【チャンピオンズC】シックスペンスはステップ、血統とも文句なし 前進材料多数の今回が狙い目

貴シンジ

チャンピオンズC 前走着順別成績,ⒸSPAIA

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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す

今回は12月7日(日)に中京競馬場で行われるチャンピオンズカップについて、下記3つのファクターを組み合わせるコンプレックスアナライズで分析を行っていく。

・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走の内容」
・適性と素質を知るための「血統評価」

特別登録のあった24頭のうち、除外対象の8頭をのぞいた16頭を検討対象とし、過去10年のデータを使用する。


重要データ:前走着順に注目

前走着順別成績,ⒸSPAIA


年明けのフェブラリーステークスがダートマイル王決定戦ならば、チャンピオンズCはダート中距離最強馬を決めるJRA最高峰のダート競走だ。

舞台となる中京ダート1800mは4コーナーがスパイラルカーブで、外を回すとかなり不利になってしまい、荒れることも多々あるコース。チャンピオンズCも直近10年のレース全体の単勝回収率が84%、複勝回収率が88%となっていて、GⅠにしてはかなり高配当と言える。

なかでも重要視したいデータは「前走着順別成績」だ。前走で1~5着だった馬が【10-8-5-87】単勝回収率120%なのに対し、6着以下だった馬は【0-2-5-39】で勝利がない。

また、それぞれ3頭の勝ち馬を出しているJBCクラシックとマイルチャンピオンシップ南部杯の1~5着馬に限れば【7-6-2-27】で、単勝回収率127%に複勝回収率119%となりかなり狙いやすいデータとなる。

3歳馬で上位人気が予想されるナルカミは前走がジャパンダートクラシック。3歳馬はこれまで2018年のルヴァンスレーヴと19年クリソベリルが勝利しているが、2頭ともチャンピオンズCに至るまで一度も連対を外したことがない馬だった。ナルカミは2走目の7着(3歳1勝クラス)以外は全て勝利しているが、唯一負けた2走目が今回と同じ中京ダート1800m戦。断然の本命視はできない。

■前走主要レースで5着以内だった出走予定馬
<JBCクラシック>
・ウィルソンテソーロ
・メイショウハリオ

<マイルCS南部杯>
・シックスペンス


前走の内容:シックスペンスのマイルCS南部杯

シックスペンスの前走は盛岡ダート1600mが舞台のマイルCS南部杯で2着。初めてのダート挑戦だったこともあり、中央重賞3勝馬としてはかなりの低評価と言える5番人気だったが、いきなり結果を出してみせた。

今年のマイルCS南部杯は流れが早く、差し馬に有利な展開で控える競馬をした馬が有利なレースだった。勝ったウィルソンテソーロは控えて自分のペースを保ちながら競馬をしていて、展開が向いた部分が大きかっただろう。

一方、シックスペンスはその勝ち馬から4馬身差の完敗。ウィルソンテソーロよりも仕掛けが早かったことや、外々を回したロスなどを加味しても、レース内容に関してはウィルソンテソーロの方が上だっただろう。

とはいえ、ウィルソンテソーロは盛岡適性が高く、シックスペンスに関してはマイルの距離も短かった。スタミナが求められる中京ダート1800mなら逆転も十分考えられる。


血統解説:シックスペンス

シックスペンスの血統表,ⒸSPAIA


・シックスペンス
母はアメリカで競走馬生活を送っていたため、日本での牝祖は母フィンレイズラッキーチャーム。5代母What a Summerを根幹として、ファミリーはアメリカと日本で広がっている。

What a Summerは競走馬としても実績があり、マスケットハンデ(GⅡ/ダート8F)など重賞を複数回勝利。その産駒グレンビーサマーは日本に繁殖牝馬として輸入され、GⅠ級こそ輩出していないものの、孫世代からはフィリーズレビュー2着キョウワノコイビト、芝スプリント路線でOPクラスまで勝ち上がったキョウワマグナムなどが出た。

日本に入ってきてからは芝適性の高い馬をつけられ続けたこともあり、芝に適性を出すタイプも多くなったが、本来はダートでこそ力を発揮できる牝系だ。また、スピードの持続力が武器でスタミナ比べも得意。成長力が非常に高く、どちらかといえば古馬になってから本格化するタイプが多いことも特徴である。

シックスペンスの母フィンレイズラッキーチャームはアメリカで競走馬生活を送り、2016年にラブレアステークス(GⅠ/ダート7F)で2着に入ったほか、2018年にマディソンステークス(GⅠ/ダート7F)を勝利している実績馬だ。

本馬はそんな母にキズナを迎えた。キズナ産駒は牝馬だと芝の大物が出る傾向にあるが、牡馬は成長とともに筋肉が硬くなる馬も多く、3歳時は芝で、古馬になってからはダートで活躍という成長曲線を描く馬も多い。

本馬もまさにその通り。成長力のある牝系にキズナの特徴が合わさって、現在は芝・ダートどちらでも走れるような身体つきとなっている。3歳時の実績が目立つが、完成度で言えば現在の方が圧倒的に高い。ここからダート中距離路線を引っ張る存在になっても不思議はない。


Cアナライズではシックスペンスを推奨

今回のCアナライズではシックスペンスを推奨する。

前走だけの内容ではナルカミやウィルソンテソーロの方がパフォーマンスは高いと言わざるを得ないが、中京ダート1800mというスタミナと末脚の持続性能を求められる舞台ならば反撃は十分に可能と見る。

初ダートの前走は外々を回して砂を被っていないので、砂をもろに受けるような展開になった時だけが不安要素。それでも血統的にはダートで走れる下地があり、3歳時よりも筋肉質な馬体になっていて、今はダートの1800~2000mくらいがベストと言える。

中山記念のパフォーマンスなどを見ても素質の高さは疑いようもなく、そこまで人気にならないようならこの馬から狙ってみたい。

《ライタープロフィール》
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。

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