【チャンピオンズC】3歳馬ナルカミ、ルクソールカフェは古馬との力比較がカギ “データ不気味”みやこS組に警戒
勝木淳

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誕生から四半世紀が経過した砂上の激闘
チャンピオンズCの前身となるジャパンCダートの第1回開催は2000年。ジャパンC前日の土曜日、東京ダート2100mで幕を開けた。勝ち馬はウイングアロー、騎乗したのは岡部幸雄騎手だった。レギュラーメンバー、ロードスターリング、オリオンザサンクスがハイペースを刻み、勝ち時計の2:07.2は衝撃的だった。
だが、その数字も翌年、クロフネが2:05.9を叩き出し、その遥か上へいった。ド派手な幕開けだったジャパンCダートから早くも25年。四半世紀が経った。今年で26回目。クロフネのほかにも印象に残るレースは多い。
連覇を決めたレモンポップ、トランセンド、大ケガを克服したカネヒキリ、中山で行われた年はイーグルカフェが勝ち、2着は13番人気リージェントブラフ。馬連は6万円、馬単は12万円をこえた。父パークリージェント、兄はGⅢ時代のフェブラリーハンデキャップを勝ったラシアンゴールドがいる血統だった。懐かしい。
今年はいったい、どの馬が砂上の歴史にその名を刻むのだろうか。ここからは過去10年分のデータを使用して、今年のチャンピオンズCを展望する。

1番人気【4-3-0-3】勝率40.0%、複勝率70.0%と頭ひとつ抜けた印象。他はほぼ横並びで、2番人気【1-1-0-8】勝率10.0%、複勝率20.0%、3番人気【1-3-2-4】勝率10.0%、複勝率60.0%、8番人気【1-1-0-8】勝率10.0%、複勝率20.0%など混戦模様だ。
馬券的難易度は高く、10番人気以下【1-1-3-61】勝率1.5%、複勝率7.6%など人気薄にもしっかり目を配らないと、3連系の的中は遠のく

今年、注目を集める3歳は【2-2-2-12】勝率11.1%、複勝率33.3%と頭数が少ないため、好走確率は高い。JDC覇者ナルカミ、武蔵野S圧勝のルクソールカフェはここを突破する力を十分持ち合わせている。
古馬勢は4歳【2-1-2-33】勝率5.3%、複勝率13.2%と比べると、5歳【3-2-3-29】勝率8.1%、複勝率21.6%、6歳【3-4-1-27】勝率8.6%、複勝率22.9%が一歩リード。ダートは経験が重要であり、猛者たちも簡単には王座を渡しはしない。
中心は多彩な交流重賞組
古馬勢では帝王賞2着アウトレンジがみやこS7着から巻き返しを狙う。そのみやこSを勝ったダブルハートボンドやJBCレディスクラシック2着テンカジョウなど、今年は牝馬も気になる存在だ。
直近10年で牝馬は【1-0-0-6】。サンビスタが勝ったのは10年前だ。ダートは芝よりもはるかに牡馬の壁が高い。乗り越える馬が現れるだろうか。ほか、小林の荒山勝徳厩舎が送るJBCクラシック3着のサントノーレも出走が叶った際は注目だ。

前走クラスでは、前走地方組が【9-7-3-42】勝率14.8%、複勝率31.1%と大半を占める。今年も登録馬の前走はJBCクラシック、マイルCS南部杯、マーキュリーC、JBCレディスクラシック、JDC、名古屋グランプリと多彩な地方交流重賞が並ぶ。

地方交流重賞の内訳をみると、マイルCS南部杯が【4-2-1-9】勝率25.0%、複勝率43.8%と高い数字を残す。ここは1着馬【3-0-0-1】。うち2勝はレモンポップで、残る1勝は3歳ルヴァンスレーヴだった。
2着シックスペンスは初ダートでいきなり結果を残したが、JRAのダートGⅠでどこまで通用するか。試金石だ。

前走JBCクラシックは【3-5-1-22】勝率9.7%、複勝率29.0%。主要路線であり、頭数も多く、絞るのは簡単ではない。目安は掲示板以内【3-5-1-17】だが、3着が【2-1-0-3】勝率33.3%、複勝率50.0%と目立つ。
3着馬には地方馬サントノーレが該当。除外対象にはなるが、出走が叶った際は荒山勝徳師、渾身の仕上げに期待したい。ほか、掲示板内の中央勢は古豪メイショウハリオ、ウィルソンテソーロが当てはまる。
JBCクラシックで注意しなければいけないのは距離。ここ10年のJBC開催は大井4回のほか、川崎、京都、浦和、金沢、盛岡、佐賀で行われ、距離は川崎、金沢が2100m、京都1900m以外は2000mだった。
今年は船橋で開催され、距離は1800m。過去はすべて距離短縮であり、今年だけが同距離。この違いがどう影響するだろうか。
JRAのダート重賞組は武蔵野S【0-2-0-23】複勝率8.0%、みやこS【0-1-5-28】複勝率17.6%と少し控えめ。だが、みやこSの3着5頭は見逃せない。4着以内は【0-1-2-16】、10着以下では【0-0-3-4】。大敗であっても関係ない。
ダブルハートボンド、ラムジェット以外に10着ペリエールも甘く見てはいけない。前走は休み明けと割り切れば買える。2走前はエルムSで勝利をあげ、今夏の北海道ダート1700mは2戦2勝。コーナー4回の競馬でもきっちり結果を残しており、以前のイメージとは違う。

《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『名馬コレクション 伝説のグランプリホース』(ガイドワークス)に寄稿。
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