【朝日杯FS】スピードと早熟性に長けたデインヒル内包馬に注目 リアライズシリウスを高評価

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傾向解説
中山芝2000mのホープフルステークスがGⅠに格上げされてから、短距離~マイル路線の2歳チャンピオン決定戦という位置付けにシフトした朝日杯フューチュリティステークス。短距離馬も多く参戦するためハイペース戦になる傾向が強く、完成度の高さとハイペース適性が求められる一戦です。本記事では2歳戦に強い血統を中心に、朝日杯FSのレース傾向を整理していきます。
まず、紹介したいデータは「前走距離別成績」。阪神ジュベナイルフィリーズや桜花賞でも同様の傾向にありますが、朝日杯FSにおいても1600m以上からのローテーションが好成績となっています。日本競馬は芝1600~2500mを中心に番組が構成されており、2歳戦においても1500m以下のレースレベルは総じて低い傾向にあります。

<前走距離別成績>
1500m以下【1-2-4-61/68】
勝率1.5%/連対率4.4%/複勝率10.3%/単回収率25%/複回収率74%
1600m以上【9-8-6-71/94】
勝率9.6%/連対率18.1%/複勝率24.5%/単回収率55%/複回収率55%
※過去10年
ところが、朝日杯FSで注目すべきは前走上がり3F1位だった距離延長組。これに該当する馬は芝1500m以下でのハイペース経験に加え、距離延長のための余力が大きい可能性が高いため、特に期待値という点では最も高いパフォーマンスを期待できるのではないでしょうか。

<前走1500m以下かつ上がり3F1位>
該当馬【1-2-3-17/23】
勝率4.3%/連対率13.0%/複勝率26.1%/単回収率76%/複回収率186%
※過去10年
血統面での注目は、オーストラリアで一大父系を築き上げたデインヒル。オーストラリア競馬は2歳戦と短距離戦が充実しており、そのカテゴリーを牽引してきたのがデインヒル父系です。同父系が伝えるスピードと早熟性は日本の2歳戦においても非常に強力で、朝日杯FSでも過去10年で4頭の勝ち馬を出しています。

<デインヒル内包馬>
該当馬【4-1-1-16/22】
勝率18.2%/連対率22.7%/複勝率27.3%/単回収率163%/複回収率58%
※過去10年
【注目血統馬】
☆リアライズシリウス
母母ダンスーズデトワールはHighest Honor×ダンシングブレーヴのフランス産馬で、2001年マルセルブサック賞では2着。母レッドミラベルの3/4同血の兄には2012年アルゼンチン共和国杯優勝馬ルルーシュがおり、ステイゴールド産駒の母は牝系のフランス血脈を継続した形です。
ポエティックフレア産駒の本馬は欧州のスピード血脈を注入し、特に2歳戦に強いデインヒルの血を持つ点は魅力大。父の産駒らしく大柄な馬格も有しており、レベルの高い新潟2歳ステークス(新潟芝1600m)を圧勝した点も高評価です。
☆アドマイヤクワッズ
3代母Prairie Runnerは芝2500mの仏GⅢ勝ち馬、母母パシフィックリムは芝2400mの仏GⅡ勝ち馬というスタミナ豊富な牝系。そこに母デイトラインがHaloの4×5、リアルスティール産駒の本馬がHaloの4×5・6と日本向きの素軽さを補強した配合形で、芝のマイルから中距離が主戦場となりそうです。
また、母父がアイルランドの2歳GⅠ馬であるデインヒル系Zoffanyで、2歳時から高いパフォーマンスを期待できる血統でもあるでしょう。2018年アドマイヤマーズ、2021年ドウデュース、2024年アドマイヤズームと過去7年で3頭の優勝馬を出す友道康夫厩舎という点も魅力大です。

《ライタープロフィール》
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。2023年11月には本島修司氏との共同執筆で『競馬の最高戦略書予想生産性を上げる人の取捨選択の技術』(主婦の友社)を出版。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。
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