【阪神JF】近10年10勝“キャリア2、3戦組”が中心 前走好内容の超良血アランカールを推奨

ⒸSPAIA
3つのファクターから推奨馬を見つけ出す
今回は12月14日(日)阪神競馬場で行われる阪神ジュベナイルフィリーズについて下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。
・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走内容」
・適性と素質を知るための「血統評価」
特別登録のあった26頭を検討対象とし、過去10年のデータを使用する。
重要データ:重要なのはキャリア

阪神JFは阪神芝1600mで行われる2歳牝馬の頂点を決めるレースだ。近年はホープフルSがGⅠに昇格したことで、レガレイラのように中距離への適性を感じる馬は参戦しないこともある。しかし、基本的に3歳春の桜花賞までは、阪神芝1600mが世代最強牝馬を決める舞台となる。
今回、取りあげるデータはキャリア別成績。1戦の馬は【0-1-0-10】とほとんど馬券には絡んでいない。注目したいのは2、3戦の組だ。2戦の馬は【6-4-3-40】で複勝率24.5%、3戦の馬は【4-4-6-51】で複勝率21.5%と高い数字になっている。
4戦になると【0-1-1-29】でほとんど馬券には絡めておらず、5戦以上では【0-0-0-18】とすべて4着以下に敗れている。前走ファンタジーS2着と好走したショウナンカリスは既に5戦を消化しているため、ここでは割引となる。
【キャリア2、3戦の登録馬】
・アランカール
・アルバンヌ
・アンヘリータス
・イヌボウノウタゴエ
・ギャラボーグ
・スウィートハピネス
・スターアニス
・ヒズマスターピース
・フロムレイブン
・マルガ
・マーゴットラヴミー
・ミツカネベネラ
・メイプルハッピー
・ラスティングスノー
前走内容:アランカールの野路菊S
アランカールの前走は野路菊S1着。この日の阪神競馬場は馬場状態が良好で時計もそれなりに出ていた。
レースは前半4Fが47.9秒、後半4Fが45.6秒で後傾2.3秒の超スローペース。アランカールは1馬身ほど出遅れ、無理をせず自分のリズムで走った結果、馬群に置かれて道中は4馬身ほど離れた最後方を追走していた。
ラスト800mあたりから徐々に進出を開始し、追い出されると前を行く馬を次々と抜き去る。ムチが一発入ってからは一頭だけ次元の違う脚色で、2着に3馬身半差をつけて快勝した。
上がり勝負となっただけに着差はつきにくいレースだったなかで、突き抜けたのはレベルが違うからだろう。新馬戦で1800mを使われていたため追走に手間取っていたが、1600mへの慣れも見込める今回は更なる上積みがありそうだ。
血統解説:アランカール

・アランカール
日本での牝祖は祖母のシンハリーズ。同馬はイギリス産馬だが現役時代はアメリカで過ごし、デルマーオークス(GⅠ・芝9F)を制した。シーザリオが勝利した2005年のアメリカンオークス(GⅠ・芝10F)でも3着に入った実績を持つ。
本馬の母シンハライトも短い現役期間ながら、6戦5勝の戦績でオークスを制した。オークスの勝ち方から瞬発力が一番の武器と思われがちだが、欧州で繋がってきたファミリーだけに、本来の持ち味はスタミナと末脚の持続力だ。
上記特徴はアランカールにも受け継がれており、前走のレース後半でも生きていた。また、父エピファネイアも持続性能の高さと芝でのスピードを産駒に伝える種牡馬であることから、直線の長い外回りコースでこそ力を発揮できるタイプだろう。
本来はもう少し距離があった方が良さそうだが、前走の内容からはマイルにも十分対応できる。ここを勝てば、牝馬3冠まで狙える逸材だ。
Cアナライズではアランカールを推奨
今回のCアナライズではアランカールを推奨する。配合的にはもう少し距離があった方が良さそうだが、牝系の活力がそれを十分に補っている。さらに、オープン特別とはいえ阪神芝マイルを全く問題にせず、牡馬相手に勝ち切った前走内容は特筆すべきものがある。
本馬と同じく上位人気が予想されるマーゴットラヴミーの前走パフォーマンスも素晴らしかったが、それでも前走の比較ではアランカールに軍配が上がる。加えて、マーゴットラヴミーはマークを受けやすい先行型である一方、アランカールは後ろから運べる分、競馬がしやすい点も評価したい。
《ライタープロフィール》
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。
《関連記事》
・【阪神JF】過去10年のレースデータ
・【阪神JF】「アルテミスS連対組」は近10年5勝 “混戦向き”ミツカネベネラに好機到来
・【阪神JF】ウオッカが強烈な末脚でアストンマーチャンを強襲 後のGⅠ馬4頭が激突の2006年をプレイバック
