「複勝率41.5%」キズナ産駒が安定感抜群、“内枠×岩田望来騎手”は驚異の勝率50%超 京都芝2200m徹底分析

東大ホースメンクラブ

京都芝2200mのコースレイアウト,ⒸSPAIA

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エリザベス女王杯ほか3重賞の舞台

今週末は京都芝2200mを舞台にエリザベス女王杯(GⅠ)が開催される。秋の女王決定戦としてお馴染みの一戦だ。

今年は昨年5着のリベンジを狙うグランプリホース・レガレイラを筆頭に、3歳勢は秋華賞2着エリカエクスプレスと3着パラディレーヌが参戦。ほかにも重賞勝ちこそないが札幌記念で2着と好走した5歳ココナッツブラウンなど、楽しみなメンバーが揃った。

今回はエリザベス女王杯の舞台となる京都芝2200mを徹底分析。このコースで行われる重賞はエリザベス女王杯のほか、古馬中距離路線の年明け初戦として有力馬が集う京都記念(GⅡ)と、ダービートライアル・京都新聞杯(GⅡ)の3つ。なお、今回使用するデータは京都競馬場リニューアル後の2023年4月23日〜2025年11月9日の計45レースとする。

データ分析の前に、まずはコース解説から。京都芝2200mは正面スタンド前直線入り口付近からスタート。400mほど進むと1コーナーに差し掛かる。1コーナーから2コーナーにかけては平坦で、2コーナーを回ると約500mのバックストレッチへ。向正面半ばからは徐々に坂を上り、3コーナーのあたりで頂上を迎える。そして4コーナーにかけて下り坂が続き、最後に398.7mの平坦な直線を駆け抜けた先がゴール板というコース形態だ。


改修後は内枠有利が顕著

京都芝2200m 枠別成績,ⒸSPAIA


<京都芝2200mの枠別成績>
1枠【6-6-6-34】
勝率11.5%/連対率23.1%/複勝率34.6%/単回収率111%/複回収率95%

2枠【5-4-7-41】
勝率8.8%/連対率15.8%/複勝率28.1%/単回収率58%/複回収率52%

3枠【7-8-4-39】
勝率12.1%/連対率25.9%/複勝率32.8%/単回収率81%/複回収率88%

4枠【2-4-8-47】
勝率3.3%/連対率9.8%/複勝率23.0%/単回収率12%/複回収率47%

5枠【5-7-3-55】
勝率7.1%/連対率17.1%/複勝率21.4%/単回収率16%/複回収率44%

6枠【5-5-7-56】
勝率6.8%/連対率13.7%/複勝率23.3%/単回収率32%/複回収率59%

7枠【6-4-5-65】
勝率7.5%/連対率12.5%/複勝率18.8%/単回収率38%/複回収率53%

8枠【9-7-5-62】
勝率10.8%/連対率19.3%/複勝率25.3%/単回収率63%/複回収率72%
※リニューアル以降

まずは枠順別成績から。内中外で比較すると下記のようになる。

・1〜3枠【18-18-17-114】勝率10.8%、複勝率31.7%
・4〜6枠【12-16-18-158】勝率5.9%、複勝率22.5%
・7〜8枠【15-11-10-127】勝率9.2%、複勝率22.1%

ご覧の通り、勝率も複勝率も内が優勢。コース改修前の2018年〜2020年は1〜3枠が複勝率22.9%に留まり、4〜6枠が複勝率27.5%、7〜8枠も複勝率25.9%と中~外枠の活躍が目立っていたが、以前より内枠有利の傾向が強くなっている。

直近のエリザベス女王杯を振り返ってみても、昨年は1枠1番ホールネスが3着好走。2年前も1枠1番からブレイディヴェーグが勝利を挙げたほか、2着ルージュエヴァイユと3着ハーパーも2枠からの好走だった。軸は内枠に入った馬から選びたい。


末脚が重要も…

京都芝2200m 脚質別成績,ⒸSPAIA


<京都芝2200mの脚質別成績>
逃げ【2-4-9-31】
勝率4.3%/連対率13.0%/複勝率32.6%/単回収率21%/複回収率104%

先行【24-17-18-88】
勝率16.3%/連対率27.9%/複勝率40.1%/単回収率72%/複回収率98%

差し【11-20-15-131】
勝率6.2%/連対率17.5%/複勝率26.0%/単回収率52%/複回収率65%

追込【6-4-3-139】
勝率3.9%/連対率6.6%/複勝率8.6%/単回収率17%/複回収率15%

マクリ【2-0-0-10】
勝率16.7%/連対率16.7%/複勝率16.7%/単回収率276%/複回収率41%
※リニューアル以降

次は脚質別成績。特徴としては上がり最速の馬が【17-15-3-15】複勝率70.0%で複回収率156%と好成績、対して上がり6位以下の馬は【1-3-13-282】複勝率5.7%、複回収率19%と大苦戦。末脚が重要な舞台と言える。

ただし、4コーナー7番手以下の馬は【6-13-7-211】複勝率11.0%、複回収率28%と、位置取りが後方すぎると届かない。安定感を求めるなら、複勝率38.3%で複回収率も100%の逃げ・先行馬を重視するのがベターと言える。先行馬を軸に据え、末脚自慢をヒモで拾っていくという戦略がオススメだ。


