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【チャンピオンズC】前走凡走は度外視、帝王賞の走りを高評価 京大競馬研の本命はアウトレンジ

2025/12/07 06:00
京都大学競馬研究会
チャンピオンズC4角6番手以内馬の成績,インフォグラフィック,🄫SPAIA

ⒸSPAIA

ダートの新星と歴戦の古馬が激突

12月7日(日)にチャンピオンズC(GⅠ)が行われる。昨年はレモンポップがハナ差の接戦を制し史上2頭目の連覇を達成、有終の美を飾った。今年は3歳世代からJDCを快勝したナルカミ、フェブラリーS勝ち馬を0.6秒離して武蔵野Sを圧勝したルクソールカフェが参戦。ウィルソンテソーロをはじめとする歴戦の古馬が迎え撃つ。暮れのダート王決定戦にふさわしい好メンバーが集結した。

以下では、本レースが行われる中京ダート1800mのコース形態とそれに起因するレースの質、そして想定される展開を踏まえ予想する。

内ラチ沿いが好走の鉄則

まずは中京ダート1800mのコース形態をみる。ホームストレッチ左寄りの地点からスタートし、初角までの距離は約290m。1コーナーは平坦、2コーナーからバックストレッチ半ばまで緩やかな上り坂、そこから3〜4コーナーにかけて全て下り坂。また3〜4コーナーはスパイラルカーブとなっている。

最終直線は410.7mで、ゴール手前380m地点から220m地点にかけて高低差1.8mの急な上り坂。ラスト220mは平坦だ。コーナー4回、坂3回という非常にタフなコースレイアウトだ。

まず注目すべきは初角までの距離が約290mとかなり短いこと。序盤の先手争いは長引きにくく、ペースは上がりにくい。また、ポジション争いでは内枠の馬が有利だ。平坦な1コーナー、緩やかな上り坂となる向正面半ばまでペースは上がりにくい。

ペースアップするのはその後の下り坂から。序盤、中盤で脚を溜めた先行勢が一気に加速する。最終直線に入るまでに後方勢が先行勢とのポジション差を埋めにくい。加えて3、4コーナーは下り坂かつ急カーブとなっているため、このポジション差を無理に外からマクって埋めに行くと、とんでもなく大きなロスが生まれる。

スパイラルカーブにより、スピードに乗ったまま先行勢が直線に進出すると、馬群が一気に広がる。この先行勢のさらに外を回す後方勢はかなり厳しい競馬を強いられる。3、4コーナーで無理に外から位置を上げようとした後方勢はなおさら厳しく、その時点でほぼノーチャンスだ。

直線も半ばで急な上り坂があり、それを登り切った後も200m以上続くタフなコース形態であるため、全馬終盤の脚色は鈍り、上がりに差が生まれにくい。

したがって序盤、中盤で積極的に前に位置を取り、なるべく内ラチ沿いを通すことができる器用な馬が恵まれやすいというのが、このコースが持つレースの質だ。

内枠で先行した馬が好走

チャンピオンズCの4角通過順別成績,ⒸSPAIA


<チャンピオンズC 4角通過順別成績>
6番手以内
【7-4-8-46/65】
勝率10.8%、連対率16.9%、複勝率29.2%、
単勝回収率146%、複勝回収率133%
※過去10年

この傾向は数字にも表れている。チャンピオンズCにおける4角6番手以内馬の成績は上記に示した通り優秀だ。馬券内となった30頭中19頭を占めている。なかでも内ラチ沿いを通しやすい1〜4枠の馬だけに絞ると【5-1-5-21/32】勝率15.6%、連対率18.8%、複勝率34.4%、単勝回収率244%、複勝回収率142%とさらに数字は上昇する。

一点補足すべきは、本レースは国内ダート最上級条件であるということ。ダートは基本的に先行有利のため、クラスが上がるほど先行して結果を出してきた実力馬が揃う。そのため、このコースが先行有利といっても、上級条件に限れば圧倒的に有利なわけではない。むしろ差す競馬で結果を出し、ここに出走してくる馬の方が高い地力を持っている。

最も重要なのは脚質以上に内ラチ沿いを通せるかということ。道中内目で脚を溜めた差し馬にもペース次第で十分チャンスがある。これが過去10年で4角7番手以下から馬券内に入った馬の好走パターンだ。

今回のメンバーでいかに先行馬が揃い、差し馬が好走してくるか、次の展開予想で考察する。

内外から先手主張で締まったペースに

続いて今回想定される展開から恵まれる馬を考える。メンバー構成は前走通過順位に3番手以内のある先行馬が7頭と出走馬全16頭に対して多い。ほかにもそれなりにテンの速い馬が揃っており、このコース形態とはいえ緩いペースは考えにくい。外枠に入ったナルカミが先手を主張し、内からもダブルハートボンドが主張する展開になれば引き締まったペースになるだろう。

