに手堅い一方で、5~7番人気各1勝と穴馬の好走もあり得る。まだまだ序列が定まり切っていない2歳戦線では、馬券を購入する側が考えるより、上下の力差がない場合もある。
10番人気以下も【0-0-3-69】複勝率4.2%と3着に大穴が滑り込むケースも考えられる。人気の盲点が存在するのも2歳戦。各馬、丁寧に戦歴を確認しよう。

キャリア別では1戦【1-0-3-3】勝率14.3%、複勝率57.1%や、理想的なキャリアである2戦【6-5-3-37】勝率11.8%、複勝率27.5%の勝率が目立つ。新馬を勝ち、特別もしくは重賞を経由してここへ。最短距離での到達はそれだけで素質の証でもある。
残るは3戦【2-5-1-43】勝率3.9%、複勝率15.7%、4戦【1-0-3-27】勝率3.2%、複勝率12.9%と推移していき、浅いキャリアが好走の目安といえる。
重賞連対が条件
今年の登録馬は18頭。牝馬と比べると、路線がホープフルSと分岐するせいか、登録馬は殺到しない。今年は抽選なし。回避馬がでれば、即フルゲートを割る。

前走クラスをみていく、大きな偏りがみられない。特徴的なのは前走GⅢ【3-3-1-20】勝率11.1%、複勝率25.9%に対し、東西前哨戦のGⅡが【2-5-4-43】勝率3.7%、複勝率20.4%と揮わない点だ。格が高い前哨戦はレース間隔が詰まるからだろうか。サウジアラビアRC【3-2-1-8】勝率21.4%、複勝率42.9%など、少し手前で行われるGⅢがむしろいい。
今年の主役候補アドマイヤクワッズの前走デイリー杯2歳Sは【2-3-2-17】勝率8.3%、複勝率29.2%と出走馬が多く、絞りにくさを感じる。

前哨戦凡走馬も多く含まれるので、重賞全体の着順内訳をみる。前走重賞勝ちは【5-5-3-15】勝率17.9%、複勝率46.4%。2着【0-2-1-16】複勝率15.8%で、これ以下は一気に好走率が下がってくる。重賞連対が基準なら、アドマイヤクワッズ、カヴァレリッツォ、エコロアルバ、ダイヤモンドノット、リアライズシリウスが残る。
デイリー杯2歳Sは前後半800m46.5-46.6、サウジアラビアRCは同47.6-46.2だった。マイラー資質ならデイリー杯2歳S組だろう。サウジアラビアRCを勝ったエコロアルバは中距離への適性も感じる。総合力勝負で好走できるか注目だ。
ダイヤモンドノットが勝った京王杯2歳Sは前半600m35.2と1400m戦としては速くなかった。折り合いに不安がなければ、距離延長も対応可能だろう。

前走新馬、未勝利、ないし1勝クラスだった昇級組は距離で傾向を確かめる。同距離は【2-0-2-20】勝率8.3%、複勝率16.7%で、距離延長【1-0-2-22】勝率4.0%、複勝率12.0%より買えそうだ。距離短縮は【1-1-0-5】勝率14.3%、複勝率28.6%と良いが、今年は該当馬がないので、マイル組に注目したい。
前走ベコニア賞2着のコルテオソレイユはキャリア5戦が減点だが、父ウインブライトが熱い。その父ステイゴールド譲りの意外性の血に魅かれる。晩成血統だが、その決めつけをあざ笑うような血統だ。

《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『名馬コレクション 伝説のグランプリホース』(ガイドワークス)に寄稿。
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