【菊花賞】穴馬探しは“ブランド”に注目 激走3条件クリアの高配プレゼンターを発見

逆瀬川龍之介

2025年菊花賞 人気薄馬の激走条件,ⒸSPAIA

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近年は“チョイ荒れ”

00年代後半は波乱が当たり前だった菊花賞だが、近年はどうだろうか。過去10年の3連単配当を見ると、6桁は2回だけで、19年以降の6回は全て5桁以下。意外に平穏な決着が続いているのだ。

とはいえ、本命サイドのガチガチ決着も少ないのがポイント。そこで直近10年に単勝15倍以上で馬券に絡んだ10頭をチェック。共通項を見つけ出し、今年の“好配プレゼンター”をピックアップしたい。

(1)鞍上がリーディングジョッキー経験者
「長距離は騎手で買え」は古くからの格言だが、それを地で行くのが菊花賞だ。通算の騎手別勝利数を見ると、1位は武豊騎手で5勝、2位はルメール騎手で4勝となっている。

人気薄でも名手の好リードが目立ち、該当10頭を見ても、武豊騎手と福永祐一元騎手が各3回、ルメール騎手と戸崎圭太騎手が各1回と、全国リーディング経験者が何度も高配当の使者となっている。今年も名手が騎乗する伏兵には要注意したい。

(2)ノーザンファーム生産
近年のクラシックでは、ノーザンファーム生産馬が抜群の存在感を発揮しているが、菊花賞はとりわけ凄い。なぜなら人気薄のノーザン生産馬も走るから。該当10頭のうち、実に8頭がノーザン生まれだったと聞けば、驚く人も多いはずだ。

直近10年で3回の3着以内独占を含め、ワンツー5回の“ノーザン軍団”と仲良くすることが、的中への近道となることは間違いない。

(3)ウインドインハーヘアを内包
個人的にだが、競走馬としてのディープインパクトのベスト距離は3000m以上だったと見ている。彼のスタミナの源泉は、ドイツの芝2400m・GIウイナーである母のウインドインハーヘアだが、近年の菊花賞ではこの名繁殖牝馬の血を引く馬が大活躍している。伏兵も例外ではなく、該当10頭のうち6頭に合致し、特に19年以降の5頭は下記のように全てがウインドインハーヘアの血を引く馬だった。

<ウインドインハーヘア内包馬>
・17年3着 ポポカテペトル(13番人気) 父ディープインパクト
・19年2着 サトノルークス(8番人気) 父ディープインパクト
・20年3着 サトノフラッグ(5番人気) 父ディープインパクト
・20年2着 アリストテレス(4番人気) 母父ディープインパクト
・21年3着 ディヴァインラヴ(6番人気) 母父ディープインパクト
・24年3着 アドマイヤテラ(7番人気) 父レイデオロ

3つの条件に合致したのは3頭

今年の登録馬の中で、(1)リーディングジョッキー経験者が騎乗予定、かつ(2)ノーザンファーム生産馬で、(3)ウインドインハーヘアの血を引くのは、アマキヒ、エリキング、マイユニバースの3頭だ。このうちエリキングは上位人気に推されることが必至なので、穴候補はアマキヒとマイユニバースの2頭となる。

アマキヒはディープインパクトの全兄であるブラックタイドの産駒。以前は気性の幼さが目立ち、春のクラシックには出走できなかったが、前走の阿賀野川特別はひと夏の成長を感じさせる完勝だった。戸崎圭太騎手の継続騎乗も頼もしく、来年に定年を迎える国枝栄調教師に初の牡馬クラシックタイトルを届けることを期待したい。

もう1頭のマイユニバースはレイデオロ産駒のスタミナ自慢。大逃げを打ちながら、上がり3Fを34秒1でまとめて押し切った前走の九十九里特別は、まさに圧巻だった。初コンビとなる武豊騎手がどう乗るのか。そういった視点でも注目となる。

馬券はアマキヒ、エリキング、マイユニバースの馬連&ワイドボックスが本線。3連複はフォーメーションで1列目と2列目に上記3頭、3列目にエネルジコ、ゲルチュタール、ショウヘイ、ミラージュナイト、ヤマニンブークリエを加えた8頭の計15点で勝負する。

《ライタープロフィール》
逆瀬川龍之介
国内の主要セール、GIのパドックはもちろん、時には海外のセリにも足を運ぶ馬体至上主義のライター。その相馬眼を頼りにする厩舎関係者、馬主は少なくない。一方、マニアック、かつ実用的なデータを駆使して、ネット媒体や雑誌などにも寄稿するなど、マルチな才能を持っている。

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