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【阪神JF】高い追走力と強烈な決め手はGⅠ級のポテンシャル 京大競馬研の本命はマーゴットラヴミー

2025/12/14 06:00
京都大学競馬研究会
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ⒸSPAIA

重賞勝ち馬不在の2歳女王決定戦

12月14日(日)に阪神JF(GⅠ)が行われる。今年はアルテミスSを勝利したフィロステファニとファンタジーSを勝利したフェスティバルヒルが故障により出走を断念。「阪神3歳牝馬S」だった時代以来、28年ぶりに重賞勝ち馬が不在だ。それでも主役不在とは言わせない期待の素質馬18頭が集結。暮れの2歳女王決定戦にふさわしい好メンバーとなった。

以下では、本レースが行われる阪神芝1600mのコース形態とそれに起因するレースの質、そして想定される展開を踏まえ予想する。

現時点での総合力が試される舞台

まずは阪神芝1600mのコース形態をみる。向正面左寄りからスタートし、初角までの距離は約440m。外回りコースを使用し、ゆったりとした3~4コーナーを回った後、勾配1.8mの急坂がある473.6m(Aコース使用時)の最終直線を駆け抜ける。これが今回のコースレイアウトだ。

まず注目すべきは初角までの距離が約440mとそこそこ長い点だ。序盤の先手争いは長く続き、序盤のペースは平均からやや速めで流れやすい。コーナーに入った中盤でペースは緩み、4コーナーからの緩やかな下り坂で徐々に加速していく。

変動するペースに対応しながら脚を溜める操縦性と、最後に急坂をものともせずメンバー最上位の末脚を引き出す能力が必要とされる。地力がない馬には非常に厳しく、中長距離に似た「総合力」が問われる。これが今回のレースの質だ。

メンバー最上位の末脚が必須条件

阪神JFの上がり3F順位別成績,ⒸSPAIA


<阪神JF 上がり順位別成績>
上がり4位以内
【8-9-8-22/47】
勝率17.0%、連対率36.2%、複勝率53.2%、
単勝回収率94%、複勝回収率144%
※阪神開催の直近10回

この傾向は数字にも表れている。阪神JFにおける上がり3F4位以内馬の成績は上記に示した通り優秀だ。勝ち馬10頭中8頭、連対馬20頭中17頭、馬券に絡んだ30頭中25頭を該当馬が占めている。脚質に依らずメンバー最上位の末脚を使うことが好走の必須条件だ。この点も踏まえて展開予想をしていく。

先行馬と距離延長馬が揃って引き締まった展開に

続いて今回想定される展開から恵まれる馬を考える。メンバー構成は前走通過順位に3番手以内のある先行馬が8頭と出走馬全18頭に対して多い。その多くが2歳戦らしいスローペースの瞬発力戦で先行してきた馬とはいえ、距離延長馬も少なくない。これだけ先行馬が揃えば、序盤のペースが上がりやすいコース形態と相まって引き締まった展開になる。

この展開で恵まれるのはやはり高い操縦性を備え、メンバー最上位の末脚を出せる「総合力が高い馬」だ。また、この引き締まった展開では中団以前につける追走力も必要となる。最後方から直線だけで一気に逆転するのは至難の業で、相当な地力の高さがなければできない。

<阪神JF 4角13番手以下の成績>
【1-2-1-49/53】
勝率1.9%、連対率5.7%、複勝率7.5%、
単勝回収率4%、複勝回収率15%
※阪神開催の直近10回

4角13番手以下だった53頭中、馬券圏内に好走した馬はリスグラシュー、クロノジェネシス(ともにGⅠ・4勝)、オークス馬ユーバーレーベン、阪神JF優勝後にGⅡ・4勝ダノンファンタジーのたった4頭のみ。高いポテンシャルがあって初めて好走できるレベルの難易度だ。この点で一定程度の追走力も重視して印を打っていく。

キャリア2戦どちらも高く評価

◎マーゴットラヴミー
キャリア2戦2勝の素質馬。前走の白菊賞は好スタートから先頭へ。積極的に逃げたというより基礎スピードの違いでハナに立った。1000m通過59.0秒と比較的流れたペースの中、ラスト5F11.9-11.8-11.8-11.3-11.5の優秀なラップで上がり最速の脚を使い快勝した。

