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【ターコイズS】ビップデイジーに不安あり 前走大敗勢からドロップオブライトらが浮上

2025/12/14 18:00
勝木淳
重賞昇格後8回のデータから見るターコイズS,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

引退レースの季節

12月に行われる古馬重賞は、裏テーマに“引退”の二文字がある。有馬記念、阪神カップといった格の高いレースは、それぞれのカテゴリーで活躍した馬の最後のレースに選ばれる。

このターコイズステークスも、牝馬の引退レースになるケースがある。特に一口馬主クラブのなかには牝馬の引退時期を定めているクラブがあり、年内に引退して翌年繁殖にあがる5歳馬が最後のレースに挑む。

ここからの2週間は翌年を展望する若馬がいれば、別れの季節でもある。節目は着実にやってくる。競馬において、これ以上ない幸せはきちんと別れの挨拶を交わせることだ。一年の終わりに予期せぬ最期を迎えたサラブレッドを振り返ることも心がけたい。データは重賞に昇格した2017年以降の8年分を使用する。


人気別成績,ⒸSPAIA


そんなセンチメンタルな重賞だが、設定は至極難解。「中山芝1600m」「牝馬限定」「ハンデ戦」と波乱の気配を感じる。

だが、1番人気こそ【2-0-1-5】勝率25.0%、複勝率37.5%と人気のわりに頼りないものの、勝ち馬はすべて5番人気以内。ハンデ重賞あるあるのひとつで、波乱のイメージが先行する重賞ほど、実はそれなりに人気がアテになる。終わってみれば勝ち馬は上位人気。そんな結末が目立つ。

一方で、抜けた人気馬がいる年は少なく、ほぼ混戦模様。オッズが分散して“そこそこおいしい単勝”にありつけるのも特徴だ。

波乱狙いなら複穴。特に10番人気以下【0-1-3-52】複勝率7.1%と2、3着で穴を狙うなら思い切って振り回すべきだろう。中穴はさほど目立つ成績をあげておらず、上位人気の組み合わせに下位人気を潜ませる。そんな組み立てがいい。


年齢別成績,ⒸSPAIA


年齢の傾向はほぼない。3歳【3-2-1-25】勝率9.7%、複勝率19.4%や4歳【3-5-5-37】勝率6.0%、複勝率26.0%に対し、5歳も【2-1-1-33】勝率5.4%、複勝率10.8%と極端に落ちてはいない。

さすがに6歳は【0-0-1-9】複勝率10.0%と苦戦を強いられているが、3世代の差はさほどない。特に4歳の複勝回収率は103%と高く、複穴は4歳だ。


前走重賞は二桁着順に注目

秋華賞6着ビップデイジーは牝馬三冠皆勤で桜花賞11着、オークス13着、秋華賞6着。春は折り合い難に苦しんだが、元値は阪神ジュベナイルフィリーズ2着の実績をもつ。マイル戦に戻り、折り合いスムーズなら反転があっていい。


前走クラス別成績,ⒸSPAIA


前走GⅠ【2-0-2-19】勝率8.7%、複勝率17.4%のうち前走秋華賞は【1-0-1-9】勝率9.1%、複勝率18.2%と実はそれほど好走馬を送っていない。マイルへの距離短縮が魅力という文脈は強調材料にされがちだが、データ上はそこまでではない。ビップデイジーも危険な人気馬になる可能性がある。


前走重賞・着順別成績,ⒸSPAIA


前走重賞【5-2-6-52】勝率7.7%、複勝率20.0%はその着順に注目する。3着以内も【0-1-2-2】なので買い材料だが、4着【2-0-1-5】勝率25.0%、複勝率37.5%や10着以下【3-1-2-23】勝率10.3%、複勝率20.7%と敗退組の巻き返しも目立つ。

今年の前走重賞二桁着順はカピリナ、ソーダズリング、ドロップオブライトなどが候補。1200、1400mに良績を残す馬たちばかりだが、ドロップオブライトは2走前の京成杯オータムハンデ2着が光る。一気に距離を延ばした選択が吉と出たが、今回も同じパターン。積極策で粘り込む可能性はある。


前走OP/L・着順別成績,ⒸSPAIA


前走OP/Lは【2-2-1-32】勝率5.4%、複勝率13.5%と凡走が多いが、10着以下【0-0-0-19】を除くと評価は変わってくる。3着以内【2-2-0-6】と好走組に軸足を置き、絞っていくと好走馬を炙り出せそうだ。

今回、引退レースを迎えるシングザットソングは前走・まほろばステークス4着。あと一歩足りない結果だが、着差は0.2しかない。思えば昨年のターコイズS(9着)も着差は0.4だ。ハイペースの愛知杯で2着に入っており、混戦特有の厳しい流れになれば、昨年以上の結果を残す余地はある。


重賞昇格後8回のデータから見るターコイズS,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『名馬コレクション 伝説のグランプリホース』(ガイドワークス)に寄稿。

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