この展開でも恵まれるのやはり序盤〜中盤で内ラチ沿いを通すことができる器用な馬だ。前で残せるかどうかは個々の地力次第といった感じで、大きく展開有利にはみえない。むしろ展開的には中団インで脚を溜めた馬のイン差しが最も恵まれそうな印象だ。

後方勢は中団につけるだけの追走力は好走の大前提として、砂被りをものともしないタフさや、近走で馬群を割った経験があればプラス要素だ。以上を踏まえて印を打っていく。

帝王賞で実力証明、前走からの巻き返し期待

◎アウトレンジ
前走のみやこSは不良馬場で前半1000m59.3秒の超ハイペースを8番手追走。圧倒的に内有利かつ前が残る高速馬場で馬群の大外を回し続ける厳しい競馬だった。追走ペースが速くなりすぎたことで持ち前の末脚も発揮できずに1.8秒差7着。帝王賞の内容を考えれば、明らかに能力を出し切っての敗戦とはいえず度外視可能だ。

注目はやはり2走前の帝王賞。好スタートから4番手で追走し、4角3番手以内の馬が1、3、5着に残る前残りの展開に対し、やや離れた4番手から猛烈な追い込みでタイム差なし2着と迫った。最後は差し切る勢いで、勝ちに等しい内容だった。勝ち馬ミッキーファイトはダート史上最高とも名高い現4歳世代でフォーエバーヤングに次ぐ実力馬であり、次走JBCクラシックを快勝した。ウィルソンテソーロを含む3着以下を大きく離してミッキーファイトに迫った点から、今回のメンバーでも上位の地力を持つと評価する。

もし今回ミッキーファイトが出走していれば1、2番人気は確実で、負かしたウィルソンテソーロは上位人気に推されそう。それに比して想定オッズではかなり高いオッズ妙味が見込まれる。

内の並びとテンの速さを考えれば中団インに潜り込めそうな枠で、砂被りも問題ない。今回は得意の叩き2走目。状態を上げて持ち前の末脚を生かせれば勝ち負け可能とみて本命を打つ。

◯ナルカミ
前走のJDCは前半1000m60.2秒のハイペースで逃げる競馬。ナチュラルライズ、ルクソールカフェという世代屈指の実力馬を全く寄せ付けず、0.6秒差の快勝だった。内容、時計ともに圧巻で世代最強の実力を証明した。2.4秒差離した3着馬ルクソールカフェが次走でフェブラリーS勝ち馬に快勝したことからも世代のレベルの高さが伺える。

枠は外になったが、ハナまで取りきりたいタイプでここは強引にでも逃げる競馬をする。そのまま内ラチ沿いを離さず能力を最大限発揮できれば順当に勝ち負け必至だ。

▲ダブルハートボンド
安定した先行力と堅実な末脚を兼ね備える一頭。みやこSでハイペースの2番手につけたテンの速さを考えれば、1枠2番の絶好枠からスムーズに先行できる。ナルカミが外から主張してきても坂井瑠星騎手であれば無理に競ることはせず、2頭共存できる騎乗をしてくれるはずだ。メンバーレベルは一気に上がるが、ダート1800mでは能力の底を見せていない。枠の恩恵と内有利なコースを最大限生かせればここも順当に好走可能とみる。

△ウィルソンテソーロ
一昨年、昨年の本レース2着馬。安定した先行力と器用さを持ち、ここも4枠8番の好枠からスムーズにインで脚を溜められる。昨年の本レース以降はフォーエバーヤングとミッキーファイトに負かされるレースが続いているが、それでも国内上位の地力を持つことは確かだ。コース適性と昨年レモンポップに迫った走りを信じて4番手評価。

×サンライズジパング
フォーエバーヤング、ミッキーファイトに次ぐ4歳屈指の実力馬。持続する末脚が最大の武器。近2走の敗戦で人気が一気に急落する今回、相手に押さえておきたい。

×ハギノアレグリアス
昨年の本レース4着馬。復活するなら条件が揃ったここ。砂被りを全くものともしないため、インで脚を溜めて馬群を割って抜け出せれば。

買い目は◎単勝1点、◎-◯▲△馬連3点、◎-◯▲-◯▲△×3連複7点で勝負する。

▽チャンピオンズC予想▽
◎アウトレンジ
◯ナルカミ
▲ダブルハートボンド
△ウィルソンテソーロ
×サンライズジパング
×ハギノアレグリアス

◎2024年勝負買い目個人成績(東海S〜ホープフルS:25記事)
・単勝27点→4830円 回収率178.9% 的中率37.5%(的中9R/推奨24R)
・馬連105点→12480円 回収率118.9% 的中率42.9%(的中9R/推奨21R)
・3連複204点→22410円 回収率109.9% 的中率17.4%(的中4R/推奨23R)

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で30周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。

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