安定感抜群のキズナ産駒

京都芝2200m 種牡馬別成績,ⒸSPAIA


<京都芝2200mの種牡馬別成績>
キズナ【6-6-5-24】
勝率14.6%/連対率29.3%/複勝率41.5%/単回収率93%/複回収率93%

ゴールドシップ【4-1-1-22】
勝率14.3%/連対率17.9%/複勝率21.4%/単回収率149%/複回収率59%

ジャスタウェイ【2-2-4-9】
勝率11.8%/連対率23.5%/複勝率47.1%/単回収率121%/複回収率77%
※リニューアル以降

■キズナ
延べ41頭が出走して複勝率40%超と抜群の安定感を発揮。重賞ではリビアングラスが2023年京都新聞杯で7番人気3着、今年の京都記念でも6番人気2着と穴を空けている。

なかでも好位を取れるタイプの好走が多く、前走4コーナー3番手以内の馬は【2-3-4-6】複勝率60.0%、複回収率148%とベタ買いでプラスだ。

■ゴールドシップ
キズナに迫る勝率14.3%を記録しており、単回収率は149%をマーク。単系馬券で積極的に狙いたい。

ただし、春競馬では【3-1-1-13】単回収率210%を誇る一方、秋競馬では【1-0-0-8】単回収率44%と数値が落ちる。暖かい時期の方が合っているようだ。

■ジャスタウェイ
複勝率はキズナを超える47.1%をマーク。エリザベス女王杯でも2023年にルージュエヴァイユが5番人気2着と好走している。

特徴としては3歳【1-0-3-2】複勝率66.7%、複回収率113%に4歳【1-2-0-2】複勝率60.0%、複回収率128%と好走のほとんどが若い馬。5歳以上だと【0-0-1-5】と連対がなく、若さと勢いに注目だ。

今年のエリザベス女王杯に出走している産駒は下記の通り。

<キズナ産駒>
パラディレーヌ

<ゴールドシップ産駒>
フェアエールング
ヴェルミセル

パラディレーヌは秋華賞の3着馬。京都は【2-0-2-0】と馬券外がなく、なかでも外回り1800mで行われたつばき賞のパフォーマンスが圧巻だった。

フェアエールングは今年1月の小倉牝馬ステークスで重賞初制覇。前走・オールカマーは4着も、早めに動く負荷の大きい競馬だった。ヴェルミセルも豪華メンバーが揃った京都大賞典で3着と好走しており、どの馬も馬券的に面白い。

このほかエリザベス女王杯の有力馬では、レガレイラが該当する父スワーヴリチャードは【2-2-0-8】で複勝率33.3%も複回収率は54%に留まり、エリカエクスプレスやステレンボッシュの父エピファネイアは【3-2-0-21】複勝率19.2%、複回収率37%となっている。

好成績なのはココナッツブラウンやリンクスティップの父キタサンブラックで、成績は【2-4-1-13】複勝率35.0%、複回収率は129%を叩き出している。


岩田望来騎手は内枠で買い

京都芝2200m 騎手別成績,ⒸSPAIA


<京都芝2200mの騎手別成績>
岩田望来【6-4-2-13】
勝率24.0%/連対率40.0%/複勝率48.0%/単回収率132%/複回収率107%

川田将雅【6-3-5-4】
勝率33.3%/連対率50.0%/複勝率77.8%/単回収率149%/複回収率169%

C.ルメール【4-1-0-7】
勝率33.3%/連対率41.7%/複勝率41.7%/単回収率115%/複回収率68%
※リニューアル以降

■岩田望来
C.ルメール騎手をおさえ、川田将雅騎手と並ぶ騎手別最多6勝をマーク。今年の京都記念でも5番人気のヨーホーレイクを勝利に導くなど、単複回収率は100%を超えている。

なかでも内枠に入った際の成績が素晴らしく、1〜2枠なら【4-1-0-2】勝率57.1%、複勝率71.4%で単回収率410%、複回収率も154%と無双状態。パラディレーヌがどの枠に入るのか、要注目だ。

■川田将雅
複勝率は驚異の70%超え、複回収率も169%とプラス域。このコースでの信頼度は抜群に高い。エリザベス女王杯での活躍も顕著で、勝利こそないが23年ハーパー(3番人気3着)、24年ラヴェル(12番人気2着)と2年連続で馬券に絡んでいる。ただし、3年連続がかかる今年は騎乗しない。

狙い目は距離延長ローテの馬に騎乗したとき。距離短縮も【1-0-1-2】複勝率50.0%、複回収率75%と決して悪くはないが、距離延長だと【4-3-3-2】複勝率83.3%、複回収率207%と凄まじい成績になることは覚えておきたい。

■C.ルメール
2、3着1回に対して1着が4回と「勝ち切る力」が非常に高い。回収率も複勝68%に対して単勝は115%とプラス域。単系馬券で狙っていきたい騎手で、今回のエリザベス女王杯では不振のなかにあるステレンボッシュを復活へと導くエスコートに期待がかかる。

ただし、重賞では【1-0-0-3】複勝率25.0%、複回収率32%とやや低調な成績。基本的には条件戦で狙っていきたい騎手である点は注意が必要だ。

このほか、エリザベス女王杯に騎乗予定の騎手では、ライラックの藤岡佑介騎手が【2-3-0-6】複勝率45.5%、複回収率114%の好成績。また、騎乗回数は少ないがリンクスティップのC.デムーロ騎手も【1-2-0-1】複勝率75.0%、複回収率272%と驚異的な数値を叩き出している。

上位人気が想定されている有力馬では、レガレイラの戸崎圭太騎手が【0-0-0-5】と馬券内が一度もない。エリカエクスプレスの武豊騎手も【1-1-1-9】複勝率25.0%、複回収率32%となっており、ココナッツブラウンの北村友一騎手は【1-0-1-5】で複勝率こそ28.6%だが、複回収率は145%となっている。

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。秋GⅠシーズンに合わせ、新入部員募集中。

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