【菊花賞】上がり4位以内なら複勝率55.3%、回収率176% 京大競馬研の本命はエリキング
京都大学競馬研究会

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高い機動力と持続する末脚が生きる舞台
10月26日(日)に菊花賞(GⅠ)が行われる。今年は皐月賞馬、ダービー馬が不在の中、残る一冠をかけて18頭が競う。前哨戦の神戸新聞杯を勝利したエリキングをはじめ、春のクラシックで活躍した馬から夏の上がり馬まで、主役不在とは言わせない実力馬揃いだ。
以下では、本レースが行われる京都芝3000mのコース形態とそれに起因するレースの質、そして想定される展開を踏まえ予想する。
まずは京都芝3000mのコース形態をみる。向正面3コーナー手前の上り坂からスタートし、初角までの距離は約200m。3コーナーで頂上を迎え、そこから4コーナーにかけて一気に下る。
スタンド前の直線は平坦で、そこから1~2コーナーを回ると、向正面半ばから再度上り坂。1周目同様3コーナーで頂上を迎え、そこから下る。最終直線は403.7m(Aコース使用時)で平坦となっている。これが今回のコースレイアウトだ。
まず初角までの距離は約200mとかなり短い。通常、初角までの距離が短いと先手争いが長引きにくく序盤のペースは落ち着きやすい。しかし、本レースはコーナーに入った後にすぐ下り坂でダッシュがつく。したがって序盤のペースは比較的流れやすい。その後のスタンド前の直線も平坦であり、下り坂からの勢いそのままペースは落ちにくい。
1~2コーナーに入ってからペースは落ち着き、向正面半ばからの上り坂を登り切るまでの中盤はゆったりとしたペースで進む。加速するのは3コーナーの上り坂頂上から。ここからの下り坂で、中盤の緩んだペースで脚を溜めた先行勢が一気にスピードを上げていく。直線に入るまでに後方勢が先行勢とのポジション差を埋めにくい。
しかし、京都芝3000mはこの長距離にして序盤の先行負荷が大きいため、地力のない先行勢は最終直線半ばで一気に脱落する。したがって、3~4コーナーの下り坂を生かして前目の位置までマクれる差し馬が恵まれやすい。これがこのコースが持つレースの質だ。

<菊花賞 上がり3F順位別成績>
上がり4位以内
【10-10-6-21】
勝率21.3%、連対率42.6%、複勝率55.3%
単勝回収率131%、複勝回収率176%
※京都開催の直近10回
この傾向は数字にも表れている。菊花賞における上がり3F4位以内馬の成績は上記に示した通り優秀だ。馬券内30頭中26頭、連対した20頭全てを該当馬が占めている。速い上がりを持たない先行馬の残り目はかなり少ない。メンバー上位の末脚を使えることが好走するための絶対条件だ。
また、ここで言う「速い上がり」とは瞬発力ではなく、スタミナと持続力が重要な3F34秒後半から35秒台の上がりであることを強調したい。4~5Fのロングスパート戦において長く良い脚が使えることが重要だ。
下り坂を生かして前目の位置までマクれる機動力、3000mという距離でのロングスパート戦をこなすだけのスタミナと持続する末脚。今回印を打つ上でこの3点を重視したい。
緩い流れにはなりにくい先行馬構成
続いて今回想定される展開から恵まれる馬を考える。メンバー構成は前走通過順位に3番手以内のある先行馬が10頭と出走馬全18頭に対して多い。前述のコース形態と相まって序盤は緩い流れになりにくい。
この展開で恵まれるのは、やはり高い機動力を持ちメンバー上位の末脚を使える差し馬だ。序盤、中盤は距離ロスなく内で脚を溜め、下り坂から外に持ち出して長く脚を使う競馬が理想的だ。また、近走での折り合いも考慮して印を打っていきたい。
メンバー最上位の末脚を持ち、京都外回りは絶好の舞台
◎エリキング
前走の神戸新聞杯は1000m通過62.6秒のスローペースを7番手で追走。4角3番手以内馬が2、3着の前残り展開で4角7番手から快勝。同2位馬を0.5秒上回る上がり最速32.3秒の脚を使った。最後の直線では能力が一枚抜けている印象だった。
2走前の日本ダービーでも上がり最速の脚を使っているように、最後の決め手は今回のメンバーでも随一だ。前走よりも展開が向く叩き2走目の今回、前哨戦から状態を上げ、外目からスムーズな追い出しで能力を最大限発揮すれば勝ち負け必至とみて本命を打つ。
◯ヤマニンブークリエ
前走のセントライト記念は好スタートから5、6番手を追走し、上がり3F2位の脚を使い0.1秒差2着。勝ち馬は皐月賞馬ミュージアムマイルで、それと上がりは同タイムという高く評価できる一戦だった。常に好位から堅実な末脚を使える優等生タイプで、ここも好枠からスムーズな競馬ができる。ミュージアムマイルとの僅差の競馬を考えれば、想定オッズ段階ではかなりの妙味が見込まれる。
▲エネルジコ
前走の新潟記念は好スタートから5番手を追走。素直に地力と末脚が試される展開で好位から抜け出し、上がり3F6位の脚を使い0.1秒差2着。勝ち馬シランケドは前走ヴィクトリアマイル3着、3着馬ディープモンスターは次走でGⅡとしてもハイレベル戦だった京都大賞典で1着。相手関係からも高く評価できる一戦だった。2走前の青葉賞も近年稀にみるハイレベル戦であり、今回のメンバーでも間違いなく上位のポテンシャルを持つ。
△ジョバンニ
前走の神戸新聞杯は直線まで完璧に近い競馬をするも、スムーズに進路を確保できず上位2頭と着差が離れた。内容から着差ほど能力差がないのは明らかで、上位2頭と比較して高いオッズ妙味が見込まれる今回は巻き返しに期待。
×マイユニバース
思い切った逃げ、先行に期待したい一頭。ゲルチュタールと僅差の4走前や近走の相手関係からも、上位に食い込めるだけの地力はあるはず。ハナを切るジーティーアダマンをマークして最後に抜け出す競馬が理想。
買い目は◎単勝1点、◎-◯▲△馬連3点、◎-◯▲-◯▲△×3連複5点で勝負する。
▽菊花賞予想▽
◎エリキング
◯ヤマニンブークリエ
▲エネルジコ
△ジョバンニ
×マイユニバース
◎2024年勝負買い目個人成績(東海S~ホープフルS:25記事)
・単勝27点→4830円 回収率178.9% 的中率37.5%(的中9R/推奨24R)
・馬連105点→12480円 回収率118.9% 的中率42.9%(的中9R/推奨21R)
・3連複204点→22410円 回収率109.9% 的中率17.4%(的中4R/推奨23R)
ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で30周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。
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