【チャンピオンズC】3歳馬クリソベリルが強豪古馬ゴールドドリームらを撃破 2019年をプレイバック

緒方きしん

プレイバック2019年 チャンピオンズカップ,ⒸSPAIA

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チャンピオンホースが揃った“ダート頂上決戦”

今週はチャンピオンズカップが開催される。過去にはホッコータルマエやサンビスタ、ゴールドドリームらが制したレース。今回はそんな中から2019年の一戦をピックアップして当時のレースを振り返っていく。

2019年は様々な路線から強豪が集結。単勝オッズ10倍以下が5頭おり、6番人気は20.4倍という「5強」対決だった。

その中で1番人気に推されたのは、6歳のゴールドドリーム。2年前にチャンピオンズCを制したのち、GⅠ級競走のみを8戦して3勝2着4回3着1回という、抜群の安定感を誇っていた。実績あるレースで今回も大崩れは考えにくいと評価されていた。

2番人気は3歳馬のクリソベリル。新馬戦から無傷の5連勝中。ジャパンダートダービー(JpnⅠ)では2着に3馬身差をつける圧勝劇を見せた。

前走の日本テレビ盃(JpnⅡ)では2着ロンドンタウンに4馬身、3着ノンコノユメにさらに4馬身差をつける楽勝で、古馬との対決も難なくクリア。チャンピオンズCは3歳馬にとって鬼門とされていたものの、前年にルヴァンスレーヴが勝利し、2年連続の快挙が期待されていた。

他には同年のフェブラリーS勝ち馬インティ、同年の帝王賞(JpnⅠ)勝ち馬オメガパフューム、前走でJBCクラシック(JpnⅠ)を勝利したチュウワウィザードらが集結。鞍上もそれぞれ武豊騎手、デットーリ騎手、福永騎手と名手が並ぶ。

まさに“日本ダート界頂上決戦”にふさわしいメンバーが顔を揃えた。

内でじっと耐えた川田騎手の好判断が光る

大歓声の中ゲートが開くと、インティと武豊騎手が勢いよく先手を奪う。そのやや外からクリソベリルと川田騎手も好位を確保。さらに外枠からはテーオーエナジー、ゴールドドリームらも勢いよく前に付ける。

やや先行争いが激しくなりそうな雰囲気を見せるも、インティの先行力が光り、そのまま単独先頭に。追いかけるのは、テーオーエナジー、クリソベリル、ロンドンタウン、ゴールドドリームの順となった。

道中は縦長の展開。チュウワウィザード、オメガパフュームらも中団やや前目につける。後方では追い込みにかけるキングズガードが虎視眈々と前の様子を伺っていた。

インティが淡々と逃げる。4ハロン目からは12.1-12.1-12.0-12.0と絶妙なラップを刻み、まさに武豊といったところ。このペースでは他の先行馬は簡単には動けず、2番手集団は渋滞状況が続く。

4コーナーでは横に広がりながら、各馬がより良いポジションを奪い合う。そんな中でクリソベリルは内でじっくりと好機を待っていた。

直線に入ると馬群は一気に横に広がる。インティが二枚腰をみせ逃げ粘るなか、その真後ろからクリソベリルが追い出す。

外から勢いよく脚を伸ばすのはゴールドドリーム。クリソベリルの川田騎手はインティを交わすために外に出す。クリソベリルは外から伸びてきたゴールドドリームと併せ馬の形になり、2頭で一気にインティに襲い掛かった。

3頭が並ぶとクリソベリルが一瞬の脚で一歩前に抜け出す。内ではインティが必死の抵抗を見せるも一歩後退。ゴールドドリームはC.ルメール騎手の鞭に応え脚を伸ばすも、最後まで交わすことは出来ず、クリソベリルがゴール前の大激戦を制した。

3着はインティ、4着にはチュウワウィザード。5着は上がり最速の脚で追い込んできた8歳馬キングズガード、続く6着にはオメガパフュームという結果に終わった。

2番人気→1番人気→3番人気という平穏決着ではあったが、オッズが割れていたこともあり、三連単は89.8倍と意外にもついた。

ナルカミ、ルクソールカフェが6年ぶりの3歳馬制覇を狙う

クリソベリルの連勝は翌年のサウジカップで途切れるが、その後は帝王賞、JBCクラシックを制するなどダート界を盛り上げた。

引退後は種牡馬として第二の馬生をスタート。産駒は今年デビューし、ボクマダネムイヨがもちの木賞で3着になるなど、ダート路線で存在感を見せ始めている。

ゴールドドリームは、現3歳世代が初年度産駒。こちらは雲取賞(JpnⅢ)を勝ち、羽田盃(JpnⅠ)でも3着に好走したジャナドリアらが活躍している。

産駒はダートを得意としているが芝でも勝利を挙げており、アネモネS4着のホウオウショコラの活躍で種牡馬としての幅が広がる可能性もある。

今年はジャパンダートクラシックを含む6戦5勝で現在4連勝中のナルカミ、前走武蔵野Sで今年のフェブラリーS勝ち馬コスタノヴァらに0.6秒差を付けて圧勝したルクソールカフェの強力3歳馬が参戦予定だ。

しかし、迎え撃つ古馬勢も好メンバーが揃う。ウィルソンテソーロやメイショウハリオ、牝馬のダブルハートボンドや芝から転向したシックスペンスなど活躍馬が揃った。

今年は2019年のように3歳馬が強豪古馬を撃破し、一気に世代交代を告げるのか。3歳馬がここを勝てば、来年は世界を舞台に4歳馬フォーエバーヤング、ミッキーファイトらとの“ダート頂上決戦”も見えてくる。来年も含めて大注目の冬のダート王決定戦から今年も目が離せない。

《ライタープロフィール》
緒方きしん
札幌生まれ、札幌育ちの競馬ライター。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、ダイワスカーレット、レモンポップ。

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