京都芝1600mの2歳戦において「勝ち時計1:33.6以内」かつ「上がり最速34.6秒以内」で勝利した馬は本馬以外にラヴズオンリーユーらGⅠ馬4頭、GⅢ馬1頭、現2歳のデイリー杯勝ち馬アドマイヤクワッズの6頭のみ。GⅠ級のポテンシャルを示した一戦だった。

2走前の新馬戦は二の脚が速く番手から。スムーズな追い出しからラスト3F11.4-11.1-11.2のラップで上がり最速、最後は流す余裕もありながらレコードという完勝だった。京都芝1400mの2歳新馬戦において「上がり最速33.8秒以内」で勝利したのは本馬のほかにGⅠ・6勝モーリスと、朝日杯FS3着、チャーチルダウンズC勝ちの現役馬ランスオブカオスのみ。特にモーリスの新馬戦と比較しても遜色ない内容で、ここでもGⅠ級のポテンシャルを示していた。

キャリア2戦とも上がり最速の脚を使って後続を引き離す内容で、能力の底を全く見せていない。今回のメンバーでも最上位のポテンシャルを持つ。高いスタートセンスと追走力、そして強烈な決め手を持ち、総合力では一枚抜けている。

武豊騎手への乗り替わりも心強く、想定される引き締まった展開でも中団から前で運べる。状態面も問題ない。近2走同様、スムーズな追い出しからメンバー最上位の末脚を発揮できれば勝ち負け必至とみて本命を打つ。

◯ギャラボーグ
前走の未勝利戦は好スタートから2番手で追走。スローペースでもかかることなく、ラスト3F11.3-10.8-11.0の優秀なラップで勝利した。阪神芝1800mの2歳戦において「勝ち時計1:51.1以内」かつ「上がり3F33.0秒以内」で勝利した牝馬は本馬が史上初。牡馬ではダービー馬ワグネリアン、GⅢ馬、現2歳ブレットパスを含む5頭のみ。間違いなく高いポテンシャルを持つ。

血統面からも1600mはベストで距離短縮も向く。末脚の切れ味は確かで、自然と差しに回る形でポテンシャルを最大限発揮できれば勝ち負け可能。高いオッズ妙味も見込まれる。

▲アランカール
メンバー最上位の末脚を持つ一頭。前走の野路菊Sは出遅れ気味で最後方からの競馬。ただ追走力は十分で4角5番手まで位置を上げ、ラスト4F11.7-11.2-11.2-11.5の優秀なラップを差し切って快勝した。上がりはメンバー中最速で、同2位の馬より1.2秒も速かった。

阪神芝1600mの2歳戦において「勝ち時計1:33.9以内」かつ「上がり3F33.9秒以内」で勝利したのは他にアドマイヤマーズ、アスコリピチェーノを含むGⅠ馬4頭、GⅡ馬1頭、現2歳グランドオーパスの6頭のみ。ポテンシャルはGⅠ級だ。

懸念点はやはり壊滅的なスタート。二の脚以降の追走力はあるものの、近2走の内容を見るに最後方からの競馬が予想される。ただ、展開予想の章で4角13番手以下の馬の好走例を示したように、真にGⅠ級のポテンシャルがあれば最後方からでも好走可能なのがこのレース。それがこの馬にはあると信じて3番手評価とする。

△タイセイボーグ
新潟2歳S、アルテミスSという出世レースでメンバー上位の末脚を使い馬券圏内。メンバーレベルも十分に高く、特に外差し馬場で伸びない内から上がり最速の脚を使った前走の内容は高く評価できる。ここでも能力は上位。最大の武器はやはり直線での切れ味。スムーズに追い出せればここも大きく崩れることはない。

×ミツカネベネラ
前走のアルテミスSは好位追走から上がり3F3位の脚を使い0.3秒差2着。スタートセンス、追走力ともに安定しており、ここも中団前目から運べる。前走の内容だけ走れば。

買い目は◎単勝1点、◎-◯▲△馬連3点、◎-◯▲-◯▲△×3連複5点で勝負する。

▽阪神JF予想▽
◎マーゴットラヴミー
◯ギャラボーグ
▲アランカール
△タイセイボーグ
×ミツカネベネラ

◎2024年勝負買い目個人成績(東海S~ホープフルS:25記事)
・単勝27点→4830円 回収率178.9% 的中率37.5%(的中9R/推奨24R)
・馬連105点→12480円 回収率118.9% 的中率42.9%(的中9R/推奨21R)
・3連複204点→22410円 回収率109.9% 的中率17.4%(的中4R/推奨23R)

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で30周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。

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